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瀧本哲史さんとの思い出 ④突然の死と残されたわたしたち

本記事は「瀧本哲史さんとの思い出①出会い/②教えとくびき/③一緒に仕事をする」の続きとなります。

Unite Partnersの源流となっている小林の考え方はどのように生まれたのか?瀧本先生から何を学び、今に繋がってるかなど、
知られざる瀧本先生についても知っていただければと思います。
※ラジオ形式で収録し、記事にしています。

登場人物 紹介
【小林 大輝(こばやし ひろき)】1993.8.17〜
Unite Partners株式会社 代表取締役社長
瀧本ゼミ 初代 代表

【あんてこ】
投資家
瀧本ゼミ 2代目 代表

【瀧本 哲史(たきもと てつふみ)】1972.1.22〜2019.8.10
エンジェル投資家、経営コンサルタント
東京大学法学部卒業後、マッキンゼーに入社。以後エンジェル投資家、経営コンサルタントとして活動。京都大学/東京大学で教鞭をとる。

小林にとってあんてこさんは大学時代からの親友であり、Unite Partnersの投資家でもある。瀧本ゼミの立ち上げメンバーであり、お互い代表として瀧本ゼミの基礎を作ってきた。超くだらない話から真剣なビジネスの話まで色んなことを語り合ってきた10年来の仲。

2019年8月、瀧本さんが突然亡くなる

●小林:なんとなく体重が落ちてるのは見てて思ったんです。でも、亡くなる数日前もバリバリ一緒にミーティングしてましたよ。 昨日までプロジェクトの話をしてたのに。。。本当に突然で。

お別れの会
亡くなる1,2年前に急激に痩せてしまっていた(NEWSPICKSより)

★あんてこ:本当に突然だったよね。でも、一部のゼミ生には瀧本先生から病気が発覚した時に伝えられていたんだよね。手術をする前にメッセージをもらってて。

●小林:そうですね。2015年だったかな?

「瀧本ゼミという組織は、 私がいずれいなくなることを織り込まれた組織であり、皆さんが主体的に自分の頭で考えて動かなければ、そもそも動かない組織です。本当に覚悟のある人だけ残ってください。 自分の頭で考えられない人は、今すぐやめてもらって構わないです」

瀧本先生からのメッセージ

この覚悟を迫るようなメッセージが実は送られてたんですよね。

★あんてこ:瀧本さんは自分が死ぬことすら、もはや予測していたんじゃないかって思っています。亡くなる1年前ぐらいのインタビューで、「自灯明」っていう言葉を頻繁に使っていて、自分の死が近いこと示唆していたのかなと思います。自分が死んだ後、みんなが混乱せず自分の頭で考えられるように「自灯明」という言葉を使ったんだと思います。

【自灯明 じとうみょう】
お釈迦様が入滅の際、弟子に伝えた言葉です。 お釈迦様亡き後、「誰かの言葉や教えに左右されることなく、これまで積み重ねてきた行いを信じ、自らの心に従い正しい教えを拠りどころとして、この先も精進していきなさい」という教え。

●小林:確かにそうかもしれないね。瀧本さんが亡くなった後、例の大企業とのプロジェクトを僕が引き継いでいたんです。だけどやっぱり瀧本さんがいてくれたらよかったなって思う局面が何度もありましたね。
あと、当時はまだ私も若かった。今ならもっと瀧本さんとうまく仕事をやれるのになあという後悔もすごくあります。

★あんてこ:そりゃそうですよね。。。その後、小林さんはすぐに起業。そこはどういう流れだったんですか?

●小林:瀧本さんが亡くなって、すごい喪失感に襲われる中で、 亡くなる直前に言われた言葉がすごく心に残っていて、。

「君なら世界を変えれるから、世界を変えれるように行動するべきだ」

どんな分野で起業するのか、どうやって世界を変えるのかっていうのはまだ当時、考えとしてはなかったんです。 ただ目の前のことを楽しんでやっていたって感じで、答えはなかった。でもフリーランスとして一人でやるだけじゃ世界は絶対に変えれないって思って、フリーランス業じゃない何か、世界を変えることをしようっていうことで起業したんですよね。

★あんてこ:なるほど。

●小林:暗中模索をしながらの起業でしたよ。今のUPの事業を始めるまでは色んなビジネスをしました。物作りもしたし、コンサルじゃないビジネスで世界を変えようと試みたこともあります。ただ、最終的にはコンサルというビジネスを通じて世界を変えようと思っています。

「自灯明」という教えの通り、瀧本さん亡き後自分で考えなきゃいけなくなったんです。生きていた頃は、何かあればすぐ瀧本さんに相談。すぐアドバイスをくれました。瀧本さんにとっての正解が俺らにとっての正解みたいな要素があったと思うんですよ。 それがなくなったっていうのは、すごい衝撃だった。その辺りはあんてこさんはどうですか?

★あんてこ:そうですね。いざ亡くなった時に、瀧本さんの名前が付いたゼミをどうしていくのか?という決断を迫られました。悩み考えた末、僕は瀧本ゼミを引き継ぐ事を決めました。8年間瀧本さんとゼミ生で作ってきたコミュニティーを存続させたい。瀧本さん亡き後も、瀧本さんの教えを咀嚼し、瀧本さんはどう考えていたのかっていうのを自分なりに想像して運営を引き継ぎました。

●小林:瀧本さんは、人やネットワークは10年計画っていつも言ってましたね。10年計画って逆に言うと10年経たないと結果出ないっていうことだと思うんですよね。

風刺画でダイヤモンドの鉱山を掘る2人の男を知っていますか?あと壁1枚なのにそこで諦めて帰るみたいな。あともう一振りしておけば金脈に当たったのに〜ってやつです。掘り切らないと結果が出ないっていう。当てるまでは、ただ無駄なことに見える。

あとちょっとやり切る力

瀧本ゼミを立ち上げて約10年経ったんですけど、瀧本ゼミの卒業生ってどうなってるんですか?

卒業生の40%が起業家や投資家に

★あんてこ:先日、名簿を整理してデータ化してみました。約100人卒業生がいるんですけど、25%が起業家になっていて15%が投資家になってるんですよね。

●小林:全体の40%が起業家、投資家になり、リスクを取る仕事をしているんですね。

★あんてこ:そうなんです。なおかつ、投資家はコミュニティが狭いんで全員が繋がってるんです。ゼミ生同士で起業するっていう事例も多いです。

●小林:瀧本さんは「リスクの取り方」を教えてくれるだった。

★あんてこ:UP創業メンバーの、小林くんと伊藤くんはまさに瀧本ゼミ生同士ですが、そういうチームビルディング、チームが生まれるネットワークを瀧本さんは作りたかったわけで、実際10年経つと結果って出るんだなって思ってます。起業するだけだったら誰でもできると思うんだけど、瀧本ゼミからできた企業が10数社あって、その営業利益を足してみたら今年営業利益合計50億出てることがわかったんです。

●小林:50億!?そんなに出てるの?本当に10年経つと結果が生まれるんだね。

★あんてこ: 営業利益を社会的なインパクトとするだけではなく、本当に付加価値で評価するなら、50億分の付加価値は既に毎年量産されるレベルになってきてるんですよね。

結果を残してくれた卒業生が現役生に寄付したり、インターン出してくれたり、活動拠点を用意してくれたりとかっていう下の世代へのフィードバックが始まっているんです。
そうするとまた挑戦する人が増えて、もっと成功する人が出てきて、さらに下の世代へのフィードバックが増えてっていう、素晴らしい好循環が始まっています!!

●小林:まさに「複利の力」が今の瀧本ゼミを支えてるってことですね。

★あんてこ:そうなんです。時間が経てばどんどん強くなっていく。ポジティブフィードバックが効いてる組織は、強い。

●小林:やっぱり小さい組織が業界ナンバーワンの会社を打ち倒す時っていうのは、そういう複利の力を使っていることが多いんですよね。複利の力で、二次曲線的に強くなっていくとある点を超えるともはやトップの会社では追いつけないレベルまで強くなっている。そういう構造だなと思っているんです。

★あんてこ:あとはよく瀧本さんが言ってた「秘密結社」っていうのが効いていると思う。内向的になりやすい秘密結社を、瀧本ゼミはむしろ外交的な秘密結社にみんなが勝手に作っていったよね。

●小林:僕が思うに、秘密結社とは、目的とか思想は一緒なんだけれど、武器は多様にあるってこと。バックグラウンドは多様化していこうという表れだなと思っていて、瀧本さんもネットワークを論じるとき、「ハブになれ!2つのネットワークのハブになれ!」と 言っていて、つまり企業分析とかコンサルとかは、全体の共通哲学を持っていて、それとは別に、自分ならではの得意技をもつ事。その2つの中間地点にいることによって自分のネットワークに多様性がどんどん付加されていく。さらにそれがハブになっていろんな業界からの知見がネットワークにどんどん付加されていくっていう。多分瀧本さんは、そういうことを言っていて、秘密結社であり、ハブでもあるという。この両立をすることによって、ネットワークがレバレッジされる。

★あんてこ:そうですね。あと、10年たってやっぱすごい思うのが、瀧本ゼミはピアープレッシャー(同調圧力)がすごい強い組織だってことです。

●小林:そうなんですよね。お互いみんなが活躍してるから、俺も負けちゃいられないっていうのはあるね。

真ん中に立って楽しそう

胸を張って顔見せできる人だけが参加できる、瀧本ゼミ同窓会

★あんてこ:瀧本ゼミの同窓会、毎年やってますけど、実は半分くらいしか来ない。でも、毎回同じ人が来わけじゃなくて、来るメンバーが毎年変わるんですよ。これはなんでかっていうと、参加条件が「胸を張って同窓会に来れる人」だからです。瀧本ゼミ生に顔向けできないから、同窓会行けないわ〜みたいな同窓会にしたいからなんです。

●小林:素晴らしい同窓会ですね笑。面白いけど怖い。でもお互い良いプレッシャー与え合えるっていうのはいい事だよね。

★あんてこ:みんな頑張ってるから自分も同窓会で顔向けできるようになりたいって思えるからね。これも複利の力なんですよね。誰かが成果出すと、別の人が成果を出して、今度はもっと高い成果が要求されて全体が大きい成果を生み続ける。

●小林:瀧本ゼミの面白いのは、お互い協力しあってるんですよね。お互い起業した会社同士が業務提携したりとか、メディアに行ったメンバーが瀧本ゼミの起業した会社を紹介してあげたりとか、すごく協力的なんだよね。同じ思想を共有しているから、協力もしやすいんだよね。

★あんてこ:統一性とか多様性の両立とか、ポジティブフィードバックとかピアプレッシャーとか、UPのビジョンにも反映されてるんじゃないかな?って思うんですけど。どうですか?

●小林:無意識にそうなっていたんですよ。瀧本さんが言ってたからとかじゃなくて、自然とそうなっていたっていう感じ。 起業する時、「君たちは世界を変えられる」って言われて「よっしゃ会社作るぞ!!」ってなった時は、どうしたら変えれるのか分からなかったし、UPに至るまで、いろいろやりたかったから色々やって失敗もしたんです。

でもやっぱり僕は、コンサルという仕事が好き!コンサルが得意!という気持ちが根本にあるんです。だから僕の得意技は、コンサルです!
起業家であることと、コンサルであること、僕は両立できると思っています。 いくつかの事業経験と売却経験ののち、絶対にめちゃくちゃインパクトあることをしようっていうことで、もう1度コンサルに戻ってきたんです。やっぱりここで初めて瀧本さんの「自分だけが楽勝なことを徹底的にやれ」っていうところが効いてきてるなって思いますね。

★あんてこ:素晴らしい!試行錯誤期間は、決して無駄ではなかったですね。後から瀧本さんの言葉って効いてくるんですよね。

●小林:思い返してみれば、瀧本さんの言ったことが正しかったなみたいなことがたくさんあるんですよ。

★あんてこ:本当にそうなんですよ。 確かに、小林さんの「自分だけが楽勝にできること」って、コンサルだなって僕も思います。

●小林:本当そうだよね。コンサル業をやってみて思ったのが、コンサルも楽勝でできる人はすごく少ない。だから、 楽勝にできるのはすごいし、楽勝にできることを徹底的にやったら勝てるよねっていう。

僕はコンサルという仕事を通じて世界を変えることをUPでやろうとしています。瀧本さんの想い - 日本という国を若い人の力によって変えていくこと - を受け継ぎつつ、今を生きる私たちだからこそ出来るコンサルティング会社を作ろうとしています。これからどうなるか全くわかりませんが、それが今、僕の夢です。

長いラジオになりましたが、想いに共感してくれる人がいれば、ぜひお話してみたいですね。

仲間とともに!

少しでもUnite Partners株式会社に興味を持っていただいた方、是非お話ししましょう!!

(おわり)