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3.水道は誰のものなの?―生きていくうえでなくてはならない水。営利企業に任せて大丈夫?

(書きかけの項目です。ご意見などありましたらunitekyoto2020@gmail.comまでお寄せください。)

♧水は誰のものなのか

 あなたの家の水道の蛇口をねって出てくる水がどこからきているのか知っていますか。「いのちの水」とも言われるように、水は生きていくためにはなくてはならないものです。水道法第1条に「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とする」と明記されているように、水道事業は生活と健康に欠かせないものです。
 水道事業は市町村単位で運営されてきましたが、人口が減少し、節水機器が普及することで水利用量が減少している一方で、水道管をはじめとする水道施設の老朽化や人材不足など、多くの課題を抱えています。
 これらの課題を解決するため2018年に水道法が改正され、水道事業に民間企業が参入しやすくなりました。いま国が定めた基本方針に基づき、都道府県が計画を定め水道事業の広域化を進めようとしています。これまで市町村の管轄であった水道事業は国と都道府県が主導するものになったといえます。
 なぜ広域化を進めようとしているのでしょうか。広域化は、その先にある民営化への第一段階ではないかという懸念があります。民間企業が参入するためには広域化することである程度規模を大きくしないと利益があがらないからです。
 広域化することで地元の良質な水源からではなく大型ダムの水の利用を優先させるといった計画や、これまであった地元の浄水場を廃止するということもあげられています。良質な水源が近くにあれば水質処理や配水にかかるコストも低く抑えられ、防災の観点からも自己水源の役割はますます重要となってきます。何より広域化することで住民の声が届きにくくなるというのは大きな問題です。民営化へと進み企業が参入してくると市民や議会の関与ができなくなります。
 海外では民営化することで水道料金が高騰し、設備更新が滞り水質が悪化するなどの問題が多く発生したため、水道事業が再公営化される事例が相次いでいます。そういった世界の流れに逆流するかのように、日本では水道の広域化・民営化を進めようとしています。
 広域化をめぐる議論は住民に知らされないまま進められているのも問題です。どういったメリットとデメリットがあるかも明らかにされていません。
自分が飲んでいる水がどこから運ばれているのか、そして生きていくうえでなくてはならない水を営利企業に任せてよいものなのか、そもそも水は誰のものなのかというたくさんの議論を広げていく必要があります。 

♧「ウォーターPPP」ってなに?

 PPP(Public Private Partnershipパブリック・プライベート・パートナーシップ)とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を行政と民間が連携して行うことにより、民間の創意工夫等を活用し、財政資金の効率的使用や行政の効率化等を図るものであり、指定管理者制度や包括的民間委託のことです、PFI(Private Finance Initiativeパブリック・ファイナンス・イニシアティブ)など、様々な方式があります。

国土交通省HP「官民連携とは|PPP/PFI(官民連携)」 (mlit.go.jp)

 2023年6月2日に内閣府が公表した「PPP/PFI推進アクションプラン」(令和5年改訂版)では手法に新しい言葉が多用されました。中でも注目を浴びているのが「ウォーターPPP」です。水道、下水道、工業用水の分野において、コンセッション方式(料金徴収のある公共施設について、所有権を行政に残したまま、運営を特別目的会社が行う方式のこと)に段階的に移行するための官民連携方式をまとめて「ウォーターPPP」と称しています。
 新設された官民連携の手法は「管理・更新一体マネジメント方式」とし、その要件は①長期契約(原則10年)、②性能発注、③維持管理と更新の一体化マネジメント、④プロフィットシェア(契約時に見積もった工事費や維持管理費を削減できた場合などに削減分を官民でシェアすること)の導入、の4点としています。
 「PPP/PFIは新しい資本主義の中核となる新たな官民連携の柱となるもの」と位置付けていますが、「民営化」に対する強いアレルギーを回避するために「官民連携」と言いかえただけに過ぎない気もします。
 アクションプランのなかでも水道、下水道、工業用水道は重点分野と位置付けられており、2022~31年度の10年間で水道100件、下水道100件、工業用水道25件の計225件の具体化をめざすというターゲットが設定されています。他の分野を含む重点分野全体のターゲット件数は575件なので、そのうち約4割を占めている「ウォーターPPP」を国が強力に推進していこうとしているかがわかります。
 「生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律」が2023年5月に成立したことにより、これまで厚生労働省が担当していた水道整備・管理の業務が、1924年4月から国土交通省へ移管されることになりました。国交省はこれまで下水道業務を担っており、水道業務の移管を受けて、上下水道一体での「ウォーターPPP」が実施しやすくなることが予想されます。 

〔参考リンク――もっとよく知るために〕

水道問題をめぐる参考記事

水道法改正時の記事

水道法にかかわる資料

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