ホームステイ暗黒日記 2

あまりに腹立たしくて書くのもイヤだったけれど、
さっさと書いておわらせてしまおう。

語学学校の修了がちかづいて、
部屋さがしどころか仕事もみつかってなかった私は、
先生にアドバイスをもらってCV(履歴書)をもちこんだり、ボランティアを始めたりしながら、
もともと住んでいたホームステイ先のホスト・マザーの厚意にあまえて再びそこへ戻ることにした。

3部屋あるベッドルーム、ひろい部屋にするかと訊かれたけども、
「前とおなじでいい」とせまい部屋にした。

ステイ中は朝食・夕食つき(ホスト・ファミリーによるけど、昼食も用意してくれたり、食材を好きにつかっていいと、サンドイッチや果物をランチに持ってくのを許してくれたりする)で、
掃除・洗濯もホスト・ファミリーがやっていた。
※もちろん、それら込みでの料金設定。学校により、期間によりちがうけど、わたしの場合は月£780とかだったかな?

食事を用意してくれるのはありがたいけど、
仕事がはじまると食事の時間があわなくなるし、じぶんの食べたいものを食べたいから、
ホームステイの学生としてでなく下宿人として入居する際は、
食事、というか掃除・洗濯もじぶんのできることは自分でやるつもりだと話をした。

ただ、この家庭はもともと週1で掃除婦をやとっていて、
わたしが自分で掃除したいと言ってもわたしの部屋だけべつにはしてもらえない。
どうせバスルームやキッチンなど共有部分は掃除してもらうのだし、
掃除(にかかる費用など)はかわらずホスト・ファミリーもち。
洗濯も、洗剤などはつかっていいから、
洗濯機をまわして外に干すか、乾燥機にかけるだけだ。

だから、実質的にかわるのは食事の負担だけ。
それで、食費抜きで週£125(月およそ£500)でどうかという話になった。
家の規模や立地、待遇などをかんがえると格安といえる。

入居の際にいちおう今後のトラブルを避けるためにも書面があった方がいいとおもって簡単なAgreement(同意書)のひな型をつくったのだが、
「家族みたいなものだから、そんなのはいらない」「私たちが信用できない?」みたいに言われてうやむやになった。
銀行口座の開設や職さがしのためにも、住所を証明できる書面的なものがほしかったんだけど、
いずれにせよ個人レベル(private)の賃貸契約では公的な居住証明にならないので、まぁ仕方ない。
っていうか、家族ならもうちょっと安くしてほしい、とか思った。

またステイ学生を受け入れるつもりだとホスト・マザーが言っていたので、
諸事情によりステイ先を出ることになった語学学校の友達も同じ条件で住まわせてもらえないかとお願いして(知らないひとが入るより気楽だし)、
いざ下宿人生活スタート。

と思ったら、知らないおばちゃんがいる。
なんか娘さんが近くの病院に入院してて、そのお世話にかよってるとか。
週末も毎日病院に行って、夜にもどってきてリビングでTV観て部屋で寝るっていう感じだった。

今おもえば、このおばちゃんがすべての元凶だったかもしれない。
いや、ホスト・ファミリーに潜在的にあった問題の引き金になったのが彼女だったんだな。

日中ほとんど家にいないので、関わる機会はそれほど多くなかったけど、
バスタブにハンドタオルを掛けて置いてて、そりゃそんなとこに置いてたらそうだろって話なんだけど、
わたしがシャワーを長時間つかって浴室をびしょ濡れにするとかなんとか、ホスト・マザーに文句を言ったらしい。

こっちはユニットバス・スタイル(バスタブとシャワーが一体)がほとんどなのだが、
なぜか知らんが日本のユニットバスみたいにバスタブ側面全体を覆うシャワーカーテンがない。
ガラス戸の仕切りみたいのがシャワー部分にだけあって、他はむきだし。
つくりは家によってちがうけど、こんな感じ↓

画像1

もちろん私は、そんな変なつかいかたはしていないし、
シャワーが長いのどうの言われたって、20~30分。
シャンプーしてトリートメント、体をあらって洗顔して。
日本人女性としては普通だとおもう。

こっちとしても同居人には気をつかうので、
彼女がバスルームを使う時間とかぶらないようにしようとするのだが、
そのおばちゃんは20時ごろに帰ってきて、1~2時間ほどTVを観ている。

こっちもその間にすませようとシャワーを浴びるのだが、
ある時、わたしのシャワー中に2階にもどってきて、バスルームのドアをノックされたかな? はっきり覚えてないけど、
あわてて洗い流して「ごめんなさい、どうぞ」ってわたしも部屋にもどろうとしたら、
これ見よがしに顔をしかめて「20分! わたしが寝られないわ。しかもタオルがびしょ濡れで(ため息)」みたいなことを言われた。

いや、知らんし。
そんな濡れるようなとこにタオル置いとくなや。
そもそもお前がTV観てなかったらもっとはよ寝れるやろ。

と思うけど、まだ英語もぜんぜん流暢にしゃべれないし、
そんなあからさまに、不意に文句を言われることって日本じゃあまりないので、「Oh..., sorry. I'll be more careful.」ぐらいしか返せん。

ともかくこの件に関しては、彼女に文句をいわれたらしいホスト・マザーからも遠まわしに注意されて(「長時間シャワーをつかって浴室をびしょ濡れにしてる人がいるらしいわねぇ」って、冗談っぽく。気をつかってくれてたと思う。)、
「わたしはそんな変なつかい方してない、ごく常識的な範囲でシャワーを浴びてるだけだ」とは言ったけど、
入居者間で不満がでるのは仕方ない。
「今後気をつける」と言って、ひとまずは終わり。
なるべく彼女が帰るよりも先にシャワーを済ませるようにした。

またこのおばちゃんが、
「病院食がほんとにマズいんだ」「サービスが悪い」とかなんとか病院のグチばっかり。
病院食に文句をいう娘のためにサンドイッチとか菓子パンとか用意して持ってってたけど、
「娘はこのソース嫌いだったわ」「あんまり食べなくて余った」とかって持ち帰ってきたりもしてた。

サンドイッチを作るためにパンの耳を切り落としてすててるのも、
病院に文句をいってるのも、「洗剤はどれ?」「バス停はどこ?」だの、いい年して(60代かな)じぶんで調べようとしないのもイライラして、
大っ嫌いだった。

でもわたしは控えめな、大人しい日本人女性なので、
いちいち教えてあげたり、バス停までつきあってあげたりしてた。
「お腹がペコペコだわ。あなたスープみたいの冷蔵庫に置いてなかった?」「病院から帰るころにはスーパーが閉まってるから」(※近所のスーパーは23時まで開いてるけど、この人が知らないだけ)とか言って
ごはんをたかってきたこともあったけど、
「ベーコンやひき肉を入れてるからベジタリアンのあなたが食べられるものはない」って言うと困ったふうなそぶりで。

知らんわ、じぶんのメシの面倒ぐらい自分でみろや。

で、入居後しばらくは冷蔵庫とカップボードに個別のスペースをとってもらって自炊してたんだけど、
「それぞれが別々に食事してて家族らしくない」ってホスト・マザーが言って、いつの間にかまた彼女が食事をつくって、
予定があうかぎりは揃って夕食をたべるようになった。

食費をふくめて家賃を見直す(語学学校のときと同じにする)って話も出たんだけど、
彼女のガンが再発して、気晴らしや家族に会いにいったり旅行の予定がけっこうあったので、
その間は各自で自炊することになるし、彼女の健康状態によって毎日食事が用意できるかわからない、とか色々あってうやむやなまま、
家賃は据え置きになった。

それ以前から冷蔵庫のものとかパン・果物とか自由に食べていいって言われてて、
食費もかなり浮いてたから、まぁこっちとしては有り難い話。

のちのち分かることだけど、結局のところ、彼女はじぶんのキッチンに人が出入りして、料理をするのが不快(ストレス)だったらしい。
まぁ、その気持ちは理解できなくもない。
こっちとしても、キッチンやリビングに他人がいると料理しづらくて気をつかうし。

そんなこんなで、彼女のガン手術も無事におわり、転移はないとかで良かったよかった。
そして運命のクリスマスを迎える。

このクリスマスはホスト・ファーザーが亡くなってから初めてのクリスマスで、
「とても哀しい時間になるだろうから家に他人をいさせたくない」「家族だけで過ごしたい」とかいう話で、
クリスマスの3日間(12/24~26、こっちでは12/26もBoxing Day:プレゼントのBoxに由来する、としてクリスマス期間の一部)はよそへ泊まってほしいという事だった。

フランスに帰国して家族とすごす、もともと自分の家がある、っていう他2人の入居者はともかく、
日本に帰国するとなるとお金がかかるし、仕事の予定もギリギリまで入れてた私は近所のAirbnbをさがして宿泊することに。
クリスマス期間中はお店も閉まるし、場所によっては酔っぱらいがいて危なかったりもするので、
その部屋でNetflixみてるだけ、プチLockdown状態のクリスマスだったな。

それはともかく、日程を確認してあったにも関わらず、
12/24の朝になって、ホスト・マザーとその娘さんから出がけに「じゃぁ28日にね」と言われた。
「いや、27日に戻ってくるんだけど」と言うと、あきらかに困惑した表情。
なんだかんだで、27日の午後ならいいと言われて、27日に仕事の予定があった私は3日分の荷物をかかえて出勤し、夕方まで外で時間をつぶして帰宅した。

夫を亡くしてはじめてのクリスマスがどうのと言っていた家は、
それよりだいぶ以前からツリーと電飾でかざりつけをして、24日の朝はホスト・マザーと娘さんで着飾って出かけるところだったし、
わたしが帰ったときにはパーティのあとが残っていた。

「他人をいれたくない」「家族だけですごしたい」とか言ってたんは何なん? 意味わからん、とおもったが、
まぁここは自分の家じゃないし、何をどうしようが彼らの勝手だ。わたしに文句をいう権利はない。

んでまぁその後、こまごま気になることはあったものの、
まぁ普通にすごしていたわけです。
ホスト・マザーがまた体調をくずして検査をうけ、それもあって週末アイルランドの実家にいっている間に事件はおきた。

といっても、すごくしょうもない事なんだけど、
仕事で深夜おそくに帰ってきた私は、こそこそとシャワーを浴びた。
「夜おそくにシャワーの音が20~30分もすると眠れない」とホスト・マザーに言われてから、遅くなるときはシャワーを諦めて顔を洗うだけにしてたんだけど、
この日はホスト・マザーがいなかったから。

そうしたら翌朝、わたしがまだ寝ている時にドタドタとホスト・マザーの娘さんが私の名前を呼びながら2階に上がってきて、
「わたしが仕事から帰ったら話がある」と言った。
もうその時点で、たぶん昨夜のシャワーのことで文句をいわれるんだろうな、追い出されるかもな、とは分かっていた。

それよりだいぶ前から、どうも娘さんに嫌われてるんじゃないかなって予感はあった。
リビングであって挨拶しても、ろくにこっちを見もしないでHiと返すだけ。
他の入居者とは仲よくしゃべってるのに私とは話さずにキツく当たってる気がしたけど、
まぁ気のせいかも、むりに関わる必要もないし、と思っていた。

それが、その日かえって話をしたら、
シャワーの文句をいわれたのはもちろんなんだけど、
クリスマス・イヴの朝に日程でああだこうだ言ってクリスマスを台無しにされただの、
食器をふくタオルを自分で用意してもちこんでるのがinsulting(侮辱的)だの言われて、ビックリした。

ちなみに、娘さんは裏手にある別の家に住んでるので、
シャワーのことを話したのはたぶん同居人のおばちゃん。

あと、週末に洗濯機をつかったことについても文句を言われた。
週末に掃除婦がきてベッド・シーツやら何やらとりかえるので、その洗濯が優先になるのだ。
わたしもそのルールに従っていたのだが、
その時は3日ぐらい前から乾燥機に洗濯物が入れっぱなしで、天気もよくなくて仕事で外出するのに外に干しっぱなしにもできなくて、
ホスト・マザーが出かける前に片づけてくれるのを期待してたんだけど結局しまわれてなかったので、
仕事で着るためにどうしても洗濯したかった私は乾燥機のものを取り出してたたみ、自分の洗濯物を入れたのだった。
シーツ類を洗濯乾燥するにしても、ホスト・マザーが週明けにもどってからだろうと。

シャワーと洗濯については、たしかに私にも落ち度があった。
ホスト・マザーが不在で、ハウス・ルールと呼べるほど厳密なルールでなかったにせよ言われていたことを破ったのだから、それについては申し訳なかった。

だけど、その時その娘さんから言われたことは、
そうしたルール違反をこえて、向こうの思いちがいや言いがかりをぶつけられたようなものだった。
ほかの入居者のためのヴィーガン・フードを食べたとか、じぶんの洗濯物を
分けて洗ってるとか、シャワーの時間がどうの、
お金の問題じゃないと言いながら水道代がどうのと、
結局のところ私が気に入らないんだな、という話だった。

さすがに私も勘ちがいで一方的に責められるのは腹が立ったので、
ヴィーガンの友人(語学学校の子)がいらないと言ったものを食べたんだとか、ホスト・マザーの負担をへらしたくて自分の洗濯はじぶんでやってたんだとか言ったけど、
ホスト・マザーが乾燥機に3日間洗濯物を放置してたせいで洗濯ができなかったとか、食洗機をつかわずに食器を手洗いしてるのは私じゃなくておばちゃんの方だとか、
他人を責めるようなことは自分のよけいな気遣いがじゃまして言えなかった。

ホスト・マザーが帰ってから話し合いをして、出て行ってもらうかどうか、
出て行かせるにしても4~5週間の期間をもうけて、って話になったけど、
はやく出た方がいいと思ったわたしは仕事の合間に内見に行って、翌週には移れる部屋をみつけて、引っ越した。

ホスト・マザーと話す時間がなくて話ができたのは結局引越しの前日になってしまったんだけど(それは話し合いがこわくて避けてた私の責任)、
その時も横にいた娘さんが「私は話し合いをして4~5週間の猶予をあげるって言ったのに、あなたはママに1日の猶予しかあたえずに出て行く気?」(それはその通りだけど、わたしにも出て行く権利がある)って言われたけど、
奥さんがそれを制して「この数日間の家のなかの気まずい空気がわたしも嫌だったから」「私はあなたにすごく良くしてあげたけど、よそへ移っても同居人のことを考えて、幸運を祈るわ」で締めくくった。

この、「すごく良くしてあげた」っていうのは娘さんもさんざん言って、
「ママの厚意につけこんだ」って言われたんだけど、
わたしも確かにすごく良くしてもらってると思ってたけど、
引っ越してあとあと考えてみると、家賃をはらって下宿する身としては、そんなにいい条件でもなかった。

キッチンを自由につかえないとか、掃除婦が来るときは部屋を空けなくちゃいけないとか、お風呂も食事もじぶんの自由にできなくて、
おまけに娘さんに言われたのが「食後にママがリビングでくつろいでる時にあなたがキッチンに入ってきてゴソゴソやってるとママが落ち着かない」だって。
いや、こっちは仕事からかえってきて、トーストとか簡単なものを食べてるだけ(料理しちゃいけないから)で、それをするなって、何様?
格安とはいえ、家賃をはらって正当に入居してるんですけど。

「毎日病院で娘さんの世話をして帰ってきた隣でシャワーの音がずってして眠れない(おばちゃんのこと)ってどう思う?」とも言われたけど、
私だって仕事からかえって疲れてシャワーぐらい浴びたいんですけど。

結局のところ、パートタイムのわたしの仕事とか、わたし自身のことを馬鹿にしてるからこういう事を言うんだなって思った。
わたしの仕事は病院で娘の世話をすることより格下で、家賃をはらって入居してるのに居候みたいな扱いで、
こんな所いられないなって思った。

そもそも、ホスト・マザーがガンを再発したりで体調くずした時に、
このまま入居してるのは彼女の負担になるから出た方がいいかもって考えて、
同居人のフランス人の友達とも話してたし。
(彼女自身がどう思ってるのか話してみた方がいいね、って言ったけど、
新しい仕事が忙しかったり彼女が旅行に出たりで食卓にそろう機会がなくて話し合わないままだった。)
仕事がかわって夕食の時間に帰れなくて、それで自分で料理もさせてもらえないと不便だから引っ越したいな、とも思ってた。

その後すぐにコロナ騒ぎがはじまったので、あの時ムリにでも引っ越してよかったな。
じぶんで料理できて、好きなときに好きなものを食べられるし。

引っ越すとき、荷物を2~3回にわけてバスを乗り継いで移動するつもりだったのが、
娘さんに「No!」って言われて(出ていく人間が家を何度も出入りするのが気に入らないから)、
タクシーで引っ越すことになった。
スーツケース2つ分の荷物があったから、荷物分の料金とられてそれもちょっと嫌だったな。(バスなら定期もってる。)
何がNoや、そもそもその時間家に誰もいなかったし、それぐらい勝手にさせろや。

そんなこんなで、家族同然だなんだ都合のいいことを言っていたホスト・ファミリーは結局頭のてっぺんから爪の先まで赤の他人で、
まったくこっちの都合とかこっちへの思いやりとかない、と思わせるような状況で追い出されたので、
ほんとに今でも憎いとおもっている。

これはイギリス人だ日本人だの問題じゃなくて、
このぐらいの理不尽や言いがかりやすれ違いはどこででも、いくらでもあるし、
その度にHP削られてうらめしく思う。
こういう恨みって積み重なって、ずっと遺(のこ)っていくもので、
ただただ忘れたい記憶でしかない。

不幸になれ、とおもう。
コロナ騒ぎになって、Vulnerableであるホスト・マザーを心配する気持ちなんて1ミリも起こらなかった。
不幸になればいい。死んだらいい、って普通におもった。

娘さんとちがってホスト・マザーは多分、ふつうにいい人だったよ。
それでも結局、わたしに対する理解なんてこれっぽっちも無かったんだなって失望するだけだった。
不幸になれ、不幸に。

さっさと忘れたいな。
ひとを恨むのもエネルギーを消耗するもので、
あんな人間がいたってことすら早く忘れて、わたしの人生と関係のない人間に。
さっさと消えてほしいと思ってる。

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