オリジナル盤とリイシューで音が変わる事がある -Dig up the memory- vol.6
自分が学生の頃、とりあえずオーセンティックなJAZZを聴くなら入りとしてBLUE NOTEレーベルを聴くイメージがあり、BLUE NOTEの名盤復刻?的なCDを買ったりしていた。
その時、HANK MOBLEYのこのアルバムを良く聴いていた。
このアルバムは温かさや、題名の通りSOULのテイストを感じ、好きで良く聴いていた。
自分がレコード屋で働くようになり、自分が働いていた店では特にJAZZのレコードに力を入れていたため、多くのJAZZのレコードがあった。
このアルバムももちろん何度も入荷があったが、発売される年代によって大きく価格帯が変わることに気づく。
オリジナル盤、実際の当時の発売国かつ当時の最初のプレスで発売されたレコードは、価格が恐ろしく高価であった。BLUE NOTEはアメリカのレーベルのためUS-ORIGINALなんて値札に表記された。査定者はレコードの盤面のラベルを見てプレスされた年代を確認したりもする。
面白いのがラベルにはレコード会社の住所が書いてあったりするのだが、その住所を見て年代を判断することがる。例えばBLUE NOTEでいうと1957年以前のラベルには「47 WEST 63rd NEW YORK23」 という住所が入っているが、1957年にBLUE NOTEはオフィスをLexington Ave. から 63rd Street に移転したため、ラベルの住所が変更される。
住所は一例であり、他にも規格番号やラベルのデザインやカッティングが誰がやったかの刻印を見たりして判断する。興味がある人は、そういった本なども出てるので調べてみると良い。
コレクターというのは、まずオリジナル盤を欲しがるのであろう。 レコードにはリイシュー盤(再発盤、レイト盤)というのもある。リイシュー盤というのは、そのレコードが発売されてから何年も経ち再度プレスされ発売されたレコードになる。当然、時代も経過しているのでプレスしている工場そのものも変わってたりやアーティストの意向が通っていない不本意な音の状態でリリースされている事も少なく無い。ただレコードによってはオリジナル盤の数が少なく、希少価値が高く値段にプレミアが付いてたりする事もあるので、そういった盤に関してはリイシュー盤がありがたい事もある。(今回のHANAK MOBLEYもそうだがリイシュー盤でも拘って作られてる盤は、とても音が良かったりする!
話が少し逸れるが、、
自分が働き始めた頃レア・グルーヴのリイシューのレコードが多数入荷された。オリジナルはどれも1万や2万円以上の価格帯のレコードが一枚1,000~2,000円の破格の値段くらいだった気がする。出版しているレーベルも聞いた事もない謎のレーベルだった。
レコードを知り尽くした先輩店員達はそんな謎のリイシューレコードもちろん見向きしなかったがオリジナルのありがたみやリイシューとの音違いなど、よくわからなかった当時の自分は、とてもおいしいレコードだと思って数枚購入した。(知るという意味では購入して良かったと思っている。)
僕は、これらのリイシューのレコードを当時とても、お世話になっていたSOUL BARに持って行った。マスターは大きなスピーカーでかけてくれたのだが一聴してすぐさまこう言った。
「亮三くん〜!これは音はめちゃめちゃ悪いね!」
とてもショックを受けた。
その後マスターは同じタイトルのレコードのオリジナルを聴かせてくれた。まだ新人店員だった自分にもわかる程、全然音が違った。オリジナル盤の方がドラムの音やベースの音も太くそれでいて、音像もくっきりとしていた。対してリイシュー盤は密集している音域もあり聴き取りづらさもあり音もどこかシャキシャキしており軽く聴こえた。
「なるほど、、」
音の良い、高いクオリティーのリイシュー盤は沢山あるし自分もリイシュー盤を購入する事は今でもある。ただプレスの違いやオリジナル盤とリイシューで音が変わる事がある事をその体験から学ぶ事ができた。
お店では好きなレコードを聴きながら働けたのだが、その体験から色々と聞き比べる様になった。
少しネガティブな話を例にしてしまったが今回取り上げたHANK MOBLEYの再発盤、このシリーズはこだわりのカッティングにプレスと音も太く素晴らしいクオリティーに仕上がってる。ぜひチェックして見ると良い。
そしてこのタイトルに限らず色々な盤を聴き比べる事で新たな発見があると思う。