おいしかった

僕は大食漢なんて言われている。それもそうだ、僕は食べることが大好きなんだから。よくスイーツは別腹なんて言っている人がいるがとんでもない僕には別腹なんて必要ない。なんていったって僕は満腹を感じたことがないのだから。だから僕は今日も昨日も一昨日も、明日も明後日も食べる。

というかそもそも別腹なんてものは存在していないだろう?そもそも人間には本当の意味での満腹は存在しないらしい。脳が満腹と感じるのは胃を満タンにしないためだ。もし満タンになってしまうと逆流の恐れだってある。だから別腹なんてものは存在しない。そもそもおなかがすくのは脳の血糖値が下がったりした場合であり、脳の信号に過ぎないのだよ。

ああ本当にこの世の食べ物は全部おいしい。肉も魚も野菜も、何もかも。

だけど今日は悲劇があった。いつもの場所でご飯を食べることが出来なかったのだ。何故だろうと思っても僕には理解することが到底不可能だった。こんなにも待ちわびている人がいるのに

だから僕は道行く人にこういって回っていた。

「食べ物を恵んでください。少しでいいんです。お願いします。」

だけど皆僕を嘲笑したような眼で、冷酷な声で僕の罵った、もしくは我関せずの態度を貫いていった。

そんな中一人のお爺さんが僕の前に立ち止まり、手招きをした。彼にまるでアヒルの子どものようについていくとお爺さんは鬱蒼とした森の方へ歩みを進めていった。僕は糸のような身体が風や振動に倒れないように足を踏ん張りながらついていった。そうして辿り着いた場所は秘境とも呼べるおよそ人界とは思えない場所だった。そしてお爺さんは一言か二言僕に語りかけると

鋭利な何かで自分の心臓を一突きした。そして僕は火を起こして、食べた。日々の空腹を満たすために。

お爺さんありがとう。おいしかったよ

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