血界戦線

血界戦線
内藤泰弘・集英社ジャンプコミックスSQ
全10巻(シリーズ続編も連載中)
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世に娯楽は数多くあれど、こと漫画に関してはやっぱり日本に一日の長があるんじゃないかしら、と常々思ってます。
実写映像はどうしてもハリウッドのスケールや作り込みには勝てないなあと感じちゃうし、アニメやゲームは今もう中国の資本力と人海戦術ぶりとスピード感がかなり強いし(日本もっとこのジャンルにお金出して!)。
ところが、その漫画のリードがすごいのだ。しょーもない話でもとんでもない舞台でもどんな大風呂敷でも無限大だもんね。時間も国もサイズも種族も思うままだもの!
資本と手数で制限が出がちな先の媒体に比べて、漫画や小説はそこらへんの自由度が高いのがいいなあと思います。今もう自分発信できちゃうしね。なろうを始めとして発表の場も充実してるしね!

で、そんな漫画の面白さをこれでもかと詰め込んだのがこちらの作品。
アニメにもなって主題歌(EDテーマかな)も大ヒットしたし、舞台にもなったんですよね。いやーーー面白いもんなーーーわかるわかるーーーー

舞台は「ヘルサレムズ・ロット」。かつてニューヨークのあった場所に突如として現れた「なんでもアリの世界」と書けば良いかしら…
ジャンルは現代SFかしら…ファンタジーかしら…正直ジャンルやタグ付け、カテゴリなんてどうだっていいんだよ!っていいたくなっちゃう「ごった煮」感がもう大好きです。世界観デザインがもうわくわくのるつぼ。

そんな「なんでもアリ」の街に、ごくごく普通の人間の中でもさらに普通の青年、レオナルドが「ある目的」のために訪れます。ところが人違いからとんでもない事態に巻き込まれて…といった冒頭。スタンダードな導入なんですが、「普通」のレオナルドの持つ特殊な能力と舞台設定、生き生きとしたキャラクター達が、深刻な事態に明るく立ち向かいます。設定がヘヴィなので重くしようとしたらいくらでも重い話にできちゃうんでしょうけれど、最後はグーパンが強いと結構イケる感じなのがわかりやすくてとてもいいですね!いちおう吸血鬼ものだったりするのかな?
いえ、全体的にはグーパンだけじゃどうにもならない敵や事象ばっかりなんですけれど、そういった爽快感がベースにあるといいますか。
重い話も無いことも無いんですけれど(死人もまあまあ出てるしね)、全体に漂う「仕方ねえ、どうにかしねえとな」て雰囲気が前向きでとてもいいです。どんな小さいことでも「行動する」ってのを皆が選択する、そういうのが読んでて元気が出ます。そうそう、元気が出るんだなこの漫画。作品内に出てくるキャラたちはみんな何かしらのエキスパートだし、そういうのを集めた組織のお話が軸なので、自分のなにかの参考になるかというとまあまずならないんです。現実世界からは大きく乖離しているし。
ただもともとそういう「知識使える系ジャンル」とかでは全然ないわけで、少しでも「わーい面白い漫画読むぞ!」って気持ちでわくわく読むのがこの作品の正解じゃないでしょうか。

エンタメとして抜群に面白い作品だと私は思っているんですけれど、どうもこの作品、ある程度エンタメを食べ慣れていないととっつきづらいというか、設定・状況を頭に入れるまでが長くなるようでして、難しくてよくわからねえ、てご意見も聞いたことがあります。そうね、異形が得意じゃない人もいるかしらね…漫画特有のノリとか台詞回しとかも、馴染みがない人だと読むテンポが合わないとかがあるのかも。アメコミ映画とかお好きな人は結構お好きな感じだと思うんですけれども…全体的に説明は少なめですから、
「なになにどういうこと!?よくわかんない!」
てのがストレスになる人は少し本腰入れる感じでよろしくお願いします。
あと犯罪とその対策組織てのが手前にあるから、暴力とかエロとか血とかがしんどい人も注意でしょうかね。決してほのぼの系とかではないです。
逆にそういうのが「うひょーよくわからねえけど楽しいーーー」ってタイプにはほんとおすすめ。
10巻で一度一区切りしてて、現在「血界戦線Back2Back」てタイトルで二部が連載中です。最新9巻が出たばかりで、よっしゃそろそろ既刊再読からの新刊行くかと思って一気読みしてたんで、せっかくだしレビュー書いてみたってところでした。

ちょこちょこと続きが挟まるものの、基本的には単話で読めるのでおためしでどれかの巻をランダムで読んでみても面白いかもですね。なるべく小難しいことを考えずにいっといてください。ぐいっと!面白いので!

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