見出し画像

エスカレートした理想の結婚

タイトル:(仮)エスカレートした理想の結婚

▼登場人物
●古手川晴彦(こてがわ はるひこ):男性。27歳。金持ちでありサイコパス。
●姫野朱理(ひめの あかり):女性。25歳。一般的な独身OLのイメージで。
●空野美和(そらの みわ):女性。30歳。晴彦に既に殺され解体されている。
●警察・救急隊員:男性。一般的なイメージでお願いします。

▼場所設定
●晴彦の自宅:やや大きな戸建て住宅のイメージで。
●旅行先:一般的なイメージでOKです。
●デパート:エレベーター含め一般的なイメージで。

NAは古手川晴彦でよろしくお願い致します。
(イントロ+メインシナリオ+解説:ト書き・記号含む=3309字)

イントロ〜

皆さんこんにちは。
ところで皆さんには今恋人はいますか?
どこかレジャースポットに出かける事は好きですか?
今回はある男性にまつわる意味怖のお話。

メインシナリオ〜

ト書き〈自宅〉

俺の名前は古手川晴彦。
俺の家は結構な金持ちで、27歳の若さにして
こんな大きな一軒家に住んでいる。

晴彦「はぁ、世間の結婚のあり方が一夫多妻制だったらいいのになぁ」

俺は金持ちながら、
ずっと前からこんな事ばかり思っていた。
「人生をもっと豊かにしたい!」
その思い1つでこんな事も考えてしまうんだろうか。

そしてこんな俺は結構な旅行好き。

ト書き〈旅行〉

ある日、俺は在宅ワークを適当に終わらせ
また旅行へ行く事にした。

貯金がワンサカある事から
在宅ワークでも俺は充分やっていける。
なんとも成功者の人生のあり方…
とても言ったところだろうか。

(出て行く時には必ず家の中に挨拶)

旅行の準備は万端。

晴彦「それじゃあ行ってきます♪」

俺は家を出る時、必ず家の中に向かって挨拶をする。

まぁこんな事をする有名な映画監督がいるのも知ってるが、
俺もこの家を守ってくれてる精霊様とでも言おうか、
いつも自分と一緒に居てくれる何かに向かって挨拶をする。

そしていつも愛用してる大きなキャリーバックを持ち、
車を走らせ、目当ての旅行先へと向かった。

(旅行先)

晴彦「へい、カ〜ノジョ!♪もし暇ならランチでも行かない?」

まぁ別にナンパ好きと言う訳でもないが、
俺は旅行に行くと必ずと言って良いほど
そこで出会った女性が居れば声をかけ、
いっときでも一緒に過ごそうなんて試みたりする。

まぁこれも自分の運命の人を探そうとする
俺の衝動の表れか。

そこでフラれても次の女性、次の女性に声をかけていく。

そんな時でも…

晴彦「はぁ、一夫多妻制なら良いのになぁ」

そんな事を思いながら。

(夜)

そしてその日の夜。

晴彦「へい、カ〜ノジョ!♪もし暇だったらディナーでも行かない?」

レジャースポットの夜というのは
人をロマンチックな気分にさせるのか。
昼間はダメでも夜になれば、
一緒に過ごしてくれる女性というのは居るものだ。

朱理「おいしいモノご馳走してくれる?」

この時出会ったのは朱理ちゃん。
20代の独身OLで、
俺と同じように1人で旅行に来ていたと言う。

俺が金持ちだと知った彼女はホイホイついてきた。

それから2人でデートに行き、翌朝まで一緒に過ごした。
別に何をする訳でもなかったが、
ただ一緒に居られるだけで俺は幸せ。

(車)

晴彦「よし、じゃあ行きますか♪」

ディナーを楽しんだ後、俺は朱理ちゃんと別れ、
また車を走らせて帰路につく。

でも最近の女性と言うのは結構身勝手なもんだ。
食べるだけ食べたら「はいサヨナラ」なんだもんね。

そういう女性とはその後の関係を続けない。
ただ思い出だけを家に持ち帰り、
自分のアルバムのようにして眺めるだけだ。

ト書き〈デパートで事故〉

そしてその帰り、俺はデパートへ寄った。

晴彦「えーっと、美和が好きな口紅はぁ〜っと♪」

俺は少し前に出会った女性とまだ関係を続けていて、
その彼女の為に口紅を買ってやった。

化粧品売り場に行き、
美和の好きだったピンク色の口紅を買い…

晴彦「へっへへ〜♪美和のやつ、喜ぶだろうなぁ」

なんて思いながら幸せ気分で
デパートの屋上にある駐車場に向かう。

そして駐車場まで直通のエレベーターに乗った時、
中に1人の女性が乗っていた。
その女性もどうやら駐車場へ向かう途中のようだ。

駐車場の階のボタンを押し、
2人で一緒に駐車場まで上がって行った。

と、その時だった。

ガコン!という派手な音がして、
エレベーター内が大きく揺れた!

女性「きゃあ!」

晴彦「な、なんだなんだ!?」

よく見ると、
揺れたと言うかエレベーター内が大きく傾いている。

晴彦「こ、これヤバいんじゃねぇか?!」

そう思ってる内に、エレベーターはガクン!ガクン!と
何回かに分けて縦揺れした。

晴彦「ま、まさか…!」

そう、そのまさかだった。
エレベーターの箱を吊ってるワイヤーが切れ始めており、
このままだったら一気に地面へ落ちてしまう。

もう駐車場まですぐという所まで上がっていたから、
こっから落ちれば2人は即死。

女性「いやあ!怖い!死にたくないィ!!」

女性はすっかりパニックになっており、
ここは俺がなんとかしなきゃならない。

俺は必死に助かる為の算段を試み、
まだ吊られている状態の内に
エレベーターのドアを自力でこじ開け、
何とか2人で外へ出ようとしたのだ。

さっきから緊急用ボタンを何度も押していたが
こんな状態だからか、全く通じてる気配がない。
たぶん電気系統がやられていたのだ。

でも幸いそこは7階フロアで
ちょうど停まっている状態だった。
つまりドアを何とかこじ開けたら
その7階のフロアに出る事ができる。

これが本当に不幸中の幸い。
女性も俺もある程度死を覚悟して、
そのドアを思いっきり開けようと力を込めた。

人間、死に物狂いになれば本当に何とかするものだ。

晴彦「や…やった!!」

女性「た、助かった…!」

もう不可能に思われていたそのドアは何とか開いてくれて、
俺達はそのまま7階フロアに飛び出る事ができた。

でもドアの間から体をすり抜けさせるのに精一杯で、
その時持っていた荷物は全部エレベーター内に。

しかも何というドラマチック。

俺達が出てそのすぐ後に、
エレベーターの箱は地面に向けて真っ逆さま。
そのまま落ちて行き、暗闇の中から小さくカコーン…
という音だけが聞こえた。

俺はそれからすぐさま
エレベーターが落ちたその地下まで行こうとした。
でも出る時に足をくじいてしまったのか、
その場をなかなか動く事が出来なかった。

晴彦「くそう!ちきしょう!!」

している間に警察や救急隊員が俺達の元へ来て、
「大丈夫ですか!?」
と声をかけてくれた。

確かに体は大丈夫。
でも俺は大丈夫じゃなかったので、
その後すぐに警察に捕まった。
エレベーター内から女性の死体が見つかったのだ。

解説〜

はい、いかがでしたか?
それでは簡単に解説します。

晴彦は家を出る時に、
家の中に向かって挨拶をしていました。
これは精霊に向けて挨拶していたのではありません。

中に、それまで晴彦が
出会ってきた女性が複数人居たからです。
それも解体されて死んだ状態で。

晴彦は一夫多妻制という言葉をよく口にしていました。

自分の周りに理想的な形で
女性が居てくれる事に安心を覚えていた晴彦は、
もうその理想を特殊な形で叶えていました。

そう、晴彦は根っからのサイコパス。

これまで出会ってきた女性を上手く誘い込み、
そこで解体して自分の思い出にしていた訳です。

旅行先で出会った朱理も同じ運命を辿りました。
だからディナーに行った場面はあっても、
その翌朝まで一緒に居たのに関わらず
ホテルや旅館に泊まった光景はありませんでしたよね。

つまり車の中で全て事を終え、
持っていたキャリーバックの中に
遺体となった朱理の体を入れていたのです。
これがエレベーター内に残されていた女性の遺体です。

もともと乗ったエレベーターの中には
晴彦ともう1人の女性の2人だけ。
その女性を助けたのに、エレベーター内から
もう1人の女性の死体が出てくるのはおかしいですよね。

冒頭にあった「旅行の準備」というのは
その旅行で持ち帰った
女性の体を解体する為の準備の事。

そしてデパートに寄った時、
途中で出てきた美和という女性も
晴彦がこれまでに出会った女性の内の1人でした。

おそらく美和の生首でも自宅に置いていたのでしょう。
その彼女の唇に塗る為の口紅を買っていたのです。

普通、そんなエレベーター事故の
恐怖からやっとの思いで脱出できたのに、
その安心にホッと浸る間もなく
すぐ階下へ降りようとするのも
冷静に見れば凄く変な行動ですよね。

そう、晴彦は他の人に見つけられる前に
エレベーター内の
キャリーバックを取りに行こうとした訳です。

でも足をくじいており思うように動けず、
そうしている間に警察なんかが来て、
先にエレベーター内を確認されてしまったのでしょう。

晴彦が「くそう!」とひどく悔しがっていたのは
こんな結末がうっすら見えてしまっていたからでしょうね。

いやはや、なんとも金持ちの考える事はわからな…
いやこんな男の考える事はよく解りませんね。

動画はこちら(^^♪
【意味怖】【ホラー】【喫茶店で上映されてる映画の感覚☕】【YouTubeドラマ小説】【サスペンスの夕暮れ広場・意味怖・心理ストーリー】エスカレートした理想の結婚 #心理サスペンス #意味怖 #一夫多妻

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?