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本当のアイドル?

タイトル:本当のアイドル?

俺には、好きで好きでたまらないアイドルがいた。
でもその人はもう歳で、
往年の輝きはすっかり失せていた。

だからテレビに出ることは全くなくなり、
その人のブームを過ぎた、とメディアでも噂されていた。
でもファンにとってはいつまでもアイドルなんだ、
そんな言葉を雑誌でも見た事あるだろうか。

俺がファンになったのは、後にも先にもその人1人。
それだけのオーラを携えていたアイドルで、
俺に似たようなファンは日本全国にたくさんいた。

そんな時、不思議かつ忘れられない経験をしたんだ。

在宅ワークをしていた俺は、いつもの日課として
ウォーキングをしている。
そして時々そのウォーキング途中で、
近所の喫茶店に立ち寄ってコーヒーを飲んだりする。

今日も、同じようにコーヒーを飲んでいた時。
カラン〜カラン〜♪とドア音が鳴り、
1人の女の人が入ってきた。
見て、心底驚く。

「え!?あ、あの人は…」
そう、何を隠そう、今入ってきたその人は
昔、芸能界・メディア界から
日本全国を一世風靡していたあの伝説のアイドル。
冒頭で紹介したあのアイドルだった。

「ウ…ウソだ。なんでこんなところに…」

俺が住んでいるのは地方。
今テレビ業界から姿を消して
どこに住んでいるのかもわからないあの人が、
こんな場所へ来るはずがない。
そう思いながらも目の前にはあの人がいる。

その人は店に入った直後、他に席が空いてるのに
空いてる席には目もくれず、
まっすぐ俺が今座ってる窓際の席に来たのだ。
そして、
「ここイイですか?」
と聞いてきて相席をねだった末、
もちろん俺はオーケーして彼女と今
向き合って座ってる。

さっき「ウソだ…」と思ったもう1つの大きな理由は
その人がデビューして間もない当時に若返っていたこと。
今ではもう60歳手前のはずなのに、どう見ても20代。

そして何故かその人を目の前にしていると
俺はすっかり正直にさせられ、
「フフ、こんな私と付き合ってくれるの?じゃあ将来を一緒に夢見ましょうよ」
とその人に言わせるまでの気持ちを伝えていた。

「ほ、本当に…?こんな僕と…」
嘘のような本当の話、信じられない話。

でも交際を約束して店を出て、
ウォーキングついでに一緒に歩こうとしたそのすぐあと、
「あれ?どこ行ったの?」
その人は跡形もなく姿を消していた。

「なんだったんだろう…」
と思いながらテレビのニュースを見ると、
なんと日本全国で数え切れないほどの人たちが、
さっき俺が経験したのと同じ経験をしていたと言う。
大々的に報道されていた。

「なんでそんな報道が…」
と思っていたらその理由がわかった。
ほとんど元アイドルだったその人は、
不慮の事故に遭い、他界していた事。

それが本当の事故だったかどうかわからないけど…
日本全国の多くの人が俺と同じ経験をした。
そしてその多くの人たちは俺と同じ彼女のファンだったと言う。

共通していたのは、交際を約束するような流れになり、
その後を夢見ていたが、付き合うまでにはならなかった事。
女性の場合は生涯ずっと一緒に居られる友達にはなれなかった事。

アイドルは皆のものだが、誰のものにもならない。
「そう言う事だったのかなぁ…」
なんて、数年前に経験したこの事を思いつつ、
ふとあの人を思い出すことがある。

動画はこちら(^^♪
【怖い】【喫茶店で上映されてる映画の感覚☕】【ドラマ小説】【ショートホラー系~心理ストーリー】本当のアイドル? real idol? #心理サスペンス #人間ドラマ (youtube.com)

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