浅い川
タイトル:浅い川
ト書き〈浅い川で遊んでいた〉
私はミコちゃんと浅い川で遊んでいた。
私たちの他にも数人友達がいて、みんな浅い川を、川の流れる方向に歩いていた。
ミコ「ねぇ、今日も私んちに来ない?面白いゲーム買ってもらってさ、みんなと一緒に遊んだら楽しいし、今日はお父さんもお母さんもオッケーしてくれてるから♪」
私「そやね、またそのうち…」
他の友達「……」
他の友達「……」
ミコちゃんは、実は私たちの仲間内ではあまり好かれていなかった。
と言うのはミコちゃんはどこか独特の調子があって、
幼稚園の時からずっとモゴモゴしゃべるクセがあり、
あまり空気も読まず、自己主張ばかりしてくる子だったから。
でもその内また皆と遊べる協調性をちゃんと持って
ミコちゃんも変わってくれるだろうとどこかで期待していたから、
仲間内から外すような事は絶対にせず、
それでも一緒に遊ぼうと、
みんなミコちゃんが来た時は必ずその仲間内に入れてやっていた。
でも今日だって、ミコちゃんはずっと自分の事ばかり喋ってる。
モゴモコモゴモゴとした口調でずっと自分の思う事ばかりしゃべって、
誰かがミコちゃんに喋りかけても全部無視。
「なんでミコちゃんってこうなんだろう…?」
今日も又そんな事を私は思っていた。
ミコ「ねえゴーグル貸してよ、ゴーグル貸してよ早く」
私「あ、ごめん、もうちょっと待って」
「絶対あとで貸してあげるから」
と数分前に言ってた私は又ミコちゃんにそう言い、
この日、楽しみにしていた川の中の探索を
もう少しだけ続けていた。
ミコ「ねえいいから早く貸して、貸してよ、貸して、貸してよ、貸してよ」
男友達「ミコちゃん、ちょっと待ってやりなよ。楽しみにしてたんだからさ」
私の事を気遣って、男の子の友達がそう言ってくれた。
ミコ「ねえ貸してよ、早く貸してよ」
私「……」
今日のミコちゃんは特にひどかった。
いつもに輪をかけて、私たちの言う事を何にも聞かない。
そしてずっと川の中をゴーグルで見ていた私はギョッした。
私「………!!!!」
間髪入れずミコちゃんが、おそらくそのとき私だけに聞こえた声で…
ミコ「私そこにいたでしょ、私そこにいたでしょ、私そこにいたでしょ、グニュグニュゴニョゴニョグニュグニュゴニョゴニョ…」
白黒(しろぐろ)い顔でずっとゴニョゴニョ言っていた。
川底にミコちゃんの顔があったのだ。薄目を開けて笑ってた。
バシャア!!!
私はすぐに顔を上げ、ミコちゃんを見た。
恐怖の顔。
その私が見せた恐怖の顔に、ミコちゃんはグッと顔を近づけ…
ミコ「ゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョ」
聞き取れても言葉がわからない、何かをしゃべってた。
ミコちゃんはそれから何も言わずに先へ行き、
皆から見えない草むらの後ろでスッと姿を消した。
あとから聞けば、ミコちゃんの両親はその日、家に居なかったらしい。
ずっと川べりの下の方を、誰かと散策していたみたい。
エンディング〜
友達には「思った時」に、親切にしてあげるのが良いようですね。それじゃ又。
動画はこちら(^^♪
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