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偽善者のトリック

タイトル:(仮)偽善者のトリック

▼登場人物
●木塚内男(きづか うちお):男性。20歳。途中から母子家庭。大学生。
●川野美香(かわの みか):女性。20歳。内男の彼女。同じ大学に通う。
●岡田百合子(おかだ ゆりこ):女性。20歳。内男と美香の共通の友達。
●池似栄二(いけに えいじ):男性。20歳。内男と中学から一緒。百合子とは少し前まで仲が良かった。誠実そうだが内面は犯罪者。3人と同じ大学に通う。

▼場所設定
●大学:一般的な私立大学のイメージでOKです。
●街中:必要ならで一般的なイメージでお願いします。
●河原:こちらも普通に見られる河原のイメージで。

NAは木塚内男でよろしくお願い致します。
(イントロ+メインシナリオ+解説:ト書き・記号含む=3332字)

イントロ〜

皆さんこんにちは。
皆さんの友達関係は良好ですか?
それとも何かトラブルがあるでしょうか。
今回は様々な背景を持つグループ交流の中、
信じられないトラブルに遭遇してしまった
ある4人にまつわる意味怖のお話。

メインシナリオ〜

俺の名前は木塚内男。
今年20歳になる大学生。

俺には今付き合ってる彼女がいて、名前は美香。
彼女とはずっとこのまま交際し、
結婚までゴールできれば良いと思っていた。

その美香の友達に百合子がおり、
彼女は俺と美香の共通の友達だ。

いつも3人でレジャースポットへ行ったりなんかし、
学校でもプライベートでも共に仲が良かった。

そして俺にはもう1人、思い出したくない友達がいた。
名前は池似栄二。
正確には元友達で、今後、付き合う事はもう無いと思っていた程。

でも最近また俺達の周りをウロつくようになり、
美香も百合子もかなり迷惑していた。

その栄二も俺達と同じ大学に通っていたが最近は休みがち。
もともと百合子は栄二と仲が良かったが、
ある日急に仲が悪くなり、それから疎遠になった。

ト書き〈回想シーン:ビデオ電話〉

百合子「…でさぁ、美香、今日もレポート忘れて先生に怒られてたのよ〜?」

栄二「へぇ〜そうなのかぁ♪あ、背中の所に何かシールついてるぞ?w」

百合子「え?…あ、ほんとだ!やぁだ〜もう」

栄二「ハハw」

百合子「で、今日はエジプト行ってるのね♪」

栄二「ん?ああ、これ綺麗だろ?やっぱこんな場所へ来ると感性も研ぎ澄まされるっていうか…って、んなわきゃねぇだろw」

百合子「アハハw」

こんな風に2人はよくビデオ電話なんかしていたのだが、
ある日、いつものようにビデオ電話した後、
急に百合子はもう栄二に寄り付かなくなった。

まぁ栄二も一見、普通のヤツには見える。
器量も普通で普段は性格も穏やか。
でも付き合っていくとこいつの本性が分かるのだ。

そして俺と栄二の間には、本当に思い出したくもない過去がある。
それは…こいつの親父のせいで俺の父親が死んだ事。

栄二の親父も俺の父親も共に自営業をしていた。
お互い会社を持ち合う仲で、切磋琢磨し合いながら
ずっと一緒にやってきていた。

そんなある日、栄二の親父の会社の資金繰りが上手くいかなくなり、
不渡りを出す寸前…つまり倒産する危機に陥った事がある。
そのとき俺の父親は何とか資金を融通し、栄二の親父を助けた。

そのとき何度もお礼を言ってきたくせに、
逆の立場になった時、つまり俺の父親の会社が倒産しかけた時、
奴の親父の会社は裕福だったのに関わらず俺の父を見捨て、助けなかった。

そして俺の父親の会社は倒産。
父はそれを苦にニッチモサッチもいかなくなってしまい
自らこの世を去ってしまった。

確かに俺の父にはどこか心の弱い所があったけど、
恩を仇で返された上に愛する父が殺された…
その気持ちだけは理屈なく、俺の心に居座った。

でもお互い父親同士の事だったので、栄二に罪はなく、
俺も表面的にはヤツを許す事にしていた。

でも心の中にはどうしても、そんなヤツへの憎しみが消えない。

そんな過去があったので、俺と栄二の間はもちろん疎遠。
中学から一緒だったが、高校に入ってからこれまで、
本当に口も利かない関係だった。

ト書き〈数日後〉

美香「ねぇ!もうあの人、警察に言っちゃおうよ!」

美香が怒鳴るように俺と百合子にそう言ったのは、
それから数日後の事。

なんと栄二が美香を追い回し
トイレにまでついてきそうな勢いだったので、
その場はとりあえず逃げてきたが
もう美香にとっては限界だった。

ちょうど俺と栄二の過去の事を
美香と百合子に打ち明けた直後の事だった。

俺もそんな事が理由で奴には何度か注意した事もある。
でも暖簾に腕押し状態で、奴は全く聞かない。

しかし百合子はまだ奴に未練でもあったのか。
または元々気立てが良く優しいからか。

百合子「警察って…そこまではちょっとね。彼だってもう少ししたらそんな事もやめて、反省してくれるんじゃないかしら」

なんて、奴を弁護するような事を言う。

とにかくその場は百合子の諭しもあって、
美香も少しは落ち着いたのだが、
今後、同じような事が起きないとは絶対限らない。

内男「今度また変な事してきやがったら、その時こそ絶対許さねぇ!あの野郎、本当に殺してやる…」

ふと父親の事を思い出し、俺の怒りは頂点に達しかけた。
それを聞いていた百合子は俺に…

百合子「…そうね。木塚君の場合はお父さんの事もあるもんね。おまけに今でもこんな風に人生邪魔してくるんなら、彼をどうにかしたって、それは気持ちの上では正当防衛よ」

そう言ってくれた。

ト書き〈事件〉

そして遂に事件が起きた。

それは、また百合子から電話がかかってきて、
美香と俺と3人で遊ぼうとなり、待ち合わせ時間なども伝える傍ら、
近くの河原でミニバーベキューでもしようかとなった時の事。

美香「きゃあ!やめてぇ!」

待ち合わせ時間通りに行ったのに、既に美香が来ており、
その河原で美香はなんと栄二に絡まれていたのだ。
でもその絡み方が酷かった。
泣きつこうとしているのである。

内男「て、てめえ!何やってんだよコラ!」

思わず駆け寄ろうとした時、栄二の叫び声が聞こえた。

栄二「なんだよお前!俺の事好きって言ってたんじゃねぇかよ!」

美香「そ、そんなこと言ってない!た、助けてぇ!」

俺に気づいた美香はすぐ俺の元へ駆け寄ろうとしたが、
その美香の背中に抱きつき、
まだ自分のものにしようと踏ん張っている栄二。

それを見た瞬間、怒りが頂点に達し…

内男「(こ、こいつ、俺の父親だけじゃなく、愛してる美香まで奪おうとしてやがるのか…!)」

心の中でそう思った瞬間、俺は河原の石を取り上げ
思いきり栄二に殴りかかっていた。

栄二「ぐわあ!!」

気がつけば、血まみれになった栄二がそこに倒れている。

内男「ハァハァ…」

美香「や…やだ…イヤァアァ!!」

美香の悲鳴が耳鳴りのように聞こえた。
するとそこへ少し遅ればせながら百合子もやってきた。

百合子「な、なんなの…これ…」

百合子もその惨状に目をまん丸くして黙り込む。

内男「ハァハァ…」

俺はもう何も言えない。
ただ押し寄せてくるこれからの恐怖に向かい、
心が震えているのを感じていた。

そんな俺に百合子は…

百合子「…これは正当防衛よ…。この人は一線を超えてしちゃいけない事までしてたんだから、こうなって当然なのよ…。警察に任せたってきっと解決しなかった。…木塚君、ありがとう」

そう言った。

解説〜

はい、意味怖のカラクリは分かりましたか?
それでは簡単に解説します。

百合子は偽善者でした。
自分の手を汚す事なく、内男に栄二を殺させたのです。

百合子は待ち合わせ時間を別々に伝えます。

・美香と栄二を早めに来させる
・栄二に美香を襲わせる
・そして内男を遅めに来させてその状況を見せつける

そして栄二のこのセリフ。
「なんだよお前!俺の事好きって言ってたんじゃねぇかよ!」
これも百合子が栄二に吹き込んでいました。
だから簡単に栄二は美香を襲ったのです。

そしてこんな状況を見せ付けられたら
内男は必ず栄二をどうにかしてくれる…
百合子はそう踏んでいました。
百合子が「正当防衛」と内男に吹き込んだのもこの為。

なぜここまでしたのか?
それは冒頭にヒントがありました。

栄二と百合子がビデオ電話していた時。
栄二は百合子の背中に値札がついてると指摘します。
普通正面を向いて電話してたなら背中に気づく筈ありません。

つまり栄二はこの時、
百合子の部屋の中に隠れていたのです。
「今日はエジプトに行ってるの?」
と百合子が聞いたのは栄二が設定していた合成背景。

自分が今どこに居るか分からないようにしていた栄二でしたが、
百合子は何かのきっかけでその真実を知ったのでしょう。

「この人は一線を超えてしちゃいけない事までした」
と百合子が言ったのはこの栄二の強烈なストーカー行為の事。

間違いなく栄二がしていた事は犯罪。
でもそれで警察に逮捕されても
栄二はまたすぐに戻ってくる。
だったら法の裁きになんか任せてられない。
殺すしかない。
そうなり、百合子は内男を利用した訳です。

「木塚君、ありがとう」と言ったのは、
自分の代わりに栄二を殺してくれてありがとう…という事。

今回は、内男と栄二の特別な関係がなければ
成立しない事件でしたね。

動画はこちら(^^♪
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