マミートラックとは?原因や問題点、企業がとれる対策も【太陽光発電投資のSOLSEL】
マミートラックとは、マミー(Mommy:母親)とトラック(track:陸上競技場の周回コース・軌道)を合わせた造語で、育児をしながら働く女性が、自分の意思に反して出世コースから外れてしまう状態を指します。
一見、子育てと仕事の両立ができているものの、補助的な分野に配置されたり、そのような部署を選ばざるを得ないようになったりなど、昇進や昇給から外れたコースに乗ってしまうことが多くなってしまう状態です。
マミートラックの語源
Track には、” on track” (軌道に乗って/計画通りに)のように、ポジティブな意味もあります。現代のようなネガティブな意味を含むようになった経緯を見ていきましょう。
なぜネガティブな意味に?
スタート当時の「マミートラック」は、ワーキングマザーに対する企業の支援制度を指すポジティブな意味合いのものでした。
しかし、実際には職場に復帰しても昇進やキャリア発展にブレーキがかかるなど、育児とキャリアのバランスをとる上での問題が明らかになってきました。
そのような問題点は時間が経つにつれて顕在化し、現在では「出世コースから外れる」というネガティブな側面が全面に出てきたのです。
日本における女性の現状
マミートラックは、日本の労働社会では特に大きな問題となっています。世界の国々の状況と比べてみましょう。
ジェンダーギャップ指数0.647
ジェンダーギャップ指数とは、WEF(World Economic Forum:世界経済フォーラム)が毎年公表しているもので、経済活動や政治への参画、教育水準、出生率や健康寿命などから産出される、男女格差を示す指数です。
<ジェンダー指数の見方>
・経済・教育・健康・政治の4つの分野で示される。
・0が不完全平等、1が完全平等を示す。
2023年の日本のスコアは0.647、順位は146か国中125位で、先進国の中では最低レベル、ASEAN諸国より低い結果となっています。しかもスコア・順位とも少しずつ低下しています。
育児や介護、家庭内の役割は?
労働社会での現状から家庭内への現状に目を向けてみましょう。
「女性の方が長い家事労働を担っている」という国は多いのですが、日本の場合は特に「妻」の分担が多くなっています。妻がフルタイムで働いている家庭より、パートやアルバイトなどの短時間労働で働いている場合の方がより顕著です。また、「仕事のない日」でもやはり妻の家事・育児分担が大きくなっています。
介護については、育児ほどの大きな差はありませんが、女性の方が男性の1.3倍ほどの負担を負っている結果となっています。
仕事や昇進についての意識・希望
当事者の意識や希望はどうでしょう。
下のグラフは男女共同参画局が令和5年に行った世論調査の結果です。
仕事や昇進については、女性側の意識の差が年代で大きくなっています。
60代の女性には、若い時から昇進したり管理職についたりすることを「できると思っていなかった」人が多いのに対して、若い年代の女性ほど「できる」と思っています。
また男性では、若い人程同じ仕事を「長く続けたい」と思う人が少なくなっています。
若い世代では、仕事や家事分担について意識が変わってきていることがうかがえます。
しかし他の先進諸国と比較すると、願いには遠い現状を示していると言えそうです。
マミートラックによって見られる問題
マミートラックによってどんな問題が生じてくるのでしょう。個人的に、そして企業にとって、の2つの視点からみていきましょう。
個人のモチベーション低下
重要な仕事を任されなくなるということは、誰にとってもモチベーションの低下に直結します。そして昇進や昇給の道を閉ざされることは、キャリア追及のモチベーションも低下させます。
妊娠・出産・育児を経て、またしっかり働きたいと職場に戻ってきた女性が、力を発揮できないという状況は、女性の職業上の成長を阻害する大きな問題と言えるでしょう。
企業の成長を阻害
女性が能力を発揮できない職場では、休暇を取った人ばかりでなく、これから取りたい・取るかもしれないという人のモチベーションも低下させます。また、復帰して働く際にも意欲が湧かなくなる可能性も秘めています。
生産人口が減少する中、女性の意欲や能力を活用できない企業は、周囲の女性の力も削ぎ、総合的な戦力を欠くことになります。企業としての今後の成長に不安を残すのではないでしょうか。
マミートラックを引き起こさないための対策
マミートラックには、個人的にも企業にとっても問題があることをお話ししました。では、そのような問題を引き起こさないようにするためにはどうしたらよいか、考えてみましょう。
個人・家庭の対策
まず「夫婦は対等」の意識を確認し、その上で夫婦共にキャリアを継続できるよう夫婦間でコミュニケーションをとることが大切です。
子どもの成長の変化に合わせて、身近なまたは公的なサポートも有効に取り入れることをお勧めします。
職場の対策
女性が働きやすい職場環境づくりが必要です。そのためにも、
バイアスを取り払うための研修プログラムの実施
誰もが分かる昇給・昇進の条件設定
などを行うといいでしょう。
マミートラックについて、日本の現状は改善されてきたとは言え、男性の育休取得率、女性の管理職・国会議員割合など、目標から見てもあるいは先進国と比べてもまだまだ「後進」状態です。
未だにステレオタイプ(固定観念から抜けきれない)を脱しきれない人もいます。しかし幸い、若い世代を中心に多様な働き方への理解が深まってきています。
※この記事はSpaceship Earthを参考に作成しました。
参考:https://spaceshipearth.jp/mommy-truck/
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