DXはなぜブレるのか?

色々なDXと言うラベルがついた事例やツール、それに対するネガティヴな反応が日々情報で入ってきますが、そもそもDXというキーワードは定義されているけどブレてるので、久しぶりのnoteですが今回はそこらへんを書かせてもらいます。

「DXはまずDを忘れろ」は正解なんだろうか?

多くの企業で「我が社も競合に遅れを取らない為にDXをせねば!」と号令が出て、経営者の方がアフターデジタルなどを読みこれが我が社のDXだと言って日々新しくDX担当が任命されていってるかと思います。
で、新規の担当者の方が手探りでDXを推進する為に過去日本の成功パターンである「KAIZEN」で少しずつ現場をデジタルでアップデートして、まず可視化から始めようと目的が明確でないままに現状分析から始まって、とりあえずやっている感を出しながら、予算だけが使われている形が多く尻窄みしていってます。
DXを推進する為には「まずDを忘れて企業のXが重要」みたいなデジタル自体を目的としない一見すると聴きごごちの良いキーワードもありますが、Dを忘れたX(トランスフォーメーション)は化学反応を起こし、アナログでのK「改善」でお茶を濁す結果となりやすいです。
そもそも企業としてのXが大目標なのでしょうか?
例えば今までアナログでやってこなかったチャレンジを新たにやる話もXに分類されますが、アナログをメインで運用する場合は非常に属人的で、成功のコピーや横展開が属人性で継続できない結果になります(日本の労働人口の減少や雇用の流動性が進む)。
今後の企業としての存続を考えると、デジタル無しでは考えれませんし、アナログでの一時的な成功はデジタルシフトを更に遅らせ、組織にノウハウができない中で時間が過ぎ、競合会社とのデータ蓄積だけでなく、デジタル運用の経験の差が大きくなり、あとで競合会社と同じような事例やシステムをコピーしようとしても「仏造って魂入れず」となりますし、最強の騎馬隊で鉄砲隊に突っ込んでいく「長篠の戦い」のようなことになります(ここも諸説あるとは思いますが、近代戦においては利用する武器と運用法の違いは致命的な結果となります)。
得意な文脈で今までにやってきたことがなかった事は成功確率を高めますが、アナログ的な成功はこの勝利は今後きちんと横展開できるのか?未来につながるのか?を企業観点で冷静に考える必要があります。

そもそも企業が主語になっている問題

企業がやるんだから企業が主語になるのはまあ当たり前なのですが、

「デジタル・トランスフォーメーション」という概念は、スウェーデンの大学教授のエリック・ストルターマンが提唱した概念であるとされ、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」であるとされる。

引用:総務省 「第1部 特集 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0」

と元は人中心の話から始まります。
なので人を中心としたDXは本来ならDX=顧客(CX)でそれを支える為の従業員のEXが重要で、「DX=CX+EX」となりますが、
経済産業省が2018年に発表した「DX推進ガイドライン」

DXの定義は次のとおりとする。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

引用:経済産業省 「デジタルガバナンス・コード2.0」



では企業を中心としたシ企業がメインの話になってしまっており結果「デジタイゼーション→デジタライゼーション→デジタルトランスフォーメーション」のような段階を踏んだ一見わかりやすい話が流れてしまってますが、この時点でも人から企業のプロセスにずれています汗。

海外にDXなんてキーワードない問題

アンチDX(バズワードと斜に構える方々)な方々がよく言われる海外にDXはなく、日本だけだって盛り上がっている営業トークだって話がありますが、確かに海外でDXは聴きません。ただアンチな方もじゃあデジタルも活用した海外の成功事例も話さないのでただDXというキーワードに反応しているだけな気がしますが、なら海外のDX?はって話は、実は

DX白書2021_第2部_DX戦略の策定と推進

の第5章成功評価とガバナンスで

DXを推進するためには顧客への価値提供の実現を指標として成果評価をすることが重要であり、適切なKPIを設定し測定、改善していくことが必要である。

DX白書2021_第2部_DX戦略の策定と推進
第5章成功評価とガバナンス 顧客価値提供視点での成果評価

と記載されており、国のDX=顧客への価値提供だというのが記載されており価値提供の上で顧客体験は最上位なのでDX=CXとなります。
ちなみに顧客が見えてない状態は売上のサマリーでしか判断できない状況ですが、日本と米国の大きな差は

顧客への価値提供などの成果について、どのくらいの頻度で評価しているのか尋ねた結果を示す(図 表25-1)。米国企業ではほとんどの項目が毎週、毎月といった高い頻度で評価されている。一方、日本企業 においては、毎週、毎月の高頻度の評価を行っている回答者は2~10%の一部にとどまっている。大半の 日本企業はそもそもこれらの項目を「評価対象外」としており、顧客への価値提供の成果に対する適切 な評価項目を設定できていないと懸念される。

DX白書2021_第2部_DX戦略の策定と推進第5章成功評価とガバナンス 顧客価値提供視点での成果評価引用

で記載されています。

ここまで話すとDXと言うのが若干心苦しくなり、DXよりは顧客起点でのCX実現が大切で、それを支える従業員のEXも必要で、成功する為にはCXを追求する為にITを含めた企業のあらゆるアセットを総動員しての総合格闘技的なスタンスで、あるべき顧客価値(体験)が必要となります。

ちなみにCX文脈では、日本国内でもあるNIKE・スターバックス・ディズニー(スクリーンと動画配信サービスのコンテンツ体験を繋げるディズニー+)などの海外企業のお話がありますが、つい最近の国内の企業でもCX軸を独自に強化したカインズ(コミュニティ)ビームス(EX軸を超えた?スタッフのメディア化)等の注目すべき企業があります。
ちなみに企業(組織・グループ)の変化で面白いのは東急の事例が自身が関わっていたのを除外しても非常に面白い変化だと思います(楽天経済圏とPFとしてのLINEをうまく使った)。

DXはDが重要でなくXが重要に戻りますが、なぜXする必要があるのかは顧客への価値提供(CX)が大切であり、それを実現する為には結果組織の変革が必要になります。
あとCX実現時は企業の顧客視点ではない顧客起点が最重要で、そこらへんは是非「企業の「成長の壁」を突破する改革 顧客起点の経営が素晴らしいので是非読んでいただければと。

まとめ

DXはいろんなアンチパターンも多く、階段的な考えでまず可視化からみたいなツールベンダーなどのお話も日々たくさんあり過ぎて、答えのないなかですがってしまったりしそうになりますが、デジタルで何かするや変化するぞではなく、顧客起点でどのような顧客体験が顧客にとってバリューにつながり、会社が顧客に選ばれるかを追求してもらえれば自ずと答えは出るでしょうし、それを経営側は表裏なき「パーパス」で示すのがDXのまず第一歩かと思います(社員が能動的に動かないとお嘆きの話も聴きますが、それは社員が行動する羅針盤がない(形骸化して、どうとでも読める会社の基本方針や経営理念)からで、そこをパーパスで再定義するタイミングだと思います。)。
※本来なら"表裏なき”パーパスの話が最重要なのですが、それはまた別の機会にでも

DX担当者の方へ

自身も本業・副業通じて日々様々なお客様と接して、DXに本気でチャレンジされる方だけでなく、とりあえず言われたからやるみたいな方もいらっしゃりますが、終身雇用が形骸化した昨今、間違っていると思っているけど上司に言われたしエビデンスもとってるから安心的なスタンスでの仕事は自分の大切な時間を浪費して本人として取り返しがつかない状況になるので、DX?にチャレンジするチャンスが来たら、自分を変えるチャンスと思って是非DXのあるべき論でのチャレンジをしていただければと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?