どのくらいのレベルになればJ1に届くのか?

こんにちは。うにがしらです。

ファジアーノ岡山は、昨日から沖縄でキャンプに入りましたね。
キャンプの様子がYoutubeで発信されていますし、紅白戦やTMの情報も、これから少しずつ出てくると思います。楽しみですね。

さて、noteの1発目の記事で、うにがしらはこう書きました。

「今のファジは結構フツーのチーム」
だからこそ、上位に食い込み、J1に上がるためには。
「フツーじゃない何か」もしくは、「J1レベルまでのチームの成長」が必要

「フツーじゃない何か」は、ともかく「J1レベルまでのチームの成長」については、そんなの当たり前だろ、と突っ込まれそうですね。
今回は、この「J1レベルまでのチームの成長」について、数値をもとに考えます。
「J1はこうだ」という前に、J2は到達目標として「プレーオフ出場(6位以内)」と「自動昇格(2位以内)」が考えられます。
そこで、過去のプレーオフ出場チームと自動昇格したチームを全体的に見て、ざっくりとした指標を考えてみます。

プレーオフ出場および自動昇格を考えるとき、皆さんは、勝点をまず考えるのではないでしょうか。
例えば、自動昇格であれば「勝点:80以上」、プレーオフ出場であれば「勝点:65以上」といった具合ですね。
また、勝敗数で見ていく方もいるでしょう。自動昇格の「勝点:80を達成するには、23勝8敗11分が必要だな」とか。
うにがしらも感覚的には、「勝試合数>負試合数+分試合」になっていないとプレーオフが確実とは言えない印象を持っています。
ただ勝ち点の場合、各シーズンで勝点のラインが上下して、そこがわからないままモヤモヤ、ということもありますよね。
そのモヤモヤも含めて、あーでもない、こーでもないと考えるのが楽しいのですが、もう少しシーズンの途中の段階で、チームが上手くいっているかどうかを見る指標があるのだろうか…。
今回の記事は、そんなことを考える上で、少しのヒントになればいいなと思っています。

元にする数値は、今回も「Football LAB(https://www.football-lab.jp/)」。
毎度、お世話になっております。

それでは、よろしくお願いします。

■まずは、J2の平均を確認してみる
Football LABには2012ー2020シーズンの全チームのデータが公開されています。まずは全体を見るには平均から。というわけで9年間の、J2の全チームのデータを取得して、各年の平均を見てみましょう。

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何となく、「攻撃回数が減っている」といった傾向はありそうですね。
もう少し傾向がはっきり見える方法はないだろうか…ということで、【3年間の移動平均】を計算してみます。
2012-2014、2013-2015といった具合に、3年間の平均を計算して並べてみましょう。

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上手くいったっぽいですね。
この表から、J2の移り変わりが読み取れそうです。

まず表から読み取れることを、シンプルに抜き出してみます。
・【攻撃回数】と【シュート数】が減少傾向。
・一方、【チャンス構築率】と【ゴール】と【シュート成功率】が上昇傾向。
これをうにがしらなりに解釈すると…


・全体として、「年々、ゴールまでの効率が上がっている」傾向がみられる。
・おそらくプレースタイルのトレンドの違いが数値に表れている。
・より具体的には、ロングボールより、パスをつないでゴールにボールを運ぶ傾向が強まっている。
・結果、数値上は攻撃回数が減る一方、チャンス構築率などが上昇し、J2全体として「どのようにゴールをするか」という方法論(手順)が洗練されてきている。
・逆にゴールをされないためには、中盤での競り合いに勝つことが重要になる。

うにがしらは、2017シーズン以前は、試合をほとんど見ることができていないので、聞きかじった情報も踏まえての解釈になっていますが、皆さんの認識とあっていますでしょうか。

この表を見る限り、2021シーズンも、この傾向は大きくは変わらないと思います。

〇ちょっとだけ補足
なお、ここでは攻撃の指標だけが取り上げられていますが、リーグ全体を見る場合、守備は攻撃のまるきり裏側になるためです。
具体的な数値を上げると2018-2020の平均は、ゴールの全体平均が1.3点/試。これはゴールをされた平均も1.3点/試合ということですね。

■プレーオフ出場、あるいは自動昇格チームのレベル感って?
それでは、プレーオフに出場、あるいは自動昇格するには、J2平均をどのくらい上回ればよいのでしょうか?
2012ー2020シーズンの6位以内、および2位内を抽出して、【3年間の移動平均】をまとめた表がこちらです。

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数字が多くてちょっとわかりづらいので、2018ー2020の3年間分のJ2全体、プレーオフ出場チーム、自動昇格チームの平均を取り出して並べてみます。

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当然ではありますが、プレーオフ出場、自動昇格となるに従い、各数値が高くなっていることがわかります。こちらも、うにがしらなりに解釈してみます。

〇プレーオフに行くには
・攻撃面では、【攻撃回数】を増やして、【シュート】までもっていくこと。その上で、【シュートの成功率】を高めて、【ゴール】を2試合で3得点はしたい。
・守備面では、攻撃をされる回数よりも、【シュート】に持ち込ませないことが大事。その上で、相手のチャンスを減らし、【被ゴール】を減らしたい。
〇自動昇格をするには
プレーオフレベルまで何とか到達した後で、
・攻撃面では、【攻撃回数】より、よりチャンスを作れるようになって【シュート数】を増やすことが大事。
・守備面では、より【被攻撃回数】を減らし、とにかく【被ゴール】を減らすこと大事。

数値でざっくり見ると、
プレーオフに行くには、得点は1.5点/試合以上、失点は1.0点/試合以下にすることが必要」。
言い替えると、2試合で3点以上取り、毎試合1失点で済ませれば、かなりイケている。…と言えそうです。

ここまでで、なんとなくJ1に到達するために必要な条件が見えてきました。
それでは過去の岡山は、どのくらいこのレベルまで近づいているのでしょうか?
過去の数シーズンの岡山の数値と比較して見てみましょう。

■2018-2020の平均と過去の岡山を比較してみるー60得点以上を目標とした意味とはー
…というわけで、作った表がこちらです。
3年間平均の対象の2018~2020と、比較的好成績を残した2012、2014、2016シーズンの数値を並べてみます。

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ここ数年、【攻撃回数】はプレーオフレベルに到達していますが、それ以外は到達できていません。
プレーオフ平均と2019ファジを比べると、2019シーズンは、かなり惜しかった一方、チャンスを増やし、ゴールを割られないようにする必要がありました。攻撃、守備ともに「あと一つ何か」。そういう状況だったのでしょう。

さて、ファジの過去のシーズンの数値を見てみると。
今まで、近しい数値まで近づいたことがない数値があることに気づくと思います。そう、【ゴール】と【チャンス構築率】ですね。

新加入会見などで、有馬監督は「2021シーズン、60得点以上を目指す」と言われました。
シーズンで60得点を取れた場合、1試合平均得点はおよそ1.5
そして、これを達成するには、チャンスを増やす必要がある。

守備に関しては、過去のノウハウがある。
だが攻撃に関しては、ノウハウが徹底的に不足している。
次のステップに進むには、攻撃の向上が不可欠。今シーズンは、ここにまず手を入れる。
実際に60点以上が達成できて、守備もうまくいけばJ1が見える。

うにがしらは、「60得点以上」という目標に、このようなチームの意図を感じます。
皆さんは、どう思われるでしょうか。

■おわりにーJ1~J3のレベルの違いと1%の差ー
今回の記事は、いかがだったでしょうか。

「プレーオフ以上を目指すには、得点は1.5点/試合、失点は1.0点/試合」というのがなんとなく見えました。
うにがしらはファジアーノだけでなく、J2リーグ全体が、この数値の通りにリーグ戦が進んでいくのか、それとも全く違う展開になっていくのか注目したいと思います。

もともと、今回の記事の内容を考えるきっかけは、「J1~J3のプレーの質の違いって、何かの数値に表れるんだろうか?」という疑問からでした。
最後に、これはリーグの質の違いを示しているという言えそうな部分を紹介して終わりにします。

こちらは、2012ー2020シーズンのJ1~J3のリーグ平均の一覧です。(3年間の移動平均は行っていません。)

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・全てのシーズンで、【攻撃回数】は、J3(J3がない時はJ2)が最も高い。
・全てのシーズンで、【チャンス構築率】は、J1が最も高い。

以上が見て取れます。

ざっくり言うと、
「少ない攻撃回数でも、チャンスを多く作ってゴールが決められる。それがリーグのレベルの違いである。」
そんなことが、見えてくるデータではないでしょうか。
いかに攻撃をチャンスに結び付ける術を持っているか。
これは、すべてのチームにとって、J1に上がった後にすぐに降格しないために重要なポイントとも言えそうです。

2021のファジアーノは、ここに本格的に手を付けようとしていると言えるのかもしれません。

今回、言葉にすると「そんなの当たり前だろ」ということが多かったと思います。先ほど書いた「少ない攻撃回数でも、チャンスを多く作ってゴールが決められるのがレベルの違い」
ということもそうです。
でも、その当たり前が数値にどう表れているか。

J2の平均とプレーオフの違い、またJ2とJ1の違い。
いずれも数%のレベルではなく、せいぜい1%前後の違いしかありません。
攻撃を100回やって、1回より多くチャンスを作れているか。
シュートを100本放って、1点より多くとれているか。
上手くいくかいかないかは、それぐらいの違いしかないレベルで各チームは争っている。

そういったことを考えると、リーグの奥深さを感じられないでしょうか。
また、一方でちょっと嚙み合うか噛み合わないかで、チームの運命が変わることも。

私たちは、一喜一憂して当たり前のものにハマっているのかもしれませんね。


それでは、また次回の記事で。 

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