【観戦後の雑感】2024 J2第12節 岡山×清水

皆さん、こんにちは。
4月24日のルヴァン杯で、横浜FCに敗戦したファジアーノ。昨日の清水戦は、水曜日の雰囲気を払拭するとともに、リーグ戦で清水、長崎のトップ2に離されないためにも、勝利したい試合でした。しかし結果は敗戦し、残念な結果に終わりました。
うにがしらは、当日リアルタイムで試合を観ることができなかったため、Xなどで皆さんの様子を見ていたのですが、特にレビュアーの皆さんからは厳しい感触が伝わってきました。そのため覚悟して、本日試合を観たのですが、正直に言うと、想像していた以上に良い試合が展開できていたと思います。木山監督の試合後のコメントは、あまり悲観した感じがなく、むしろ手ごたえすら感じるものでしたが、個人的には、それが腑に落ちる内容でした。
これからのことを考えれば、落としてはダメというターニングポイントではありましたが、一方で、希望も感じた試合を振り返ります。


寸評

岡山は、ここまで3連勝で調子を上げている清水をホームに迎えた。
清水は、前半から選手の質の高さを見せ、岡山のゴールに迫る。清水は、各選手の質の高さに加え、No.23北川やNo.21矢島らが、スタートポジションにとらわれない位置に立ってボールを回すことで、岡山のプレスを回避していく。一方の岡山も、ここまで積み上げてきた堅守で、最終ラインでの迎撃を成功させて、決定機は作らせない。その中で迎えた前半28分、岡山のPA内の攻防で、No.27木村がハンドを取られ、清水にPKが与えられた。ここで清水が一歩先に出るかと思われたが、No.49スベンド ブローダーセンが、No.10カルリーニョス ジュニオのキックを読み切りセーブした。ここから岡山は反発力を強めていく。しかし、その後間もなくの前半35分、清水は、カウンターから北川とカルリーニョスの関係で、岡山の最終ラインの裏を取り、北川がゴール。岡山としては、勝負所を相手の反撃を喰らう形になってしまった。岡山は、そこから清水陣内でのプレーを増やしていくが、前半は、そのまま0-1で折り返すことになった。
後半、岡山は、前半の勢いを落とすことなく、清水のゴール前までボールを運んでいく。後半9分には、No.7竹内がピッチに立ち、岡山のボール運びが、よりスムーズになる。しかし岡山は、最後の崩しの部分を合わせることができない。これは見方を変えれば、清水が、岡山の「ひとつ合えば」という場面を集中力高くはじき返して得点を許さないという形でもあった。岡山は後半40分に、No.29齋藤とNo.99ルカオを投入し、ゴール前の圧力を上げることを試みるが、清水は、ここから最終ラインを中心としたボール回しで、岡山のプレスを回避。岡山のパワープレイを許さず、ゲームをクローズすることに成功した。

岡山で印象に残った選手

No.7 竹内 涼
ルヴァンに引き続き、パスワークの中心に。岡山の他のボランチの選手に比べると、前を向く姿勢に特徴があると思います。何というか、受けてからターンをして前を向くのではなく、そもそも前を向いた状態でボールを受ける準備ができている選手なのかなと。そこが、岡山の攻撃の質を上げる要因になっていると思います。まだコンディションが、完全ではなさそうなので、ここからより良い形が模索できるのではないでしょうか。

No.27 木村 太哉
個人的には、この試合を観ていて、今後のプレーがとても楽しみになりました。今節は、ゴール前でのプレーが少なかったと思いますが、一方で、ボール運びにおいて、前線での収めどころ、中盤・サイドでの中継地としては、非常に効果的な働きをしており、「流れに乗ったプレー」をしていたと思います。disりを入れると、いつもは、試合の流れとは異なった単発的なプレーが多い(それが戦局を動かすこともある)のですが、今日は、「チームのパスワークにとって必要なプレー」が、持続できていたかと。No.9グレイソン選手、No.19岩渕選手へのラストパスも、シュートにはつながらなかったもののタイミングが良く可能性を感じました。今後のキーマンになってほしいです。
木村選手、岩渕選手、そしてNo.10田中選手。この3人が、試合に出続けることが、岡山の今後の鍵になるのではないかと思いました。

No.49 スベンド ブローダーセン
不可解な判定に負けず、PKをストップ。また、最終盤のNo.44西原選手の左サイドの突破からのシュートも落ち着いてセーブ。「岡山は、清水に決定的に崩された場面は無かった」ものの、勝負所になる場面はあり、ブローダーセン選手は、そこを着実にシャットしていました。完全に崩された先制点の場面も、北川選手のシュートを手に当てており、素晴らしい。これからもゴールに鍵をかけてくれるでしょう。

清水で印象に残った選手

No.28 吉田 豊
昨シーズンからではありますが、今節も、岡山の高い壁として立ちはだかりました。岡山としては、納得がいかない判定に絡んでいるので、うにがしら自身も、あまり印象が良くないプレイヤーなのですが、1on1を個人で制するだけではなく、ゴール前の混戦で身体を投げ出し、No.17末吉選手に渡ると危険という場面で素早くチャージして危険の芽を摘むところは、まさに職人です。「代表に選ばれないのが不思議」という評もある人のようですし、第20節に、この人を超えられるならば、「岡山はJ1にふさわしいチーム」と胸を張って言えるようになるのではないでしょうか。

No.66 住吉 ジェラニレーション
その屈強なフィジカルで、清水の最終ラインを支える。その跳躍力やスピードを活かして、最終ラインで待ち構えるだけでなく、中盤での迎撃や最終ラインから運ぶドリブルは、流れを岡山に渡さないポイントになっていました。ゴール前でも粘り強く対応されてしまい、岡山としては、中々決定機をものにすることができませんでした。

No.23 北川 航也
先制点の1チャンスをものにするプレーも見事でしたが、試合全体を通して、「現代的なCFとはかくあるべし」という働きだったと思います。個人の能力でドリブルやシュート、前線でボールを収めるという部分もそうなのですが、個人的には、試合全体の様子や流れを見ている選手だと感じました。特に最終盤のプレーが印象に残っていて、清水としてはボールをつなぎたい場面で、ラインを少し落としてボールを保持するプレーが、岡山にとって非常に厄介だったと思います。中盤側で安全にボールを保持するシーンがあったのですが、ここは画面ではしっかり確認できなかったものの、おそらく岡山の最終ラインと駆け引きをして、ゴール側ではなく、中盤側にポジションを落としたように感じました。こんな駆け引きもあるんですね。

終わりに ーここからチーム力を上げながら、トップ集団に喰らいつけるかー

今節負けたことで、勝率50%に戻りました。
第13節は、調子こそ上がっていないものの攻撃力が高い山形、そして第14節は、その山形に今節でシュート20本を浴びせかけて勝利した徳島との対戦を控えています。今後のことを考えると、今節は、やはり勝利が欲しいたところでした。
選手個々人の質では、やはり清水が上であることがはっきり見えた展開の中、そこに不可解な判定で勝利を逃したとあっては、やはりストレスが溜まります。
ただその中でも試合展開は、悪くなかったというか、前節で勝利した熊本戦よりもむしろ良かったと感じています。というのも、選手間の連動性という部分が、この試合では、さらに上がっていたと感じたためです。シュートに結びつく場面は少なかったですが、サイドの奥からの連続攻撃や、ゴール正面の狭いスペースでのパス交換の場面が何度か見られていたためです。
熊本戦ではWBが、中央に入っていく形が功を奏していましたが、この試合は、STの選手が中盤に落ちたり、サイドに流れたりして、つなぐ形が良かったです。この点は、もともと岩渕選手がシーズン序盤から見せており、その不在がこの4月では大きく影響した感がありますが、田中選手もルヴァン杯でこの動きを見せており、今節では「印象に残った選手」で取り上げた木村選手が、このカテゴリに入る雰囲気が出てきました。この3人のうちの2人が試合に出続ける状態を作ることができれば、攻撃面の連動性が、高まっていくのではないでしょうか。最終ラインは、堅守を継続しており、中盤はNo.6輪笠選手、竹内選手が戻ってきて厚みを増しつつあります。その中で、攻撃の精度は、最後に残る課題のように考えていましたが、少し解決の兆しが見えてきたかもしれません。ここが解決すれば、あとは最後に決めきる精度の部分に集中すれば良いので、チームとして間違っていないステップを踏めているように思うのです。

今節の清水戦は、個人的には、昨シーズンの清水戦よりも、手ごたえを感じました。最後に決めきることこそできなかったものの、「蹴りこめば1点」の場面は、清水より多く作れていたとも思います。そこが北川選手のインタビューの「泥臭い試合になった」というコメントにつながったようにも思うのです。
試合展開としても、「予定していた通りに」見える選手交代を行い、不利な判定でも審判と戦わず、悪い意味で死力を尽くした戦いにしなかった中での最小失点…と考えると、個人的には、木山監督のコメントにも納得です。
とはいえ、J2優勝およびJ1昇格を目標にするならば、現状のレベルでは不足していることがルヴァンも含め2試合続いていること。また「最後の崩し」の部分が、大きな課題として控えているのも、また事実です。

後半に向けてレベルアップをしつつ、上位に喰らいつけるか。
次節と次々節は、その試金石となるのではないでしょうか。
痺れる今シーズンは、まだまだ続きます。

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