210926 岡山×秋田戦 雑感

皆さん、こんにちは。
うにがしらです。

現地応援の皆さま、お疲れさまでした。
2021年9月26日のホーム秋田戦は、劇的な幕切れで1-1の引き分けとなりました。

ラストプレーになるかもしれない。
そんな不安の中、木村選手のクロスボールをGK田中選手がファンブル。
キーパーグローブから滑り落ちたボールを、安部選手がゴールに流し込み同点をもぎ取ったのでした。
同じ引き分けでも、0-0よりもうれしい引き分け。
後半ロスタイムで雰囲気が180度変わる快感。

なによりゴールの喜び。それ自体が格別。

そう実感した試合でした。
今回も気づいたことをつらつらと書いていきます。

■屈強だった秋田の2トップと戦術の噛み合わせ
開始3分、デューク選手がPAに入り込んでシュートを打ったことから、攻撃が多く見られそう…
そんな期待から始まった試合でしたが、前半13分に武選手の豪快なシュートで先制されてしまい、前半は秋田のペースで進みました。

その大きな要因として、うにがしらは次の2つを挙げたいと思います。
・2トップのフィジカルの強さ
・攻撃時に人を右サイドに集める戦術

まず背番号18の吉田選手が、とても良い選手でした。
1分20秒ごろの競り合いで井上選手を弾き飛ばしたのにはじまり。
競り合いでは体勢を崩さず、出足を早くセカンドボールの回収や緩いパスのカットに献身的に動く。
武選手も上背こそ、そんなに高くないですが身体が強い。

先制点は、簡単ではないバウンドを武選手がうまく吉田選手へコントロール
→吉田選手は、河野選手との競り合いで体勢を崩すことなく武選手へ
→武選手が豪快に振り抜く
という2人の関係から。
秋田の切り替えの早さは、「前線で収められる」という信頼に裏打ちされたものであることが感じられました。
一方、岡山としては信条である「球際で負けない」ところを有利に進められなかったところで、出足が遅くなった感があります。

また試合を見ている中では気づきませんでしたが、スタッツ上は、秋田の攻撃は極端に右サイドに偏っていました。
これが岡山対策だったのか、毎試合そうなのかはわかりませんが、この試合では秋田にとって有効に働いたように思います。

安部選手、宮崎選手、喜山選手、石毛選手。
ファジのボールを運ぶキーマンは、左サイドがスタートポジション。
岡山の守備時に左サイド側に圧縮されたことで、守備から攻撃への切り替えでの繋ぎに苦慮するだけでなく、競り合いが頻発する構造になり「自分たちの強みを消されながら、相手の良さ受けさせられる」という展開になったのでしょう。

■前半の飲水タイム後に落ち着きを取り戻し、後半の反撃へ
前半の飲水タイム後からは、最終ラインでボールを回しつつ、隙をうかがう展開に。
ただ、開始から中々ファウルを取ってもらえなかったこともあってか波に乗るまでは至らず。
(30分のデューク選手がPA内で倒されたのは、特に怪しかったですよね…。)
34分には、右サイドでパウロ選手がドリブルでPA手前までボールを運びFKを獲得する場面もありましたが、波状攻撃まではできず。
それでも終盤には連続でCKを取り、45分にはパウロ選手のパスをデューク選手がPA内で収めるなどの場面も作りましたが、得点にはつながらずHT。

・相手のCKやFKからのPAへの放り込みへの対処
・通されると危ない場面で相手選手をフリーにしなかった
・ボール回しを後方で辛抱強く行った

先制されはしたものの、上記の3点を行えたことで、相手にペースを渡さない形で前半を終えることができていたのではないでしょうか。

そして後半からは、岡山のペースに。
その理由は、おそらくデューク選手の動きでしょう。
前半は、デューク選手が待ち構えているところにボールを配球する形が多く見られましたが、後半はデューク選手が動く先に配球する形に変わり、収められないまでもデューク選手が先に触る回数が増えていきました。
そこで秋田の選手間が空きはじめ、上門選手や白井選手が秋田の選手間でボールが受けられるようになったように思います。
またデューク選手自身も、相手DFに密着されない形でボールを受けることで、パスがつながるように。
ボールの支配率は、後半の飲水タイム前で67%まで上がり、相手PA内でのプレーが見られるようになりました。

■終盤の猛攻ーこの選手交代は新しい流れになるのか?ー
後半の飲水タイム前に、秋田は吉田選手と武選手に変えて齋藤選手と中村選手を交代。
秋田としては、前に出てくる岡山の裏を狙える布陣する狙いがあったと思われます。ただ、前半にフィジカルで苦しめされていたこの2人が退いたのは、岡山にとってはよかったかもしれません。

一方、岡山は上門選手とパウロ選手に変えてヨンジェ選手と木村選手を投入。
76分に木村選手が左サイドをドリブルで抜け出しクロス→デューク選手のシュートが最大のチャンスでしたが、残念ながら秋田の選手の正面でした。
さらに80分には、白井選手と宮崎選手に変えて、川本選手と徳元選手を投入。
明確な特徴で力押しが期待できる選手を投入し、さらにゴールに迫ります。

その後も各々が特徴を出しつつゴールに迫りますが、決定的な場面は作り出せず。
しかしチームもサポーターもあきらめない中、ラストワンプレーでCスタが歓喜に沸くゴールが生まれたのでした…。

得点を決めた安部選手。途中加入ながらチームを引っ張り、今までも惜しいシーンを作っていましたが、ここで一つ明確な結果が出ました。おめでとうございます。そして快感をありがとうございます。

さて、80分の交代についてですが、うにがしらとしては、次の2点から意外に思いました。

・2019年からのキーマンである上門選手と白井選手を共に下げた場面が記憶にない。(探せばあると思いますが)
・投入した選手が、攻撃に特徴を持った選手ばかりであった。

今まで怪我人が多かったこと、またこの試合での上門選手と白井選手の状態という要素があるとは思いますが、
FWよりの選手+ロングスロワーという、素人目にも「攻撃のためやな」とわかる交代は、チームとして試行錯誤してきたものを出そうとしているように感じられました。「追う展開だから当たり前だろ」というご指摘もあるかと思いますが、それでも今までは、守備のバランスを崩さないことが優先されていたように、うにがしらは感じていました。
残念ながら、この試合では明確な効果はそこまで出ていなかったと思いますが、もっと早い交代でこのようなシフトでリズムやバランスを変えていくのか。
あるいはスターターから攻撃的なメンバーを起用していくのか。
次節以降の布陣が、変わっていく予感がします。

■各選手についてちょっとだけ
デューク選手は、ポジションこそCFWですが、やっぱりゲームメイクができる(というか、したい)選手なんでしょうね。
69分をはじめとする、後半の左サイドからの右サイドへの展開は、ファジの他の選手には見られないプレーで圧巻。
(上門選手は、発想ができれば同じようなプレーができそうな気もしますが。)
オーストラリア代表の試合は見れていないのですが、フィジカルが強くてゴールに向かえるチームメイトがいれば、より輝ける印象があります。
さて、誰がこの人を輝かせることになるのか。

その一人になって欲しい、木村選手ですが、81分の左サイドをブチ抜いたドリブルは見事で、「これが木村太哉だ!!」と言いたくなりました。
2020年の甲南大学時代は、あの勢いでゴール前まで侵入していっていた印象があります。
怪我のリスクが高そうなプレーでもあるので、乱発はできないでしょうが、よりゴールに近づいていくシーンを見たいですね。

増田選手は、元気で何より。スタンドに挨拶に行っていたのが、増田選手らしいなと。
2018年のファジ在籍時も、アウェー町田戦でゴール裏に挨拶に行ってたんですよね。
当時、現地観戦をしていたのですが、迷わずゴール裏に行っているのと、町田サポさんが温かく迎えていたのがとても印象的で。こういうシーンを作ってくれる選手を見ていると、サッカーを見ていてよかったなと感じます。
これからも応援します。

■終わりに
有馬ファジは、選手に求める能力が「守備がベース」ということもあり、選手交代をした場合も交代前と交代後であまり攻守のバランスが変わらないチームに見えます。
またチームの方向性としては、偏った戦術ではなく、基本に忠実であることを志向していると思います。
結果的に現状は堅守を誇っているものの、「パス回しは磐田や新潟ほどではなく、フィジカルは栃木や秋田には劣る」という、中々難しい立ち位置にいるのでしょう。(スポナビのレーダーチャートも小さいですしね…。)
今回の秋田は、攻撃で右サイドに人を偏らせる戦術をとってきました。
過去の例の応用としたら?と考えると、2018年の町田×岡山戦を参考にすることができたのではないかと思います。
つまり密集の逆サイドに一人選手を浮かせて、そちらにボールを振って崩していくというやり方です。
まあ、当時は仲間隼斗選手と上田康太選手によって確度が高い戦術にできたということもあるでしょうし、スカウティングの問題かもしれませんが。
ただ何にしても、有馬ファジは、攻略方法として同じ戦術をとりませんでした。

「がっぷり四つに組んで勝つ、それが基本コンセプト」。有馬ファジを見ていて、この点は強く感じます。

そんなチームが、今までとちょっと違うかもと感じる選手起用をしてきた。
これが、次節以降の流れとなるのか。
次節以降の流れとなったとして、吉と出るか凶と出るか。
このあたりを注目してみるのも面白そうです。

次節も楽しみです。

■おまけーこの試合の相手PA内でのプレー回数ー
磐田戦よりは増えましたが、基本的に相手にボール預けるスタイルの秋田相手であれば、20回は超えたいところでしょうか。次節はどうなるか。

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