210918 磐田×岡山雑感

こんにちは。うにがしらです。

18日に行われたアウェー磐田戦は、1-1で引き分けでしたね。

後半の飲水タイム明けの70分から、岡山が押し込む時間帯が続く。そして74分。上門選手からの強い縦パスが、ヨンジェ選手に入る。
ヨンジェ選手は、大きくなってしまったトラップを、その優れたフィジカルで相手より先にボールを触りデューク選手へパス。
デューク選手が振り抜いた右足から放たれたシュートは、無情にもゴールポストを叩き、勝ち越しのチャンスを逃したのだった…というのが、この試合のハイライトだったでしょうか。今回も気づいたことをつらつらと書いてみたいと思います。

■磐田のクオリティの高さを感じた試合だったが…
今までファジが勝利を挙げたことがなく、首位を走る好調な磐田。
試合が始まると、まず選手個々のクオリティの高さを感じました。
いわゆる、「止める、蹴る」の技術がやはり違うこと。そしてシステムの嚙み合わせの違いもあってか、選手の間に立たれてボールを回されていたようでした。
開始3分でルキアン選手にPA内で3回もボールを触られたことをはじめ、試合全体を通して中々プレスをかけられず、子気味良くボールを運ばれるシーンが目立った試合でした。
後述しますが、磐田と岡山の違いとして結果的に表れたこととして、相手PAでのプレー回数が挙げられます。磐田は、そのパスワークで、終始岡山のPAを脅かし続けたのでした。

失点シーンのルキアン選手のシュートは、大津選手の素晴らしいクロスから。「あのクロスを上げられる選手が、あの位置に入り込める選手が、うちのチームにはなんでおらんのや」と、ないものねだりをしてしまうくらい、きれいなプレーでした。

正直なところ、開始5分ぐらいまではかなり一方的な展開になるのではないか?と感じましたが、結果としては十分に勝てる試合でした。
その要因として、うにがしらは次の点を挙げたいと思います。

①石毛選手の働き
②ポイントでのボールの収まり
③積み上げてきたもの
④磐田の隙
⑤デューク選手、ヨンジェ選手という強力なFW

これらの要因が積み重なることで、緒戦の磐田優勢が徐々に覆されていく流れだったと思います。

■石毛選手の働き
スキルが高いことが、どんなにチームを助けるか。
この試合の石毛選手は、見ていてそう思う選手でした。
石毛選手に関しては、栃木戦で狭いところでもプレーができることがわかっていましたが、その能力がこの試合では本当にありがたく。
まずは自陣のPA内の守備から出てくるパスを確実に収める。まずここでチームが助かる。
そして素早いターンで、攻撃へリンク。これが正確で磐田に連続攻撃をさせないだけでなく、相手に守備をさせる時間を作っていました。
シュートこそ打てませんでしたが、1分には相手PAに入り込み、22分には宮崎選手からのパスがカットされるものの、カウンターに走る。
また、上門選手、デューク選手の近くでプレーし2人をフォロー。
そして40分の7人つないで上門選手のPA手前のシュートで終わったプレーは、石毛選手のトリッキーなヒールパスから。
リンクマンとして、アタッカーとして。
この人の働きが、試合に及ぼした影響は大きかったと思います。

■ポイントでボールを収めて
前節の雑感として、「ポイントでボールが収められなかった」と、うにがしらは書きました。しかし、この試合では要所でボールが収まっていたと思います。
先にも書いた通り、開始5分ぐらいまでは、磐田に一方的に攻められるかもと不安になりましたが…6分に、喜山選手がミドルでやり返します。
プレスから河野選手が奪い、白井選手→パウロ選手の縦パスから上門選手がPA手前で収め、喜山選手へのパスという流れでした。
このプレーをはじめとして、上門選手、石毛選手、白井選手には、それぞれ良い位置でパスを収めるシーンが見られ、その後の展開につながるシーンを作ることができていました。そして最前線にはデューク選手。
この点は、システムの噛み合わせと磐田の守備の強度の関係もあったかもしれません。それでもボールが要所で収まり、最前線に強力な囮がいるならー
チームでボールを動かすことに取り組み続け、強力なミドルシューターがいる今のファジであれば、相手にシュートを浴びせかけることができます。
自陣のPAに侵入されても堅守を発揮しつつ、反撃では相手にしっかり守備をさせる。
前半の飲水タイムで35%だったボールの支配率は、前半終了時に43%まで上がったのでした。

■磐田の隙、そこを何とか突きたかった
この試合が特別だったかもしれませんが、「磐田には波がある」。そう感じた試合でもありました。
後半開始から49分の大森選手のシュートを安部選手がブロックして事なきを得るまで、守備ではプレスがかからず。そして52分には、右サイドで2人でチェックに行っても躱されてしまい苦戦が予想されましたがー
そのあと、上門選手のドリブルから反撃開始。
ここから磐田の精度が落ちます。そして55分~56分ごろに磐田にパスミスが連続したことでファジが連続して攻める展開に。
59分にはデューク選手が、この試合初めてPA内でパスを受け、そして60分の河野選手のオウンゴールの誘発に結びついたのでした。
そして飲水明けの70分~80分ぐらいまでは、ほぼ岡山が攻撃。
ここで何とか得点を取れればよかったですが、74分のデューク選手のゴールポスト。
そして79分の繋ぎ。この一連の流れの中で、上門選手のヨンジェ選手のクロスが正確であれば、あるいはゴールできていたかもしれません。
その後は、オープンな展開になり試合終了となりました。

この試合が互角だったのは、磐田が決定的なシーンを外したこともありますが、この後半にペースが落ちたことも大きかったと思います。もし後半ペースが落ちるのが磐田の構造的なことなのであれば、J2としての終盤戦、まだドラマが起こる可能性が残っているのかもしれません。
これは磐田のパスをつないで相手PAに侵入するスタイルとのトレードの側面もあるのでしょうか。(集中力をより必要とするスタイルとか?)

■惜しい試合ではあったがー今後はPAへの侵入には注目したい
首位相手にアウェーで引き分け。
そして殴り合いの展開になり、面白い試合でした。
首位に互角の試合をしたから、次の試合も期待できる!秋田には勝つる!…と意気込みたいところですが、一つ天邪鬼なことを挙げておきたいと思います。それはPAの侵入回数です。
ファジの試合は、上位チーム・下位チームに関わらず、今一つ相手に脅威を与えていないんじゃなかろうか。ゴールはゴラッソの印象が強いし…。
うにがしらは、そんな印象を持っています。
では、「相手の脅威」とは何なのかと考えたときに、ど素人のうにがしらには、相手PAエリアへの侵入ぐらいしか思いつきませんでした。
というわけで、この試合の磐田と岡山の相手PA内でのプレー回数(※)を数えてみました。数え漏れがあるかもですけど。

※次のプレーをカウントしています。
 ・ドリブルでの相手PAへの侵入
 ・PA内でパスを収めてのシュートもしくは味方へのパス成功

画像1

結果は…
磐田:岡山 28:9
でした。
なんと3倍の差。

磐田の今シーズンの53点(約1.8点/試合)で岡山が23点(約0.8/試合)。
相手PA内でのプレー=シュートではないですし、色々な要因はありますが…シュートの成功率がだいたい10%前後とすると、さもありなんという感触ではあります。

この試合に限って言えば、9回のうち2回が木村選手のドリブルでの侵入なので、磐田に比べると、本当にPA内でのプレーが少ない。
対して磐田は、ルキアン選手が10回弱パスを受けているのをはじめ、チーム全体でPAに侵入しようとしている傾向がうかがえます。

うにがしらは、今後、相手PAでのプレー回数を、ひとつの指標として追ってみようと思います。
この試合の河野選手のオウンゴール誘発は、まさにPA内での積極的な仕掛けからでした。
また、この試合のヨンジェ選手を見ていて思ったのは、立ち位置が相手PAが起点になっていそうだということ。終盤のシステムの関係で1トップになった関係はあると思いますが、それでもFWの仕事で怖いところはどこかと言えばー。
ここは他のFWの選手でも見たいところです。
これから順位を追っていくのも楽しいですが、堅守から攻撃へのリンクが形になっている中で、さらに攻撃の積み上げが今シーズン見られるか。
うにがしらは、ここに注目したいと思います。
ここが積みあがってくると、今シーズンのみならず、来シーズン以降も、きっと楽しいと思うのです。


■上門選手から感じる「気持ち」
最後に、上門選手について。
シュートを積極的に打つだけでなく、前線からのチェイシング、攻撃からの戻りとフィールド内を最初から最後まで縦横無尽に駆け回っていました。
特にGKへのチェイシングは、効率的な動きではなかったですが、磐田ペースにしない意志を感じましたし、実際に効果があったと思います。
現実的に上位進出が難しい中でも、毎試合やり切る姿勢は、本当にプロフェッショナルだと思います。
これからどこまで大きくなっていくのか。
昨シーズンの得点を1試合でも早く更新して、成長していく姿を見たいと思いました。


さて、次節の秋田戦。
首位相手に堅守を見せた岡山。新たな変化が見られるでしょうか。
次の試合も楽しみです。

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