【観戦後の雑感】2024 J2第8節 岡山×横浜FC

皆さん、こんにちは。
第8節にして、ついに黒星がついてしまいました。
かなり激しい雨の中で行われた試合は、お互いに、本来の力を出せないものでした。しかしその中でも、岡山がなぜ敗退し、現状の課題が何であるかが明確に見えた試合だったと思います。
悔しい試合を振り返ります。


寸評

雨の中で行われた本試合の鍵は、「プレーの質の差」が勝敗を分ける結果になったと言えるか。
前半のキックオフから、岡山は普段通り相手コートに押し込む形を指向して3トップを中心に横浜の最終ラインに挑む形を作っていく。しかし前半10分に横浜のNo.24福森のFKに、No.38高橋がピンポイントで合わせて先制する。岡山はひるまずにボールを奪っては、前線に送り込んでいくが、時間の経過とともにピッチ上の選手たちはボールおよび身体のコントロールができなくなっていく。この影響は、特に岡山のNo.10田中、No.27木村、No.44仙波に大きくのしかかる形になった。その中で、横浜は前半31分はFKからNo.22岩武、前半43分は左CKからNo.4ユーリ ララがヘディングで合わせて得点。岡山は、前半で3点のビハインドを負う。
後半スタートから岡山は、大卒ルーキー2人を含む4人を交代。ボールを奪っては前線にボールをフィードし、ゴール近くのスローインはロングスローを使う形で横浜ゴールに迫る。後半27分、途中出場のNo.15本山のゴール前のフィードに走りこんでいたNo.18田上が倒されPK。このPKをNo.99ルカオが決めて点差を詰める。その後も、ほぼ岡山が横浜を押し込む展開を作っていくが、ゴールネットを揺らすことができず。岡山は、2024シーズンで初の敗戦を味わうことになった。

岡山で印象に残った選手

No.11 太田 龍之介
後半のスタートから出場し、リーグ戦デビュー。ゴールこそ決められなかったものの、後半33分のヘディングをはじめ、「得点できる選手」であることを示した45分間だったと思います。ヘディングだけでなく、前線からのチェイス、そしてピッチコンディションで収めきる場面は少なかったものの、ポストプレーが期待できるところを見せました。ピッチに立てば、いずれ得点を決めるという働きだったと思います。

No.25 吉尾 虹樹
先日、選手紹介の記事を書いているにも関わらず、個人的には、この試合で最大の発見と思いました。多くの選手が、フィードなどでボールのコントロールを欠く中で、ほぼ思い通りの場所にボールを送っている様子に、とても驚きました。田中選手、仙波選手とは違ったテクニシャンだということは何となく感じていましたが、その一端がここでも見られた思いです。また、以前の記事で触れたのですが、最終盤で見せたシャビエル選手とのワンタッチプレーは、2人の相性の良さを感じるものでした。押し込んでいる中で、比較的スペースがあったサイドでのプレーという点は、差し引いて考える必要がありますが、今後もピッチで観たいと強く思いました。

No.17 末吉 塁
さすがにいつも通りのプレーとはいかなかったものの、ここまで出ずっぱりにも関わらず、雨の中でもプレー強度を出しており脅威的。末吉選手の特徴は、少ないタッチ+瞬発力だと思いますが、今後もピッチコンディションにとらわれない活躍が期待できると思います。ターンオーバーも絡めて、最後まで走り切ってほしいです。

横浜FCで印象に残った選手

No.24 福森 晃斗
3アシストという驚異的な結果を残されては、触れないわけにはいきますまい。アシストのプレースキックも見事でしたが、最終ラインからの球出しについても、厳しいコンディションの中で、正確だったと思います。この後に触れる岩武選手とともに、最終ラインをしっかりと閉めたことで、特に前半は岡山としては、攻め筋を見出すことができませんでした。完全にしてやられました。

No.22 岩武 克弥
得点も含めて、うにがしら的には、この人がこの試合の横浜FCの一番の功労者なのではないか?と思いました。3CBの真ん中は、No.2ンドカ選手が務めていますが、ラインの統率は岩武選手がやっていたのかなと。そう思った理由ですが、激しいプレーで痛む中で、感情を上手くコントロールし、冷静にプレーしていたためです。特に印象的だったのは、後半35分ごろでしょうか、No.99ルカオ選手とNo.35市川選手が接触した際に、ンドカ選手とルカオ選手が熱くなった場面。岩武選手は、相手チームであるルカオ選手を抑えてなだめたのでした。その後も、審判やシャビエル選手とコミュニケーションをとっており、この場面、この人の冷静さと胆力を感じました。
この試合では岡山の前線は、とにかく横浜の最終ラインに上手く抑えられたと思います。アウェイ戦でも、強敵として立ちはだかるでしょう。

No.13 小川 慶治朗
お互いに、雨の中で本来の力を発揮できない選手、雨の影響を少なくできる選手がそれぞれ見えた中で、横浜FC側の「雨の影響を少なくできる選手」だったかと。回数こそ少なかったですが、後半25分ごろのNo.49ブローダーセン選手のパスが水たまりで止まってしまったところをかっさらってのシュートをはじめ、抜け出しなどで前後半ともに、前線の起点としてプレーが光っていたと思います。通常のピッチだと、どのようなプレーが観られる選手なのか、とても興味がわきました。

終わりに ー今回の敗戦をどう解釈するか?今後につなげるためにー

今回の試合について、うにがしらは、前半で3失点という事前情報がある中で観戦していたため、前半は、かなり悪かったのか…と思っていたのですが、そんなことはありませんでした。そこにはある意味で「いつも通りのファジアーノ」の試合がありました。
繰り返しになりますが、前半のファジアーノは別に悪くなかったと思います。ただ今回のピッチコンディションで力を発揮しづらい選手を送り出したという点で、木山監督自身が「自分の判断ミスである」という部分は確かにあったと思います。また、前半20分のNo.5柳選手のヘディングが、No.9グレイソン選手に当たらずにゴールを割っていれば、展開は大きく変わっていたでしょう。後半も終始押し込むことができており、ゴールを割りそうなシーンもあって十分に反発できていました。一方で、横浜は、あまり見られないセットプレーからの3得点で、前後半を通じて自陣でのプレーが多め。このように見ていくと、運が悪かったという側面は、確実にあったと思います。

・・・しかしです。うにがしらは、これが本当に運が悪かったと言えるか?というところが、今回の試合のキモのように感じています。
うにがしらなりの結論を書くと、今回の試合は、「はっきりとプレーの質の差で負けた試合」だと受け取った方が良いと思います。

今回の試合は、スタッツ上では、横浜の方がチャンスが少なく、岡山の方がチャンスが多かった試合でした。横浜はチャンスをものにして、岡山はチャンスをものにできなかった。環境や運の要素はあったにせよ、結局はワンチャンスで決められるかといった部分や、プレースキックやロングスローに合わせる質が不足していた。チャンスの数が多いなら、岡山が優位だったはず。しかし得点は、横浜が着実にものにした。そのように考えると「横浜のプレーの質が高く、岡山はそのレベルに達していなかった」が素直な解釈だと思うのです。これは大分戦の前半で得点を挙げられなかったこと、柳貴博選手の退場を招いた「ズレ」の延長線上にある話でしょう。
また後半から交代出場した選手たちが、悪いピッチコンディションの中で存在感を出したことから、向き不向きはあったにせよ、前半で交代した選手たちは、今回のようなケースでもう少しできることがなかったのか?ということを突きけられたはずです。
あらためて今のファジアーノに不足しているものを、はっきりと浮かび上がらせた試合。うにがしらは、あえてそう解釈します。

ただ、ここまでネガティブな感じで書いてきていますが、以下の要素から、今回の敗戦はポジティブにできると考えます。
①首位という位置で、この課題感を振り返ることができること
②後半に出場した選手が存在感を見せたことで、チームとしての選択肢が増えたこと
③今回のようなピッチコンディションは、今シーズン何度かあり得ること(ここのところ、気候がおかしいですからね・・・。)

昨シーズン、シティライトスタジアムで、大ブーイングが起きた試合がありました。あの試合の対戦相手は、東京ヴェルディさんでしたが、そのサポさんがX上で「あの審判を、岡山戦の前にすでに経験していたことが大きかった」という趣旨のポストをされていました。今回の試合、ピッチコンディションをはじめとした、「今後起こりえる悪いシナリオを、首位という良い位置にいる段階で体感したのだ」という経験にできるはず。
そうしていくためには、まず次節で連敗しないことが大事でしょう。

次節は、調子を上げてきている愛媛戦。
チームはどんな振る舞いを見せてくれるでしょうか。次節も楽しみです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?