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エアロゲル中綿ってなんで暖かいの?・・・ていうか、そもそもエアロゲルって何者?


#最近の学び #エアロゲル  #断熱材

必要に迫られて学ぶことになった「エアロゲル」

少し前にお付き合いのあるアパレルメーカーから「エアロゲルインサレーション・フィールドコート」なるものの販売を打診されました。アウトドアが好きな自分が好きそうなアイテムだったこともあり、二つ返事で快諾したのです・・・が!そもそもエアロゲルってなんやねん?って後から気づきまして、売るからにはきちんと理解しておかないとまずいということでモーレツな勢いで学ぶことになりました。

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そもそもエアロゲルって何?

で、早速ググるわけですが、非常にわかりやすく説明してくれているサイトを見つけました。以下、そのサイトからの引用です。

エアロゲルとは?

エアロゲルは、「個体の煙」と形容されるように物質の90%以上を空気が占める。その構造はいくつもの小さな部屋の中に空気を詰め込んだようなものだ。そのため、分子同士の衝突が起こらず熱が発生しない特性があり、断熱性に優れている。エアロゲルはシリカなどからジェルを作るところから始まる。そのジェルの中の溶媒に対して超臨界乾燥という処理を施し、気体に置き換えることで完成する。超臨界乾燥とは、気体とも液体とも区別のつかない超臨界流体を使い、構造が脆く、繊細な物質も構造を保ったまま乾燥することができる技術を指す。

【出典】日刊工業新聞社 https://newswitch.jp

なぜエアロゲルは地球上の物質で最も断熱性に優れる素材なのか

つまり、エアロゲルは個体でありながら90%を空気が占めることで物質(固体)として地球上で最も断熱性に優れているということですが、では、なぜ最強なのか。このエアロゲルの優れた断熱性を理解するには、質量の90%以上を占めると言われる「空気」についても合わせて理解しておく必要があるようです。

最強の断熱材「空気」

実は地球上で最強の断熱材は「空気」というのが無知な私でも知っているくらい世の中の常識です。例えば、航空機や高気密住宅の複層ガラス(二重窓)、鮮魚を運ぶ発泡スチロール、暖かいダウンジャケットなどなど・・・すべてが空気を利用して断熱しています。

断熱性が高い=熱伝導率が低い

断熱性が高いということは、すなわち熱伝導率が低いということになるのですが、こちらについては札幌市青少年科学館のFAQが非常にわかりやすかったので引用させていただきます。

物には熱を伝えやすいものと、伝えにくいものがあります。そして、物によって熱の伝わるはやさの度合いが決まっています。これを、熱伝導率といいます。右の表は、主な物の熱伝導率を表わしたものです。熱の伝わりやすい物は、熱伝導率が大きく、反対に小さいものは、伝わりにくいのです。

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表を見ていただくと一目瞭然ですが、熱伝導率の低さは空気がほかを圧倒しています。まさに桁違い。つまり、この圧倒的な実力を持つ「空気」を90%も含む固体であることこそが、エアロゲルが最強の断熱材である理由といえるのです。

で、エアロゲルインサレーションってなんやねん?

で、エアロゲルが最強と呼ばれる理由がわかったところで話を戻します。そう、「エアロゲルインサレーション」ってなんやねん?って話です。

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防寒衣類の暖かさを左右する「デッドエア」

中綿入り防寒衣類(今風に言うとパデットジャケット)は複雑に絡み合った中綿繊維が空気を含むことで断熱しています。その空気のことを「デッドエア」を言いますが、中綿の質量を増やし、より多くのデッドエアを含むことで断熱性も向上します。寒冷地や極寒の環境でモッコモコのダウンジャケットを着ているのはそのためです。

中綿とエアロゲル粒子が合体して断熱性がパワーアップ

薄い中綿にもかかわらず暖かい「エアロゲルインサレーションフィールドコート」の中綿はエアロゲルをパウダー状にして芯地に熱圧着しています。このエアロゲル粒子のおかげで同じ質量の中綿に比べ113%高い保温性を実現しているのです。

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水濡れに強い性質をもつエアロゲル

中綿(ダウン含む)には雨や汗など濡れると潰れてデッドエアをキープできなくなり、保温性が著しく低下するという弱点があります。しかし、固体であるエアロゲルは水分で潰れることもなく断熱性も低下しないことから、2017年にプリマロフト®がアウトドア向けの中綿としてエアロゲル入りの化繊中綿を発表、すでにパタゴニアやノローナ、ザ・ノースフェイスなどに採用されています。

最後に

先日ネット上で「マイナス196度を断熱」などの触れ込みで販売されているアウターを見かけました。現物を見ていないので詳しくはわかりませんが、どうやら厚さ2mmのシート状のエアロゲルを使っていると記載されておりました。これが本当なら通気性がほとんどないので、ムレまくると思うのは私だけでしょうか。まぁ、そもそもマイナス196℃なんて環境に行くこともないだろうし心配する必要もないのか・・(^^)

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