【掌編小説】四角い空
花が色とりどりに咲き乱れ、草が青々と茂った場所だった。毎日誰かが手入れをしているのだろう。寝心地はとてもいい。
羽を閉じてずっと空を見上げていた。さまざまに表情を変える空。霞むほど高い壁に四角く切り取られたその空は美しいけれど、いつもたくさんの目がこちらを覗いている。飛んでいても、走り回っていても、眠っていても、何をしていても。
あぁ、あの目から開放されたい。
あの美しい空に思いっきり飛び出したい。
空はどんな感触がするのだろう。
水のようにとろとろと私を包むのだろうか。
あの美しい青色に私の羽も染まるのだろうか。
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