古い家屋の持ち主

郵便局で配達のアルバイトを
していたとき

一軒飛ばして
郵便を届けない家があった。

表札も無いし
誰も住んで居ないだけだと
気にもしなかった。

近所の人が
あの古い家
親子で住んでいて
お爺さんが亡くなってから
息子さん
何処かに行ってしまったらしいよ

借金があって
夜逃げしたと
聞いたのよ。

色々な事が起きる
世の中だから
そんな事もあるだろうな

今日も配達してる時に
横目でみた。

勝手口が開いているような。

数センチドアが閉まってないのが
見えた。

郵便局のカッコをしているから
入っても怪しまれなさそう。

誰も居ない時間帯だし

侵入してみた。

明らかな当時の生活感がある中
カレンダー等は20年前で
止まっている。

この家は2階が増築されている

2階に行くと
違和感を感じた。

この家は階段が無い。

階段がありそうな
場所は壁になっている

ハシゴで上ってきたけど
そんな増築をするかな？

お爺さんの部屋が
2階にあったけど

ハシゴで登るの？

一ヶ所
砂壁の場所を
押したら手が突き抜けた。

階段？

1階に行く階段を見つけた。

何のために？
通れる穴を開けて
階段を降りると、

白骨化した
死体が階段に有った。

「やばいよ、やばい」

逃げた。

逃げるよ

2～3日悩み
警察に

「家に出入りする人を見た」と
通報した。

配達中に気になってと
嘘をついた。

もしバレても
俺はバイトだし

俺が殺した訳じゃない。

警察から身元不明の遺体を見つけた。
家の持ち主に
事情を聞く事になった
ご協力ありがとう

意外に問い詰められなかった。

その後

父が階段で亡くなり
生活に困る事を恐れて
そのまま
階段を壁で隠して
2階に行けるハシゴを
作ったそうで

年金など貰い続けて
暮らしていたけど
住み込みの仕事を見つけて
引っ越したと
言うこと。

月に何回か様子を見に
帰って来たが
だんだん来なくなり
月日は流れたと。

誰にも真実は
話せなかった。

今でも
空き家をみると
持ち主はどこ？

なんて思う。

時には壁に埋められてる
遺体の姿を夢で見ることもある。

古い家

誰が居ましたか？

壁、床下

誰かいませんか？