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【勝手にレビューしてみた】京都大学法学部の専門科目講義感想

これは何?

留年・内定取消しの危機に陥りながらも、なんとか京都大学法学部を卒業することができた者が、思い出として過去に受けてきた講義の感想を書いたものです。

京都大学法学部は、必修科目がほぼ無かったり(大抵の法学部は、憲法や民法や刑法が必修だったりするが、京大は憲民刑から6単位以上取れればいい)、試験一発で成績が決まる科目ばかりだったりして、自由度はかなり高いです。しかし、自由を飼い馴らせず、卒業がギリギリになる人や留年する人が、数多くいます。

この文章は、法曹や大学院に行く予定が無い人、学問にそこまで興味を持っていない人に向けて書いたものです。

つまり、

・就職することにした!でも単位が足りなくて留年しちゃうかも!

・とにかく単位が欲しい!

という方に向けて、同じような境遇の自分が、これまで受けてきた科目の感想を述べることで、履修のお手伝いの一端になればと思っています。

京都大学法学部の皆様の卒業をお祈り申し上げます。

卒業に向けての大前提

大抵の人は理解していることだと思いますが、

・基本的には、採点が優しい教授が担当している講義≒楽単を履修しましょう。まだ要卒単位に届かないなら、その時は興味のある科目を選びましょう。ただし、この時も、鬼単疑惑がある科目は避けましょう。

・法律科目より、法制史系の科目や政治系の科目の方が、解答時の作法が少なく、とっつきやすい傾向にあると思います(諸説あり)。

・どんな手段を用いてもいいので、講義に出て話を聞き、ノートを取り、試験1ヶ月前くらいになったら復習しましょう。これだけで、大抵の科目は何とかなります。

・休暇期間を使って予習できれば尚良し。シラバスに書いてある教科書や参考文献を読んでみましょう。

・これらのツール・サイトを活用しましょう。

https://rakutan.shiba6v.com/

単位取得率が高ければ何とかなります。

ただし、履修人数が少ない科目や2単位科目に関しては、難易度の割に単位取得率が低くなったりするので、過信しすぎないように。

また、同じ科目名でも担当教授が変われば単位取得率は大きく変わるので、どの教授が担当したかも併せて確認しましょう。法学部自治会が販売している過去問や、法学部自治会の過去問データベースを使えば分かります。


では、以下が講義の感想です。

憲法第一部(総論・統治機構) 毛利 透  

・講義の内容:覚えてない。

・講義の感想:理論的かつ抽象的な内容である上、自分の理解力不足もあり、面白くなかった、

・試験対策・単位取得難易度:試験前にリーガル・クエストを読んだ。内容は意味不明だった。何を書いたか自分でも分からなかったが、単位が来た。仏。

・こんな人に向いている:とにかく単位が欲しい人


憲法第二部(基本権) 土井 真一

・講義の内容:実際に最高裁がどのように憲法問題を解釈して結論を出すのか、ということを解説。

・講義の感想:第一部に比べれば、内容や話し方が面白かったが、この時2回生後期でクズだった自分は、途中から出席しなくなった。

・試験対策・単位取得難易度:試験前に友達のノートとレジュメを借りて、2周した。何を書いたか自分でも分からなかったが、単位が来た。仏。

・こんな人に向いている:とにかく単位が欲しい人

行政法(総論) 仲野 武志

オンラインにて受講

・講義の内容:行政法の総則。具体的な内容は忘れた。

・講義の感想:話し方が面白かった。ただ、立場が独特らしく、ロー生からは不評っぽい。

・試験対策・単位取得難易度:オンライン試験だったこともあり、初見の法律が出され、このような事例の時はどう解釈するか?みたいな問題が出された。ゴミのような答案を生成したが、何故か単位が来たので、採点は優しいのだろう。

・こんな人に向いている:単位が欲しい人で、コマが空いている人

社会保障法 稲森 公嘉

オンラインにて受講

・講義の内容:年金、医療保険、社会保険、生活保護の制度設計を学ぶ。

・講義の感想:「この部分は飛ばすので、各自確認しておいてください」という部分が多かった。

・試験対策・単位取得難易度:大きな特徴として、○○「法」という科目名であるにも関わらず、学説が出てこない上に、判例の判断過程もほとんど問われない。その代わり、「年金保険料は最低でも○年以上払わないと、将来年金が貰えない」とか、「生活保護者は原則として車を所有できないが、通勤に支障が出る場合はOK」といった、制度設計や判例の結論の部分を覚えるのが、非常に大事になる。要は、暗記ゲー。オンライン試験だったので、楽に通過できたが、オフライン試験の場合、良くも悪くも人を選ぶと思う。

・こんな人に向いている:学説の対立に疲れた人、暗記が好きな人、年金や医療保険に関心がある人


刑法第一部(総論) 塩見 淳

・講義の内容:刑法の解釈をする際の大前提となる部分を学んだはずだが、途中から講義に行かなくなったので、全然覚えてない。

・講義の感想:自分の理解力不足もあり、つまらないと感じた。

・試験対策・単位取得難易度:講義に全然出席してなかったので、試験前にリーガル・クエストを読んだ。内容は意味不明だった。何を書いたか自分でも分からなかったが、単位が来た。講義の最終回にて「何か書けば単位を差し上げます」とおっしゃっており、単位取得率も相当高い。しかし、一切勉強せず挑むと流石に落とされるらしいので、せめて刑法の答案の書き方くらいは学んでおいた方が良いだろう。

また、このTwitterアカウントが、勉強の上で大変参考になる。


・こんな人に向いている:とにかく単位が欲しい人


刑法第二部(各論) 髙山 佳奈子

・講義の内容:第一部の内容を前提として、実際の各犯罪の詳しい解釈問題を学ぶはずだが、途中から行かなくなったので、何も覚えてない。

・講義の感想:すぐに行かなくなった、とだけ。

・試験対策・単位取得難易度:ゴミのような答案に対しても合格点を与えてくれた。仏。ただし、一切勉強しないで行ったら落とされた人もいるので、刑法第一部同様、答案の書き方くらいは把握したほうが良いだろう。また、講義の後半の方で、試験範囲を教えてくれるので、せめてそこは徹底的に学ぼう。

こんな人に向いている:とにかく単位が欲しい人

刑事訴訟法 池田 公博

オンラインにて受講

・講義の内容:警察の犯罪捜査や刑事裁判における法解釈を学ぶ。

・講義の感想:様々な学説が出てくる。論証する上で覚えるべきことが多い。

警察は刑訴法をちゃんと理解して行動しているわけではないんだなーと思う事例がいっぱい出てきて、参考になった。

教授の声が小さい

・試験対策・単位取得難易度:講義を聞いてレジュメにメモをとり、試験前はレジュメを読み返して復習。範囲は膨大。試験はオンラインのおかげでなんとかなった。

・こんな人に向いている:警察の職務質問や検察の主張に対して「???」と思ったことがある人。価値観の対立が好きな人。

民法第一部(総則・親族) 西内 康人

・講義の内容:民法の総則を学んだはずだが、すぐ行かなくなったので、何も覚えていない。

・講義の感想:そもそもが原則論的なお話なので、あまり楽しくなかった。ってか、民法の総則を面白いという人を見たことない(潮見教授の講義はめっちゃ分かりやすい気がするが)。

・試験対策・単位取得難易度:試験前にレジュメ読むも、内容は意味不明だった。何を書いたか自分でも分からなかったが、60点というお情けのような点数をくれた。

・こんな人に向いている:ギリギリで良いから単位が欲しい人

商法第二部(会社) 齊藤 真紀

オンラインにて受講

・講義の内容:要は会社法。株式会社の設立の仕組みとか、株主の権利とか、役員がやってはいけないこととか、とにかく会社経営に関する法を網羅している。

・講義の感想:内容的にはかなり広く、他の大学では6単位や8単位かけてやる内容なのに、京大法学部は4単位でやっているらしい。頭おかC。

解説時、レジュメが行ったり来たりしてたのが、地味にストレスだった。

・試験対策・単位取得難易度:「問題を作って解答も作れ」という伝説的な問題が出題された。オンライン試験のお陰でなんとかなったが、オフラインだったら無理ゲーだったと思う。

・こんな人に向いている:会社経営に興味がある人

民事訴訟法 山本 克己

オンラインにて受講

・講義の内容:民事裁判の流れや法律解釈問題

・講義の感想:かなり完結な説明。リーガルクエストの膨大さに対して、レジュメがあまりに薄かった。また、試験範囲が5回分ほど削れたのが印象に残っている。

・試験対策・単位取得難易度:オンライン試験だったにも関わらず、レジュメを丸写しするだけで解答できるような問題が出題された。仏。

・こんな人に向いている:とにかく単位が欲しい人

日本法制史 伊藤 孝夫

・講義の内容:日本の法律の歴史

・講義の感想:全然出席しなかったから、特に無い。

・試験対策・単位取得難易度:出回っている対策レジュメを試験2日前に1周ちょいしたら、単位が来た。日本史をちゃんと勉強してない人には厳しいかもしれないが、日本史やったことあるなら、それくらいの勉強量でなんとかなると思われる。

・こんな人に向いている:とにかく単位が欲しい人

家族と法 木村 敦子

・講義の内容:家族法の解説

・講義の感想:全然行かなかったので覚えてない。

・試験対策・単位取得難易度:試験当日、やってはいけないレベルの間違った論証をしたが、なぜか70点前半の点数をくれた。仏。

・こんな人に向いている:とにかく単位が欲しい人

政治過程論 近藤 正基

・講義の内容:国家の福祉政策をテーマに、各国でどのように政策の選択が行われるのかとか、そもそもの福祉の歴史とかについて学ぶ。

・講義の感想:ほとんど出席してないので覚えてない。教授が息を吸う音は頭に残っている。

・試験対策・単位取得難易度:友達の友達からノートを借りて1周くらいしたらいけた。

・こんな人に向いている:福祉に興味がある人、政策が決定される過程に興味がある人、単位が欲しい人。

日本政治外交史 奈良岡 聰智

・講義の内容:高校の日本史から、国内政治史・外交史を抜き出した上で、それらを詳しく扱う感じ。

・講義の感想:日本史が好きな人間なので、楽しく受講できた。まだ高校日本史教科書には載っていないが、アカデミー界隈では主流となっている歴史解釈や、ニッチだが重要な日本史(例:小笠原諸島が日本領有となる過程)を学べた。

・試験対策・単位取得難易度:講義には半分以上出席した。レジュメを3周ほどした。日本史や世界史の論述対策のような感覚で挑むとやりやすいかも。

・こんな人に向いている:日本史が好きな人

政治思想史 森川 輝一

オンラインにて受講

・講義の内容:全体主義を大きなテーマとし、それに関連する思想家の思想を解説。

・講義の感想:教授が時々飛ばす歴史的・思想的ギャグが面白い。また、政治思想という科目そのものや、全体主義というテーマ設定も面白かった。倫理か世界史の知識があるとスムーズに受講できると思う。ただし、1年ごとにテーマを変えているので、2021年度は全体主義ではなく前近代の思想家が取り扱われるらしい。

・試験対策・単位取得難易度:例年、全体主義についてどのように考えるか問う問題が出題されるので、あらかじめ自分なりに解答を考えておくとスムーズ。

・こんな人に向いている:法律学なんてクソ喰らえという人。正義とは何かについて考えたことがある人。面白い講義を受けたい人。単位が欲しい人。

フランス法 横山 美夏

オンラインにて受講

・講義の内容:フランスの法律の歴史。

・講義の感想:世界史、特にローマ史や中世ヨーロッパ史やフランス史で暗記した事項が、現代フランス法の考え方につながってくるのを感じて面白かった。一方、レジュメに載ってないけど重要そうなことを、口頭でかなり多めに話すことがあり、そこは少し不満だった。

・試験対策・単位取得難易度:講義を聞いて、レジュメにメモを加えつつ、レジュメを復習すればいけるはず。

・こんな人に向いている:世界史が好きな人(特に西洋史やフランス史)

特別講義「生命保険の実務と法」 洲崎 博史

・講義の内容:生命保険の法律理論的な話と実務的な話

・講義の感想:全然出席してないので覚えてない。

・試験対策・単位取得難易度:試験前にレジュメを0.7周したら単位が来た。仏。

・こんな人に向いている:とにかく単位が欲しい人

特別講義「信託法の理論と実務」 橋本 佳幸

・講義の内容:信託法の法律理論と、それを前提にした実務的な内容

・講義の感想:前半が理論編、後半が実務編になっている。前半は意味不明だったので、自分で信託法の入門書を読むのをおすすめする。

・試験対策・単位取得難易度:入門書を読んだり、レジュメを読んだりした。試験は○☓問題と穴埋め問題で構成されているので、なんとかなる。仏。

こんな人に向いている:とにかく単位が欲しい人

特別講義「国際企業取引の実務と法」 西谷 祐子

・講義の内容:商社の企業活動はこんな法律に支えられているんだよ―、みたいな実務的な話がメイン。

・講義の感想:講義にほとんど出てないので、何も覚えてない。

・試験対策・単位取得難易度:レジュメ見返したらいけた。

・こんな人に向いている:とにかく単位が欲しい人

特別講義「外交史」 中嶋 啓雄

オンラインにて受講

・講義の内容:アメリカの外交史+関連するアメリカ国内政治史

・講義の感想:世界史が好きな人間なので楽しかった。アメリカ史は国内の情勢が対外政策に影響を及ぼしたり、逆もまた然りだったり、とにかく内外の事情と連動して歴史が動いていくので、そこが面白かった。また、オンラインの影響だったのかは不明だが、4単位科目であるにも関わらず、講義時間が2単位科目分しかないので、試験範囲も短い。

・試験対策・単位取得難易度:ハンドブックアメリカ外交史で予習し、講義を全部聞いて、レジュメを何周もした。細かい知識の暗記というより、全体の流れを問うような問題が出題されるので、ここまでやらなくても単位は来ると思う。

こんな人に向いている:世界史、特にアメリカ史やWW1・2の歴史や現代史が好きな人、とにかく単位が欲しい人

特別講義「現代社会と裁判」 小久保 孝雄

・講義の内容:裁判制度の概要

・講義の感想:全然出席しなかったので何も覚えていない。

・試験対策・単位取得難易度:単位取得率は例年9割以上。つまりそういうこと。仏。

こんな人に向いている:とにかく単位が欲しい人

特別講義「現代社会と弁護士」 山本 敬三

・講義の内容:弁護士制度の概要

・講義の感想:全然出席しなかったので何も覚えていない。

・試験対策・単位取得難易度:単位取得率は例年9割以上。つまりそういうこと。仏。

こんな人に向いている:とにかく単位が欲しい人

外国文献研究(英) 川濵 昇

・講義の内容:英語の文を購読する。外国語文献購読に似ている。

・講義の感想:自分の発表以外はほとんど話を聞いてなかったので、特に無い。

・試験対策・単位取得難易度:単位取得率は例年9割以上。つまりそういうこと。出席して自分の担当箇所だけちゃんと和訳して発表すれば、大抵なんとかなる。教授によるが、就活での欠席はセーフ扱い。出席さえできるなら仏(ただし教授によるかも)。

こんな人に向いている:とにかく単位が欲しい人。英語が苦手というわけではない人。出席が苦ではない人。

財政学 諸富 徹

・講義の内容:財政が関わってくる分野や制度設計全般の話...だった気がする。

・講義の感想:全然出席しなかったので何も覚えていない。

・試験対策・単位取得難易度:教科書持ち込み可。試験当日にそれっぽいところを書き写せば単位が来る。仏。

こんな人に向いている:とにかく単位が欲しい人

経済史1 坂根 嘉弘

オンラインにて受講

・講義の内容:日本の農業経済史。

・講義の感想:教授の著作を読めばわかるが、「日本の村社会や家制度が、日本の農業の発展に貢献した」という説を持っており、それを前提にすると大変理解しやすいし面白い。また、集中講義という形態で、半日講義を聞くのを4~5回繰り返すので、集中力を保てるよう頑張るべし。

・試験対策・単位取得難易度:基本的に講義をちゃんと聞いていればいける。オンライン試験だったので、問題数がめちゃめちゃ多かったが、例年だとそれほどの問題数ではない。集中講義が終わったらすぐに試験があるので、そんなに難しい出題はできないのだろう。また、レポートや小テストがあるが、サクッとできる。点数になるのでちゃんとこなそう。

こんな人に向いている:日本史が嫌いではない人、とにかく単位が欲しい人

【おまけ】落とした科目一覧

民法(債権総論・相続) 橋本 佳幸:重すぎた。
民法第二部(物権) 山本 敬三:試験前日に我慢できずスマブラして死亡。
民法第一部(総則・親族) 潮見 佳男:単位取得率7割を超えているにも関わらず駄目だった。
知的財産法 愛知 靖之:レジュメを0.8周しかできず、大問1つ分解けてない。しかし、大問1つ分解けなくても56点なので、ちゃんとやればいけると思われる。
政治原論 建林 正彦:就活忙しいという言い訳のもと、出席もせず教科書レジュメも適当にこなしたら死亡。
国際政治経済分析 鈴木 基史:同上。
東洋法史 鈴木 秀光 F(50):レジュメ1周以上したし、手応えのある答案を書けたはずなのに、なぜか落とされる。前年の単位取得率は8割近かったのに、自分が受験した年は4割切ってて戦慄した。
特別講義「 Introduction to European Law」 KARAISKOS, Antonios:24点をつけられたトラウマ科目。

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