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「ビジネスマン」の、はなし。#11

私がとっても苦手なこと。

それはお恥ずかしながら、ビジネスの話をすること。

かれこれ10 年近くサラリーマンをやっているというのに、
全く自分のビジネス感性に自信が持てず、
優秀な人たちに囲まれてしまうと、
途端に気後れしてしまい、身動きが取れなくなる。

今まで自分は何をしてきたのだろうと、途方に暮れてしまう。

毎日毎日、残業をしてきた。
人よりはるかに長い時間を、仕事に捧げてきた。

それなのに、圧倒されてしまう。
議論についていけず、自分の存在価値が本気で分からなくなる。

お前は使えないと言われるのが怖くて、
いろんな講座に通ってみたりもした。
でも、そういうことじゃないんだということも、
自分が一番よく分かっている。

悔しいほどに、まるで分からないこと。
悲しいほどに、すべて分かってしまうこと。

ビジネスマンとしての自信は、
どうやって育んでいけばいいのだろうか。

そんな風にマイナス思考を巡らしていた頃に、
異動が決まった。
これまでお世話になった取引先の方々に、挨拶をした。

全ての人が、別れを惜しんでくれたわけではなかったけれど、
「あなたとの仕事はやりやすかった。」
「安心して仕事ができた。」
「たくさん無茶を言わせてもらった。助けてもらった。」
そう言ってくれる人たちがいた。

私には、ビジネスの感性はまるでない。
鋭い指摘もできない。
チームを引っ張るリーダーシップもまるでないけれど、
それでも、
こんな言葉をかけてもらって、心から嬉しいと思った。

成長した実感はなかなか持てないけれど、
私が折れずにいられるのは、
愚直に働く私を見捨てないでいてくれる、
仕事仲間に出会えたからに他ならない。

それを私は、誰よりも分かっている。
分かっていることが、いま一番の私の武器なんだと、
それだけは、忘れずに心に留めておこうと思う。

新年度も、素敵な出会いを見つけられますように。

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