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Day.15 椎体骨折の診療メモPlus【総合診療トピックゼミ】

<Story>

 高齢者の転倒による圧迫骨折の対応は分かるけど、高エネルギー外傷による若者の椎体骨折も同じように扱っていいんだろうか……。そう思っていたところに、整形外科医の先生が。「すいません、ちょっと質問いいですか???」

<手術適応について:TLICSスコア>

 Thoraco-Lumbar Injury Classification and Severity score (TLICS)が手術適応を非専門医が判断するのに使いやすい。項目は以下の通り。

1)形態☞Xp・CTで評価する。
圧迫骨折:1点
破裂骨折:2点
転位あり:3点
縦軸方向の分離:4点

2)後方の人体☞MRIで評価する。
損傷なし:0点
損傷が疑われる:1点
損傷あり:2点

3)神経学的状態☞身体所見で評価する。
損傷なし:0点
神経根障害:2点
脊髄損傷(不完全):2点
脊髄損傷(完全):3点
馬尾症状:3点

-判定-
0-3点  保存
4点   外科医が手術を行うか判断
5点以上 手術適応

実際には、すぐにMRIをとれない場合も多いため、基準の参考として使用することとなる。

<脊椎骨折を放置すると何がよくない?>

 神経学的な異常がなくても、後方成分にも異常がある骨折を放置するのがよくないのは、ずばり腰が曲がっていってしまうからです。前方成分がつぶれるだけでなく、後方成分に異常があれば、後方の靭帯が障害を受けている可能性が高いため、背骨の軸の後方をぴんと張ることができず、前方に倒れていってしまいます。
 したがって、例えばもともと靭帯の硬化症で脊椎の動きに柔軟性がないような患者さんの場合には、後方の靭帯が障害されやすいため、リスクが高いと思って対応したほうがよいわけですね。

<保存で行くと決めたなら>

 安静の上で 硬性コルセットを作成した上で徐々に離床していきます。但し、痛みがコントロールできるなら、トイレに行くくらいであれば最初から動いてもそこまでは問題にならないようです。

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