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  • 総合診療トピックゼミ

    地域病院で診療を行うための診療ノート(メモ書き)です。

  • 災害医療学講座

    災害医療の基本事項について紹介するNoteのマガジンです。

最近の記事

Day.24 体重減少の診療メモ【総合診療トピックゼミ

<Story> 若い男性が体重減少を訴えてやってきました。よくよく聞くと、体重は減っていないようなのですが、増やそうと頑張っているのに増えないようです。既往には、精神系疾患はあるものの、体重減少に直接関係する食思不振症などの指摘は今のところなさそうです。精神系疾患はかかりつけ精神科にお願いするとして、内科系疾患はどう検索していきましょうか…… <とりあえずの初動> まずは、問診、身体診察の上、スクリーニング検査を提出する。 ◇一般採血+甲状腺機能☞甲状腺機能亢進症は? ◇

    • Day.23 咳嗽の診療メモ【総合診療トピックゼミ

      <Story> 「すいません、咳が止まらなくて……」、「2週間くらい咳が止まらないんです」「咳が……」ちょっと、咳で困ってる患者さん、多すぎませんか? <最初に、ヤバい咳を分ける>下記の症状が随伴していないかを確認して、それぞれの疾患について評価します。 ◇発熱☞肺炎、結核 ◇膿性痰☞肺炎 ◇血痰☞腫瘍、結核、気管支拡張症 ◇呼吸困難☞喘息、心不全、COPD ◇胸痛☞気胸、心筋梗塞、肺血栓 ◇浮腫☞心不全 ◇体重減少☞腫瘍、結核 などなど <次に、発症から3週間待つ> 

      • Day.22 低Na血症の診療メモ【総合診療トピックゼミ

        <Story> 休日の救急外来担当日、1人の中高年女性が来院された。なんとなくだるいから診てもらいたいと思ったそうだ。なんなら他院でも、倦怠感の精査を進めているそうである。Vitalの崩れもないし、意識レベルもクリア。ぱっと見の印象としても元気そうだが、一応採血へ。結果、低ナトリウム血症が判明する。さて、どうする……。 <まずは、重症か軽症かを判断する> 重症か軽症かによって、初動が異なります。基準は以下です。 ◇重症:痙攣・昏睡 ◇軽症:軽微な意識障害や食思不振以下の症

        • Day.21 縫合と抜糸の診療メモ【総合診療トピックゼミ

          <Story> 頭を打って、皮膚がぱっくり割れてしまった男の子がやってきた。幸い意識ははっきりしていて元気に四肢を動かしているので傷の処置だけでよさそうだ。麻酔、洗浄、そして縫合。翌日、キズを一度見せてもらって……抜糸っていつがいいんだろう? <縫合前後のステップ>1)キズの処置だけでいいのかを判断する。 例えば、気を失って転倒したなら、失神の原因検索が必要。思いっきり打撲したのなら、または異物が残っている可能性があるなら、レントゲンでの評価が必要になる。 2)麻酔を

        Day.24 体重減少の診療メモ【総合診療トピックゼミ

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        • 総合診療トピックゼミ
          24本
        • 災害医療学講座
          5本

        記事

          §.5 A:Assessment【災害医療学講座】

          <CSCATTT、今回取り上げるのは、これ!>C: Command & Control S: Safety C: Communication A: Assessment←今回取り上げるのは、これ! T: Triage T: Treatment T: Transport <Assessmentとは何をすることか>アセスメントについては、イメージすることが難しいように思います。概念としては、情報分析をして戦略を立てるとか、PDCAサイクルを回すとか表現することはできますが、う

          §.5 A:Assessment【災害医療学講座】

          §.4 C:Communication【災害医療学講座】

          <CSCATTT、今回取り上げるのは、これ!>C: Command & Control S: Safety C: Communication←今回取り上げるのは、これ! A: Assessment T: Triage T: Treatment T: Transport <CSCATTTのC:コミュニケーション、一言で> ここでいうコミュニケーションが指していることは、または確立するためにしなければならないことは、大きく2つあります。  1つは、災害時に連絡を取る手段、すな

          §.4 C:Communication【災害医療学講座】

          Day.20 ステロイド外用薬の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <Story>定期通院の患者さん。診察をすると、なんかお腹に湿疹が出てますね。塗り薬を何か処方したいけれど、何がいいかな……。 <ステロイド外用時に考えること>◇湿疹に対しては、とりあえず使用でOK ☞ただし、感染によるものである可能性があるため、ステロイド外用を開始してもよくならない場合は、原因検索を行ったり、皮膚科に紹介したりといった対応を検討する必要がある。*使用開始直後は、感染であっても一時的に改善する場合があるので注意。 ◇どこに塗るかによって、どのステロイ

          Day.20 ステロイド外用薬の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          Day.19 ST変化と脚ブロックの診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <Story> 救急患者さんが搬送されてきた。ウイルス感染で息がしんどいとのことだ。とりあえずモニターを装着してみると、なんかSTが下がっているように見える。十二誘導心電図を見ても、確かに下がってるなぁ、でもこれ多分…… <脚ブロックをざっくり見つける> 詳しい説明はおいておいて、ざっくりの捕まえ方を書かせて頂きます。 Step.1 QRS波が横に広がって、「M」になってるとこを探す 十二誘導心電図をとって、本来は「Λ」型になるべきQRS波が「M」のように割れていたら

          Day.19 ST変化と脚ブロックの診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          Day.18 大腸がん検診の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <Story> 「先生、次の患者さん入ってもらっていいですか?大腸がん検診で要精査になったから、うちに来たそうです。」大腸がん検診、さて、健診結果をどう見て、次はどうしたらよかったかな…… <大腸がん検診の概要>◇日本では、40歳からの大腸がん検診が推奨されている。 ◇しかし、男女ともに健診受診率は50%を切っている……。 ◇健診では、便潜血検査(2日間)が実施されている。 <健診結果とその後の対応>◇便潜血検査が1日でも陽性なら、「検査陽性」となる。 【陽性の場合】

          Day.18 大腸がん検診の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          Day.17 高尿酸血症の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <Story> 定期的に通院されている患者さんの、これまた定期的に行っている採血で、尿酸値が上がっていることが分かりました。足の親指の付け根あたりが居たくなる痛風で有名な高尿酸血症ですが、今まで悩まされたことはないようです。さて……、これ早速薬剤で下げにいったほうがいいでしょうか?それとも、生活指導??? <尿酸降下薬の適応の考え方>◇無症候性の場合には、尿酸降下薬は使用しない ここでいう無症候性とは、以下のいずれも認めないことを意味します。 1)痛風結節 2)腎機能障

          Day.17 高尿酸血症の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          Day.16 肝硬変周辺疾患の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <Story> お腹に腹水が溜まっていて、意識もなんとなくぐったりして見える。そう、肝硬変だ。幸いVital Signは崩れていないけれど…… <肝性脳症について>◇病態◇  肝硬変患者は、アンモニアを尿素回路で分解することができない。代償として、他の回路(骨格筋でのグルタミン合成)での消費を行っている。  ここに追加の要因(感染、消化管出血、便秘など)が加わると、代償機構が破綻する。 ◇症状◇  意識障害、羽ばたき振戦が有名だが、初期の意識変容は「疲れやすい」、「

          Day.16 肝硬変周辺疾患の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          Day.15 椎体骨折の診療メモPlus【総合診療トピックゼミ】

          <Story> 高齢者の転倒による圧迫骨折の対応は分かるけど、高エネルギー外傷による若者の椎体骨折も同じように扱っていいんだろうか……。そう思っていたところに、整形外科医の先生が。「すいません、ちょっと質問いいですか???」 <手術適応について:TLICSスコア> Thoraco-Lumbar Injury Classification and Severity score (TLICS)が手術適応を非専門医が判断するのに使いやすい。項目は以下の通り。 1)形態☞Xp・C

          Day.15 椎体骨折の診療メモPlus【総合診療トピックゼミ】

          Day.14 肝逸脱酵素上昇の診療メモ【総合診療トピックゼミ

          <Story> アレルギー症状と思われる全身の膨疹で来院した患者さん。静脈ラインを取ると同時にルーチン採血を実施。幸い投与した薬剤が徴候して、症状はなくなりましたとのこと。そんなこんなで落ち着いたところで採血結果が到着。急いで介入する必要があるものはなさそうだが、なんかASTとALTが上がっているんですが……。これってどう対応したらいいですかね? <初動は……> 無症状の場合かつ、ASTとALTの上昇が正常値の2倍未満に収まるのであれば、まずは経過をフォローする方針でOK。

          Day.14 肝逸脱酵素上昇の診療メモ【総合診療トピックゼミ

          Day.13 下痢の診療メモ【総合診療トピックゼミ

          <Story> 外来に来られた患者さんの主訴は、数日下痢が続くことだった。腹痛や血便など確認するが、下痢以外は症状がなく、本人も元気そうでケロッとしている。これなら、感染性腸炎の暫定診断(診断ではない。ゴミ箱診断なのだから)で経過観察ができそうだ。と思いつつも、頭の片隅に思う。下痢の診察って何に気をつける必要があるんだっけ??? <なにはともあれVital Sign> 下痢は、例えば水様便という形で大量に水が体から失われる疾患である。回数や量によっては、水が失われ過ぎてショ

          Day.13 下痢の診療メモ【総合診療トピックゼミ

          Day.12 急性膵炎の診療メモ【総合診療トピックゼミ

          <Story> 女性の腹痛患者が運ばれてきました。Vitalは安定していますが、お腹がちょっと張っているようです。どこを触っても痛いと言われます。便秘がちと言われるし、便秘でしょうか、しかしそれにしては顔がしんどそう。画像評価をしてみると、膵臓の周囲の脂肪織が目立ちます。採血にアミラーゼを追加すると、なんと1000越えです。急性膵炎ですね。とりあえずは点滴で脱水補正を開始しました。さて、入院になるでしょうが、この後どうする……? <最初のオコトワリ> 膵炎の対応には、どこ

          Day.12 急性膵炎の診療メモ【総合診療トピックゼミ

          Day.11 糖尿病の診療メモ【総合診療トピックゼミ

          <Story>  既往歴もなくお元気な患者さん、血糖値が高くて健診にひっかかったと来院されました。さて、ここからどうしましょう?症状はありませんが…… <糖尿病の診断基準>  やや煩雑な糖尿病の診断基準ですが、実際の臨床場面では、下記のいずれかで診断となるケースが多いでしょう。 (1)1回の採血で、血糖高値+HbA1c高値 血糖値は、早朝空腹時であれば126mg/dL以上、随時血糖であれば200mg/dL以上で高値となります。HbA1cについては、6.5%以上で高値と

          Day.11 糖尿病の診療メモ【総合診療トピックゼミ