TAを大学職員と呼ぶのは横暴だが、ちょっと行動原理を分析してみた（マスク着用拒否で飛行機を降ろされた事件）

事件と呼ぶのかわかりませんが、今朝報じられたニュースに衝撃を受けましたのでご紹介させていただきます。スポーツ報知によりますと、明治学院大学の特別ティーチングアシスタントとして働いていた男性が飛行機から降ろされた事件です。

概要

男性はLCC（ピーチ）乗機後、CAさんなどからマスク着用を呼びかけられるも断固として拒否した挙句に、CAさんに手をあげるなどの行為を働いたようです。同機は釧路発大阪行の飛行機だったようですが、機長が航空法の安全阻害行為に当たると判断し、新潟の空港に臨時着陸、そして降ろされることになりました。

離陸前からマスクを着用しないことを注意されていながら、終始横暴な態度が続いていたとのことですが、男性は「事実と違う」と逮捕後に供述しています。

ただし、他の乗客の発言（なぜマスクをしないのか、いい加減にしろ）や降ろされた際に乗客らが拍手していた状況からも、この男性が頑なにマスク着用を拒否しており、そこに明確な理由はなかったものと推察されます。

TAは職員ではない

男性は取調べに対し、「明治学院大学の職員だ」と身分を明かしたようです。

しかし、私が思うにTAは職員ではありません。冒頭にあるとおり、「ティーチングアシスタント」であり、主に大学院生などがアルバイトで就く役割です。仕事内容は大学によるかもしれませんが、文字どおり、大学院の研究支援や授業サポートを行う役目を負っており、実質大学院生に対する奨学的意味合いのあるアルバイトであると考えられているのではないでしょうか。

記事を見ると「特別ティーチングアシスタント」と書かれており、明治学院大学ではこの特別TAは学生からのレポートの添削やオンライン指導をしていたようです。

ここを見る限りでも、授業を主として行う存在ではなく、あくまでもサポート役の仕事をしていたことがわかります。ですので、非常勤講師よりも下位の役割を担っていたようですね。

いずれにせよ、特別TAは大学職員ではありません。一般的に「大学職員」とは「大学事務職員」、しかも専任を指す場合が多く、嘱託事務職員でもなければ技術系（施設系やスポーツ指導者など）でもないので、なぜ大学職員を名乗ったのか全くもって意味不明です。

たまにこういう人いるけど、多分こういう理由

うーん。あまり書きたくありませんが、大学で働いているとこういう人には時々ぶち当たります。世の中でも、他の会社でもいますよねこういう人。

で、どうしてこんな人がいるのかということを、あくまで経験則から解説したいと思います。

ぶっちゃけ、非常勤の先生に多いんですよ。本当に申し訳ないのですが、やたらと絡んできたり、面倒な言い分を延々言い続けている頑固な（？）人というのは（あえて抽象的に話を進めます）。

おそらく立場が弱いからだと思っています。さらに言うと、大学ほど正規と非正規に歴然とした差がある職業もなかなかないのではないかと感じます。特に教員においては凄まじい差がありますよ。専任は雇用ががっちり守られていて、年収は教授クラスなら1000万は普通に越えていきますし、大好きな研究にもどっぷり浸かることができます。昨今では研究業績や外部資金の獲得などが課せられるように（ようやく）なってきましたが、それでも私学はまだまだ緩いです。

一方で非常勤講師で生計を立てている先生方は、いくつもの大学を掛け持ちしながら大学生に授業を行っていますので、ご自身の研究に割く時間などほとんど、むしろないと言っても過言ではありません。研究がしたくて研究者になったのに、現在では専任教員や正規研究員のポストが少なすぎて、こうした非常勤講師職を複数持って生活されている方がたくさんいらっしゃいます。

そして無期転換にならないように雇い止めをされたり、大学からは良いように使われたりして、疑心暗鬼になっていくのだと思います。結果、自分自身は自分で守らないといけないと強く思うが故に、時として強すぎる主張をするようになってしまうのかな、と言うのが人事担当者として感じるところです。

（あ、ちなみに「元から悪人説」は除外していますので悪しからず）

同情はできない

だからと言って、当事件の男性に同情はできません。マスクをしなければならないというのは自分一人のためのものではなく、周囲の人へ悪影響を与えないために行うものですので、この非常事態にあってワガママは許されるはずがないからです。

CAさんや機長、そして同乗されていた他の方は非常に嫌な気分がしたでしょうね。こういう時だからこそ、一人一人が周囲を思いやる行動をすべきですし、できる余裕（厳しいですが）を持ちつつ、コロナを乗り越えていきたいと切に思います…！