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【どこよりも詳しい】オリックス新外国人ジェシー・ビドル投手徹底分析

こんにちは、シュバルベです( ・∇・)

12月17日、オリックス・バファローズは一気に3名の新外国人獲得を発表しました。ジェシー・ビドル投手、ジェイコブ・ワゲスパック投手、ブレイビック・バレラ選手です。

各選手について調べ、分析していきたいと思います!

第一弾:ブレイビック・バレラ選手はこちら↓↓

第二弾となる今回は、貴重なリリーフ左腕候補であるジェシー・ビドル投手について書いていきます。

1.ジェシー・ビドル投手の成績

ジェシー・ビドル(Jesse Biddle)投手は現在30歳、196cm100kgの大型左腕で今年はアトランタ・ブレーブスに所属していました。2019シーズンには3球団を渡り歩いたこともあります。

ビドル投手の今季MLB成績は次のようになります。

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8試合に登板しましたがそのうち4試合で失点を喫するなど打ち込まれ、5月半ばにマイナー降格。以降MLBでの登板はなしとなりました。21.6K%と三振は取れている一方で、ヒットを多く打たれ四球も与えてしまっています。

ただこれだけでは語れないので、MLB実績のあるここ4年間のビドル投手の成績も見てみましょう。

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ビドル投手がメジャーデビューを果たした2018年にキャリアハイとなる60試合63イニングのフル回転。25.2K%と高い奪三振能力を武器に防御率も3点台前半と好成績を残しましたが、そこから成績は下降線を辿っています。

2020年はコロナの影響でマイナーリーグが開催されなかったためメジャーの1試合のみの登板に留まりましたが、今年は3Aでも29試合に登板しています。

3Aでは37.7K%と3人の打者に対して1つ以上の三振を奪い、防御率2点台。MLBでは通用しなくなってしまいましたが、マイナーでは無双するという状態でゆえに日本行きの運びとなったのでしょうか。

いずれの年もビドル投手の奪三振能力は安定しており、好リリーフ投手としての条件をひとつ満たしている一方、与四球率が10%を毎年超えている点は気になります。

次の項目では投球内容について詳しくみていきましょう。

2.ジェシー・ビドル投手の投球内容

ビドル投手はどのようなボールでピッチングを組み立てているのか。こちらは2021年MLBで投げた8試合での球種構成です。

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150km/h近いフォーシームと120km/h台のカーブ、130km/h台のスライダーで球種構成の大部分を占めています。2020年は2/3イニングの登板に終わったため除きましたが、2018年以降MLBで稼働した年の球種構成は次のようになっています。

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割合の上下はありますが、ビドル投手にとって3つの球種が主体となっていることは分かるでしょう。

2-1.変化球の使い方

カーブをここまで多く使う投手は珍しく、右ではそれこそオリックスに在籍していたディクソン投手がナックルカーブを30~40%近く投げていましたが、左では浮かびません。この希少性をオリックスが買っている可能性は高いでしょう。

ビドル投手のカーブは被打率が毎年低く、2018年は.083、2019年は.211、2021年は.200。ビドル投手にとってのこれまでのマネーピッチはカーブであると言えます。カウント球としても決め球としても使われており、2018年はカーブで30個を超える三振を奪ってきました。リーグ平均よりも落差が大きく、18年は空振り率50%越えという魔球だったのです。

対角線に投げ込む落差のあるドロンとしたカーブはMLBの打者も左右関わらず苦戦しています。こちらのボー・ビシェット選手へのボールが良い例です。

一方で、2019年以降はカーブであまり三振が取れなくなり、実は今年に関してはスライダーの方が多くの三振を取っています。追い込んでから40%近くスライダーを使っており、空振りの率もスライダーは43.8%でカーブの31.6%を上回っています。こちらは各球種の変化量を2019年と2021年で比較したものです。

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赤い矢印をつけてしまいましたが、スライダーだけ変化の仕方が変わっていることに気が付くでしょう。2019年はリーグ平均よりも落差・横変化とも少なかったボールでしたが、2021年は横変化量が大きくなっています。球速にも変化が出ていて、2019年は平均140km/hでしたが2021年は133km/h。

今年から日本の一球速報等で同表記されるか分かりませんが、スライダーではなく「スラーブ」として認識していく方が適切かもしれません。

JBJを打ち取ったこの動画のボールはまさにそうですね。

2-2.フォーシームの質

さて、ビドル投手の変化球について述べてきましたが、成績を落としている要因はフォーシームにあります。

シンプルに被打率が悪く、21年は被打率.438、2019年は被打率.400。左で150近いフォーシームを投げながらこの打たれっぷりは不安を感じます。18年は平均152km/hでしたが年々平均球速を落としてしまっているのも気がかりなポイントです。

フォーシームに関しては、MLB全球場で使われているトラッキングシステム「ホークアイ」を導入したスワローズのデータと簡単に比較してみましょう。

こちらは「ビドル投手の直近3年のフォーシーム」、「スワローズの左投手平均」、「(参考として)高橋奎二投手のフォーシーム」の3つの変化量をプロットしたものです。

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ボールも球場も違うので大したことは実際言えないのですが、ビドル投手のボールはスワローズの左投手陣と比べてシュート成分・ホップ成分とも少ないボールとなっています(スワローズにそもそも左投手が少ないので本当に参考of参考です)。最も、先のMLBでの球種変化量を見てもシュート成分は平均より少ないのでこの点は妥当でしょう。

ただ、サイスニード投手で似たようなことをやった際に来日後の方がシュート成分・ホップ量とも増加したので、日米のボールの違いによる傾向が出るかもしれません。この点の検証は今後スワローズの新外国人が増えるほど出来るので楽しみです。

ビドル投手に関して言うと、彼の投げ方はスリークォーターに近いのですが、あれでシュート成分が少ないのは興味深いです。カーブ、スラーブとグラブ側にいくボールを軸にしている分、投げ手側にフォーシームを投じているのですが、シュート成分が少ないゆえに左打者にとってはインを突ききれず右打者にとっては逃げ切らないみたいな感じですかね。

また、フォーシームの回転数は非常に多く平均2,546回転。ちなみにスワローズの左投手平均は2,296回転でした。

その割に打たれているのは回転効率(Spin Efficiency)の問題かもしれません。スピン量がどれぐらい変化量に反映できているか、というもので、ビドル投手の今季のフォーシームの回転効率は79%。今季フォーシームを投げたMLBの投手654人中567番目で、フォーシームの質はあまり良くないと考えるべきなのかと思います。制球の不安定さもこれが要因かもしれないですね。

この辺のデータの扱い方はまだ勉強中ですので、誤認があればぜひ指摘してください!

2-3.投球内容のまとめ

長く書きましたが、この章をまとめると次のようになります。

・投球の30%近くをカーブが占める希少なカーブボーラー
・ただ今年一番信頼を置けたのはスラーブ
・フォーシームの質に課題あり

3.ジェシー・ビドル投手に期待すること

さて、これまでMLBでの成績と投球内容を見てきましたが、最も大事なのは来季からオリックス・バファローズでどのような役割を担ってくれるかです。

私としては、左のセットアッパーとして期待したいと考えています。

オリックスは左の中継ぎでは23歳の富山投手、29歳の山田投手がおり、ともに今年防御率2点台でフィニッシュしました。チームとして左投手の数は決して多くないですが先発・リリーフともに質は高く、ここに割って入るのは簡単ではないと思います。

ビドル投手はカーブとスラーブ、この2球種でMLB同様に多くの三振を取ることが出来ること。これが最も重要です。フォーシームの質は簡単に直るものではないので、広い京セラドームを活かして貰えればと思います(無責任)。球速は速いですし。

オフに主に8回を任せて来たヒギンス投手と契約を結ばずセットアッパーの座は不在ですから、その競争に入っていくことになるでしょう。年齢的にも年俸8000万ということもあり、即戦力として稼働してもらわないと困る立場なので、一軍40試合登板が一つのKPIになるかと思います。

富山投手も山田投手も今シーズン成績を残しているので、23シーズンもチームに残るにはこれぐらいやってほしいなぁというのを書き出すとこんな感じです。

シュバルベ的KPI
・一軍登板40試合
・25HP、防御率2点台
・8回セットアッパー固定化

オリックスはディクソン投手やローチ投手などカーブボーラーを好んで獲得する傾向があり、先発ローテーションに入っている投手を見ても山﨑福也投手を筆頭にカーブの使い手を多く抱えています。ノウハウが積まれているので、ビドル投手のスケールアップを期待したいですね。

高身長左腕リリーバーという現在いないカテゴリーなので、チーム全体のバリエーション追加という点でいい補強だと思います。

ついでに、今日のこちらのニュース。

早く導入しましょう。そしてデータを一部でいいから公開してください!

こんなことや

あんなこと

が出来るので!笑

何にしても期待していますよ、ビドル投手!頑張って!

※第3弾ジェイコブ・ワゲスパック投手書きました!ぜひ!


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