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【神宮で輝ける日を再び】宮台康平の進化と真価

こんにちは、シュバルベです✌︎('ω'✌︎ )

本日のnoteで取り上げる選手はタイトルの通りスワローズの背番号68番、宮台康平投手です。

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私は宮台投手にかねてより特別な思い入れがありました。宮台投手こそ私が東京六大学野球に熱中しのめり込むようになったきっかけだからです。少し長くなりますが、その思いを冒頭書いていきます。

冒頭はポエムなので、データを見たい方はぜひ飛ばして1から読んでください!

0.私の世界を広げてくれた投手

今でこそリーグ戦が始まれば毎週のように東京六大学野球を神宮かBIG6TVで見ていますが、私が東大に在学中~卒業後間もないころはそうではありませんでした。

東京大学に校歌が無いことは有名な話ですが、K大学のように大きなOB会なども無く、個人の繋がりはあっても卒業生という大きな枠組みの連帯感が希薄でした。それゆえ誰かに誘われることもなく、さらに在学中から何十連敗も喫していた(私が在学中は1年生の時に早大の斎藤佑樹投手に勝ったその1勝だけでした)ので観戦するモチベーションが無かったのです。当時は六大学野球そのものにほとんど興味を持っていませんでした。

しかし、夏の甲子園に働き始めてからの楽しみとして行くようになり、そこで見た選手たちがドラフト会議で指名されると2016年ごろから本格的にドラフト候補に興味を持ち始め、私は東京六大学野球にも少しずつ足を運ぶようになりました。

そんな中、東大のエースとしてチームを牽引し、2016年日米野球にも侍ジャパンの一員として出場していたのが宮台康平投手でした。

宮台投手はプロのスカウトからも上位候補として注目され、京大からロッテ2位指名された田中投手に続く国立トップ大学からのプロ入りを嘱望されていました。しかし、肩周りの故障で16年秋季リーグから17年春季リーグにかけて万全な投球ができず、その間0勝。

最後の秋、2017年の秋季リーグでの復活を期する中、9月16日の慶應戦で完投勝利。このカードでは3戦目に10-13という熱戦を演じるも惜しくも勝ち点を逃しますが、3週間後の10月7日法政戦で宮台投手は再び9回2失点完投勝利。私が観戦したのは悲願の勝ち点奪取の機運高まるその翌日、10月8日の試合でした。

この試合のことは今でもよく覚えています。

前半で8点を取り、前日9イニングを投げた宮台投手が6回表からロングリリーフ。4イニング4失点、9安打を許し内容は悪かったですが全てを振り絞るようにして投げたその姿は心に残り、最終スコア8-7のルーズベルトゲームを制した東大は15年ぶりとなる勝ち点を奪取しました。

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かつて94連敗を喫し蹂躙され続けてきた弱い東京大学の姿はそこにはなく、野球の世界で並居る競合大学に互角以上の戦いを見せる母校を誇らしく思いました。

この試合以降、東京六大学野球の魅力に足を踏み入れ今ではこんなnoteまで書いているのですが、要は宮台投手は私に東京六大学野球というすぐそこにある新しい世界を見せてくれた選手なのです

ただ、思い入れが深いコトほど、冷静にデータを見て文字に起こすのは難しいものです。これまでも多くの選手のデータを分析し、noteを中心として記事を起こしてきましたが、良くないデータ・結果が出てきたら。そして記事を読んだ人が過度の期待をかけて実際の選手にがっかりしたら。

そんな宮台投手があろうことか私の贔屓球団である東京ヤクルトスワローズに入団した昨シーズン、入団後に多くの記事を読んだり、彼の登板を日々気にして結果を追いかけはしたものの記事には書けませんでした。

これまで多くの記事を書いてきましたが、ただですら贔屓球団について書くことの怖さは心のどこかにあって、特に宮台投手に関してはその怖さが大きかったのです。一度日本ハムから戦力外になっているという事実は勿論その怖さに拍車をかけています。

それから1年以上が経ち、間もなくキャンプインを迎えるというタイミングでようやく宮台投手についてのnoteを書く手が動かせるようになりました。

21年の獲得後は東大からの異色の経歴の投手が入ったことに沸き立ち多くの記事が書かれた一方で、それからたった1年で興味を失ったかのように知らせを見なくなってしまった(”活躍している”プロ野球選手に注目が当たるのは当然だと思っています)というのはあるかもしれません。

彼が2021年シーズン確かに見せたピッチングの成長、一軍昇格を3度経験しながら結局一度もマウンドに立てなかったもどかしさ。記事を書く怖さより、それらを伝えたいという気持ちが上回っている、というのが今の気持ちなのかもしれません。

前置きが長くなりましたが、宮台投手のデータを振り返り、2022年に期待することを書いていきたいと思います。

1.宮台投手が2021年に見せた進化

2021年、スワローズの二軍で宮台投手は確実に成長を果たしました。それは「復活」ではなく、「覚醒」の夜明け前と言えるようなものです。

こちらはプロ入り後の宮台投手の二軍成績の推移です。

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2021年は27試合25.1イニングを投げて防御率2.13。指標を見ても奪三振率26.0K%、与四球率5.0BB%と極めて優秀であり、過去3年間と比べると別人のような好成績を残しました。同じイースタンリーグ内での移籍でここまで大きく数値が改善したのは驚きです。

21年の宮台投手の二軍登板の中で素晴らしいのは、27試合のうち失点した試合は3試合だけという点です。春先の3月24日に3失点、一軍昇格するも出番が無く大きく登板間隔の空いた6月6日に4失点(自責2)、8月22日に1失点。残りの23試合は無失点です。

良いリリーフ投手の条件として私が考えることの一つが失点する頻度の少なさです。6回3失点でもQSと言われる先発投手と異なり、1試合に投げるイニングが1~2回と限定的なリリーフ投手に求められるのは無失点に抑えることだと思っています。極論ですが6試合6イニングで計3失点するにしても、3登板で1失点ずつ喫するより、1登板で3点取られても他の5登板で0に抑える投手の方が私は信頼しています。

日ハムで過ごしてきた18~20シーズンとは異なり、2021年の宮台投手はその登のすべてがリリーフでの起用でした。大学時代は絶対的エースとして東大を牽引し、ルーキーイヤーの一軍プロ初登板を東京ドームでの先発マウンドで果たした”先発投手”宮台康平から、左の”リリーフピッチャー”宮台康平に明確に役割が変わった。そんな1年で宮台投手自身も割り切りが出来た部分があったのかもしれません。

宮台投手は次のように語っています。

左の中継ぎが僕の勝負するところ。そこの適性をしっかり1球目からいいボールを投げられる、左バッターにも強みを出したい。
2022年1月22日付日刊スポーツ

次の項目では具体的な投球内容をみていきましょう。


2.宮台投手の投球内容

怪我をする前の宮台投手の武器は何といっても150km/h近いストレートでした。左投手ながら威力あるストレートは大学日本代表に選出されるほどで、東京六大学野球の他大学の選手をも圧倒するものでした。

しかし、そのストレートの球威・球速はプロ入り後に長らく発揮されてきませんでした。軸となるボールが不十分な故に、スライダーやチェンジアップといった変化球も活きず、日ハム時代は苦しい登板が続きました。

大きな転機となったのはかつてのホーム球場である神宮球場で行われた12球団トライアウトでのピッチングだったのかもしれません。

現日ハムBIGBOSSの新庄剛志氏も選手として参加し脚光を集めたこの年のトライアウトで、宮台投手は140km/h中盤のストレートと鋭く落ちる変化球で3者連続三振と結果を出しました。それから1週間でスワローズは宮台投手と契約を交わしスピード入団。チームの首脳陣はあの日のボールで覚醒の予兆を感じていたのかもしれませんね。

さて、こちらは二軍での各球種の平均球速と投球割合です。2020年と比較をしてみました。

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一目見て余りの変わり様に驚くのですが、あえて取り上げるなら2つ。

・フォーシームの球速が140→144km/hに上がった
・多くの球種を投げるようになった

非常に大きな変化だと思っています。投球の半分以上を占めていたフォーシームの球速が上がり、wFA(フォーシームの失点増減)は-13.0から+6.1とプラスに転じ極めて有効なボールとなっています。

二つ目の球種が増えたという点ですが、計測されるようになったのはツーシームとシンカー、そしてカットボール。フォーシームとチェンジアップの球速の間に入るいわゆる中間球で、実戦で使えるボールの見極めなんじゃないかと推測しています。いずれも失点増減という点で見るとマイナス指標なのですが、カットボールとツーシームは5%近く投げていますし試合で投げて使えるボールと判断されている可能性が高いですね。

ちなみに、2月13日のスワローズキャンプ中継で解説を務めた館山昌平氏は宮台投手について、制球力が良く、小さな変化球もあり、左の中継ぎに割って入れる力があると評していました。ありがたいですね。

3.2022年、宮台投手の真価を見せられるか

今年、宮台投手は一軍の浦添キャンプに帯同しました。前年は一軍登板が無かったため二軍キャンプかと思っていましたが、これは嬉しいサプライズでした。

キャンプイン後、早々にブルペンで投げる姿や投内連携に入って動く姿を見れているのは非常に嬉しいです。第3クールから始まったライブBPの初日に大下投手や小澤投手とともに登板し、塩見選手や西浦選手を相手にしてもファウルが取れる強いストレートを投げています。

さらに、古田敦也臨時コーチとのやり取りも。

球界屈指の頭脳派で、レジェンド捕手の古田氏から多くの事を吸収していて本当に一軍キャンプで良かったなぁと思います。

さて、宮台投手が今年どんな活躍を見せられるか。21年一軍登板無しで崖っぷちの1年、まずはその役割を考えましょう。

こちらは21年に登板した左の中継ぎ投手とそのイニングです(イニング数はリリーフ登板に限る)。

2021年スワローズのリリーフ左腕登板イニング数
坂本 33.1イニング
田口 13イニング
長谷川 3.1イニング
高橋 2イニング
寺島 2イニング
石川 2イニング

はっきり言って左のリリーバーはスワローズで最も手薄な部分の一つです。前半戦は坂本投手が、終盤は先発から転向した田口投手が登板しましたが、通年通して投げ切った左投手はいません。さらに、坂本・田口の両投手は揃って対左被打率.300を越えており、右打者より左打者を苦にしています。

現状からすると宮台投手にとってはチャンスです。左バッターを抑えられるリリーフ左腕は完全に空きポジションで、これから行われていく練習試合・オープン戦で対左打者相手にどんなピッチングが出来るか。それ次第で開幕一軍の可能性もあるでしょう。

2021年、宮台投手は2度一軍に昇格しました。

宮台投手の公示履歴(2021年)
5月29日登録
6月8日抹消
(7月31日エキシビションマッチで2回無失点)
9月20日登録
9月24日抹消

この登録期間中に登板があればよかったのですが、チーム状況・試合展開上、出番は無く二軍に落ちてしまいました。しかし、エキシビションマッチで出番を与えられるなど、一軍で左腕に不測の事態があれば次に控える位置に付けることは出来ていたのが2021年だと思っています。

高津監督としても左の中継ぎについては次のように語ります。

真中 中継ぎ陣に関して、僕はセ・リーグではヤクルトが一番だと思っているんです。
高津 いやいや、左が手薄ですから......。去年は田口(麗斗)がいなかったら、大変なことになっていたと思いますよ。

今年は一軍キャンプというチャンスを掴み、ここまで順調に調整してきています。昨年のスローガンじゃないですが、真価を見せられるかは第4クールからの実戦次第に掛かっています。

シート打撃では打者6人に対し出塁を許したのは1四球のみ。

このように力強いストレートで空振りを取れているので調子は良さそうに見えます。トップを着地時点で作り終わり、以前よりグラブの位置も身体に近い所で支点にしているので投げ方としても良くなっているのではないかと思います。

今年、勝負の一年。進化し真価を見せるとき。頑張れ!!宮台!!

■出典




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