東京六大学ドラフト候補①〜早慶編〜
こんにちは╰(*´︶`*)╯シュバルベです。
東京六大学野球が激動の20年シーズンを終えましたが、折角だし来年のドラフトにかかりそうな候補をつらつらと書いていきたいと思います。まずは早稲田大学と慶應大学から。
ちなみに選手名の後に◯を付けた選手は侍ジャパン大学代表合宿選出者です。
今年の6月の大学代表は23人中20人がプロ入りを果たしており、まだ一年あるとは言え今回の選出者がプロ入りに近いことは間違いありません。あくまで全て参考に過ぎませんし、私見もりもり(というか私見しかない)ですが読んでやってください笑
※なお東京六大学野球連盟のHPでは四球/死球は四死球表記されていること、犠飛の数は掲載されていないことから数字は参考データとなります。
1.早稲田大学
20年秋は伝統の早慶戦で慶應大学を破り、負け無しで優勝を飾った早稲田大学。主戦投手の早川隆久投手は四球団競合のドラフト一位となりました。早速ドラフト候補になりうる現3年生を紹介していきましょう。
1-1.徳山壮磨投手 ○
来年のエース候補はなんといっても徳山壮磨投手(大阪桐蔭)でしょう。
大阪桐蔭時代は選抜優勝投手となり、優れた制球力を武器にドラフト候補として挙げられていましたが早稲田大学に進学。三年間でフォーシームのボリュームが上がり常時140中盤、ギアを上げれば150kmの快速球を投げる右腕に成長しました。
一年秋に右肩を故障してからフォームを見直し、今年の春のリーグ戦では2試合16イニングを無失点。最優秀防御率を獲得しました。足の踏み出し方はオリックス山岡投手のように一度打者に足の裏を見せるようなフォームですが、グラブ側の左半身の使い方は少し気になります。秋は先発したのは2試合で内1試合は2回4失点と打ち込まれましたが、リーグ最終戦の早慶戦2試合目にリリーフ登板した際はMax149km、2回を投げて出したランナーは1人だけと良いイメージでシーズンを終えることができました。
与四球率・被本塁打率が優秀で、例えば慶應の木澤投手は通算でBB/9=3.53・HR/9=0.55、入江投手はBB/9=3.08・HR/9=0.57。共に徳山投手の方が(4年間と3年間の差はあれど)上回っています。一番の差は奪三振能力で、徳山投手がK/9=7.94に対し木澤投手11.35、入江投手9.81と差を付けられています。今年1年でも26イニングで19三振のK/9=6.57ですので、ドラフト一位候補として名を連ねるにはこのオフにフォーシームに磨きをかけ空振りを一層取れるようにする&変化球の精度を上げる必要があるでしょう。
早川投手も3年生の終わりまではドラ1候補の一人でしたが、オフの取組が功を奏し最終学年で圧巻の投球内容を見せつけ4球団競合ですらお得感のあるレベルに達しました。新しいフォームを固め、更なる成長を見せることができれば一位も見えてくるのではないでしょうか。
1-2.西垣雅矢投手
徳山投手とダブルエースを組むのは西垣雅矢投手(報徳学園)。
1年生からともに公式戦に出場し、ライバル関係で切磋琢磨してきました。
先発の経験は徳山投手より多く、イニングも5イニングですが多く投げています。スタッツはかなり似ていて与四球率・被本塁打率が優秀な一方、奪三振能力については今年ドラ1で指名された投手に比べるとやや劣っています。とはいえ、西垣投手はアームアングルの低いスリークォーターで、変化球を主体としたピッチングが持ち味の投手です。
大きく落ちるスライダー、カットボール、ツーシーム気味のフォーク、チェンジアップなど多彩な球種と制球が魅力でフォーシームは先発だと140km前半がアベレージです。本人の課題としてはフォーシームを挙げており、インタビューで次のように語っています。
少しは力強くなったと思うのですが、回転の質だったり、ボールの質がまだまだなので、引き続きストレートにはこだわっていきたいです。(※今年のストレートの完成度を問われ)40%です。体力面の課題や技術的にもまだばらつきがあるので、そういうところを無くしていきたいということでこの数字です。
今秋は5試合16イニングに登板し21奪三振と成長を見せました。体重が左足に乗り切っていないような印象を受けるフォームですので、まだ伸び代があると思うんですよね。来年は徳山投手と共にワンランクレベルアップした姿を見せたいですね。
1-3.岩本久重選手 ○
2年秋から当時4年生の小藤翼選手に代わってスタメンマスクを被りはじめ、3年生となった今年は正捕手として1年間4番キャッチャーとして全試合に出場したのが岩本久重選手(大阪桐蔭)です。
2年秋、3年春と二季続けて3割をマークしたこともあり今秋は研究され打率.189と低迷。中でも東大戦では2試合無安打4四球と調子を崩された感があり、各チーム四球で歩かせてもいいという配球を取られ岩本選手らしくない焦りを感じる打席が見られました。早慶戦も無安打に終わったのは本人にとって相当な悔しさだったでしょう。
この秋に早川投手をリードした守備面は素晴らしく、早川投手がこの秋暴投ゼロに終わったのは岩本選手の優れたブロッキングがあったからです。この難しい一年でチームとして暴投は僅か2つで、パスボールは1つ。いわゆる壁能力が高く、早川投手のあの切れ味鋭いスライダーを一度も後ろに逸らしていないのは本当に凄いと思います。投手が安心して低めに投げ切れる環境を作ることができた、という点でも岩本選手は評価されるべきですよね。
来年に向けてはやはり長打の数を伸ばしたいところです。ブロッキングがちゃんとできて、肩もいいので捕手としての基本的な能力がある分、181cm/82kgのガタイから繰り出される強烈な打球をもっと打てれば言うことなし。現状、ヒッチが深すぎるのでドラフト指名クラスの投手のフォーシームに対し押され気味、ステップも二段で当てることを重視しているように見える(二年生の時は一度の足上げなので19オフにフォームを変えていますね)ので、このオフにフォームを洗練しスピードボールも弾き返せれば理想的な中距離ヒッターになれるはずです。
研究された分、配球を読み確実性を上げて長打をコンスタントに放てるようになったら上位でのドラフト指名も十二分に見えてくるでしょう。
今年、早川投手とのバッテリーで最終戦、優勝バッテリーとなった経験は何にも変え難い貴重な経験でした。大きな成功体験を手にし、来年も4番キャッチャー岩本久重から目が離せません!
1-4.丸山壮史選手
私が今年1年間見ていてたにもかかわらず、ずっと4年生だと思っていたのが丸山壮史選手(広陵)です。それだけ安定感あるプレーを一年見せてくれていたプレイヤーで、通算成績はこちら。
一年春の開幕戦でスタメン出場、そのシーズンでは12試合すべてに出場し大きな期待をかけられていましたが、その後スランプに陥り一年秋〜二年秋の4季での出場は僅か4試合。ファーストにコンバートされ打撃により注力できる環境を貰うと、今年の夏のオープン戦好調で5番ファーストに定着。4番岩本選手の後を担うポイントゲッターとしての役割を果たし、秋はリーグトップタイの10打点。オフ+コロナによる空白期間でのトレーニングが実を結んだとのことで、インタビューで次のように語っています。
自分のスイングをすることに加え、冬に取り組んだ体幹トレーニングによって、スイングスピードが速くなり、それが長打に繋がったと思っています。
それでも岩本選手同様、早慶戦で一本もヒットを打てなかったのは悔しかったでしょう。逆に4番5番が2試合ノーヒットでよく勝てました笑。来年は最高学年として自身のバットがチームの勝敗だけでなく雰囲気を左右するようになるでしょう。他チームの分析も一層進み、研究される中でどれだけボールを見極めた上で「自分のスイング」をできるかが勝負です。
高い身体能力はこの秋見せつけたと思いますので、ドラフト候補に入っていくためには三振を減らしながらクラッチヒッターとしての役割をこなすという難しい課題が与えられています。上の動画のように、脱力した立ち姿、投手の足上げから始動する極めてシンプルなフォームはMLBのコーディー・ベリンジャーを彷彿とさせ、このオフにスイングスピードをさらに上げればとんでもない選手になるかもしれません。期待の塊です。
守備面では高校~大学1年生の時に就いていたセカンドに再コンバートが予想されます。昨年~今年にかけて金子銀佑選手が担ってきたポジションであり、特に今年は高い安定感を誇っていたのでその後を違和感なく受け継ぐだけでもオフはかなり練習が必要でしょう。逆に、セカンドを安定して守れればドラフト候補としてさらに一段上に行けそうですよね。
そして本日新キャプテン就任が発表されました!(パチパチ)副キャプテンの岩本選手とともにチームを引っ張っていってほしいですね。
1-5.鈴木萌斗選手
ポテンシャルは高いだけに今年の早稲田大学の選手の中で最も悔しい思いをしていたのは鈴木萌斗選手(作新学院)でしょう。
1年春からリーグ戦出場機会を多く貰ってきましたが、野村健太選手(1年・山梨学院)の加入により激化した外野手争いの中で、秋リーグの途中から怪我明けの蛭間選手(2年・浦和学院)にスタメンを奪われてしまいました。作新学院時代は走攻守3拍子揃ったセンターとして注目され特に足の速さはプロからも評価されていましたが、ここ3季で盗塁0。打撃面でも今年1年間で29打席に立ち10三振と足を活かすことができない「無駄なアウト」を重ねてしまっていたのが痛かったです。
この頃からそうですが、フォームに関しては捻りすぎです。フォーシームへの対応に苦しんでいるので、来年は打力を増した姿を見せてドラフト候補に返り咲いて欲しいですね。
2.慶應大学
2020年は主戦投手だった木澤尚文投手がドラフト1位、佐藤宏樹投手が育成1位で指名されたように豊富な投手陣を抱える慶應大学。今秋は慶早戦を迎えたタイミングでは引き分けでも優勝と極めて有利でしたが、まさかの2連敗で優勝の座を明け渡してしまいました。
2-1.森田晃介投手 ○
昨年は津留崎投手、今年は木澤投手・佐藤投手と2年続けてNPB投手を輩出している慶應大学の、来年のエース候補1番手が森田晃介投手(慶應)です。
優れた制球力を武器としており、先に紹介した早稲田の二枚看板よりもBB/9は上です。三年生になってからはフォーシーム140中盤を安定して叩けるようになり、いわゆる中間球であるカットボール・ツーシームを制球よく操ることで優れたゲームメイク能力を発揮しています。
フォームとしては小さなテイクバックと小さなストライドが特徴で、昨年楽天に入団した津留崎投手にやや近いものがあります。ただ、体重移動は苦手なように見受けられ、フィニッシュで左足に体重が乗り切っていないように見えます。フォーシームの球速upにはタメと体重移動が重要だと私は思うので、あと少しのフォーム修正でアベレージ140後半になるのではないかと思います。
本人も球速への拘りを次のように語っています。
今秋に向けての課題でしたが、来年への持ち越しになりましたね。更なるパワーアップを見せればドラフト戦線に乗るのは間違いありません。
2-2.福井章吾選手
高校時代は早稲田大学の徳山投手とバッテリーを組み、選抜優勝バッテリーとなった福井章吾選手(大阪桐蔭)。昨年まで長らく郡司選手(中日)が正捕手として座り福井選手は一塁を主に守っていましたが、今年は遂に福井選手が正捕手となりました。
168cm/78kgと小柄ですがパンチ力のある打撃、視野が広く投手を安心させる声がけのタイミング、二塁への鋭い送球など、大阪桐蔭の先輩で西武の主軸森友哉選手に似た好プレイヤーです。というか、打撃フォームも森友哉そっくりです。自身の好きな選手にも勿論(?)森友哉選手を挙げています。
少ない三振と選球眼に支えられた出塁率の高さ、高い長打率と打撃面では郡司選手(こちらはBB/Kが1.32もありましたが)に似たスタッツを記録しています。通算安打24本のうち二塁打の数が6本と言う点は彼の打力+走力+走塁意識の賜物で、地味ですが評価したいポイントですね。
一方で課題は守備面。春はパスボール3つ暴投4つ、秋はパスボール1つ暴投5つとブロッキングはまだまだです。大阪桐蔭の同級生岩本選手が年間でパスボール1つ暴投2つとブロッキング能力を見せつけており、大学を跨いだライバルには負けてられないでしょう。これは練習を積めば改善が見込めるだけに、来年は捕手としてさらにパワーアップした姿を見たいです。新主将に任命され、高校時代に大阪桐蔭キャプテンを務めた持ち前のキャプテンシーも見所です。
2-3.正木智也選手 ○
来年の六大学No.1スラッガーはこの人、正木智也選手(慶應)です。
清宮世代で高校時代からスラッガー候補として騒がれていました。一年春から出場し、積み上げた本塁打は6本で四年生が抜けるとリーグ最多タイ(同じく6本は2年生の蛭間選手)。選球眼が良く三振も少なく抑えています。通算打率3割越えで、今秋は打率.378と当たっていましたが本塁打2本を放っていながら4打点と得点圏で打てなかった点は悔しさを抱えているはずです。前キャプテン瀬戸西選手との対談では4番の役割について次のように語っています。
4番はチャンスで回ってくることが多いので、どんな打撃になってもランナーを返すことが一番大切だと思います。別にそれがホームランでなくても良いと思いますし、打点にはこだわってきたリーグ戦でした。ただ、それでも雰囲気を変えるのはホームランだと思いますし、そういうホームランを秋リーグで打つことができたら良いなと思います。
ちなみに正木選手も秋の最初のカード東大戦ではなんと無安打(え、東大凄くない?←)。逆に、それ以降の8試合では全ての試合でヒットを打っており、東大で荒稼ぎせずにこれだけの成績を収めた打撃の安定感の高さはやはり魅力です。
打撃フォームは去年と今年で大きく変わり(去年の方がシンプルだったとは思います)、夏と秋を比べても秋の方がバットを立てるフォームに変えています。よくこれだけ捻るわ足上げるわフルスイングするわで打率をキープできるなぁと感心しますし、天才型っぽいんですよね。得点圏は気負ってしまってるのかもしれませんが、これだけアベレージ残せるなら来年はきっと打てますよ。自信満々なママでいて欲しい選手です。
守備では昨年まではレフトでの出場でしたが、今年は春に2試合センターでスタメン、残りは基本ライトで出場しました。プロでも両翼に入ることが多くなると思いますが、不安なのは足ですね。肩はそこそこありますが、守備範囲はそこまで広くないです。打撃面でも走力の無さが気がかりで、通算43安打放ったうち二塁打は4本。三塁打は0。これまで観てきた中でも「おお、よく次の塁落としたなぁ」みたいなのを感じたことがないので、感覚的にも不安です。ま、ホームラン打てれば誰も気にしないはずです。
3.番外編
早慶で9人の選手を紹介してきましたが、来年覚醒すれば一気に指名を勝ち取る可能性のあるポテンシャルの高い「シュバルベ枠」をご紹介しましょう。個人の好みが大きく入りますが私のnoteだからいいですよね笑
3-1.長谷川聡太投手(慶應大学)
今年観て面白いなと感じた選手の一人が長谷川聡太投手(慶應)です。またしても塾高出身ですね。
2020年秋にリーグ戦初登板を果たしたばかりですが4試合を投げて無失点。うち3試合がイニングの途中での登板でしたが前の投手が出したランナーも返しませんでした。球速こそ130km台ですが、サイドスローでも手首を立てて投げるフォーシームは力強く、曲がり幅の大きなスライダーも空振りの取れる決め球となり得ます。
そして、初登板となった明治大学戦でリーグ戦初打席ではなんとリーグ史上初の初打席満塁弾を放ちました!
ご本人は「まぐれ」と話していますが、高い身体能力と集中力がなければ打てません笑。来年も何かを起こしてくれる気がします。
3-2.渡部遼人選手(慶應大学)
今年卒業する四年生を含めても通算盗塁数1位の韋駄天が渡部遼人選手(桐光学園)です。
なんと言っても魅力はその脚でしょう。今年ドラフト指名された五十幡選手や並木選手にも負けないスピードだと思います。好きな選手には元ロッテの岡田選手、元巨人の松本哲也選手を挙げているあたり分かってるなぁと思いますね笑。こちらの動画は浅いセンターフライでのタッチアップですが、速いこと速いこと。
打率は低いものの三振が少なく、四球の数が三振より多いのは素晴らしいです。どれぐらい凄いのかというと、打席の多い順に並べた時に四球>三振なのは上位50人中渡部選手1人だけでした。プロに比べて広いストライクゾーンのため見極めてもストライクを取られる中でこの成績はシンプルに凄いです。
このゾーン管理ができた上で3割打てれば一気に注目される可能性もありますし、なにより2年生にして柳町選手(ソフトバンク)からセンターを奪った男なのでラストイヤーでもっと輝く姿を見たいですね。
4.さいごに
早慶の来年ドラフトイヤーを迎えるピックアップ選手を8+2人挙げましたがいかがでしたでしょうか?他にも書きたい選手がまだまだいますがキリがないので笑。次は明治法政立教ですがこれもめちゃくちゃいるんですよね…笑。次もお楽しみに!
追記:公開済みです!!👇