タイムスリップカフェ

夕食の洗い物をしながら。
母と会話をしていた。

父は食事と風呂と病院の時以外。
部屋に引きこもっている。

パチンコに行かないだけいい。
と私と母も思っている。

イオンの中のゲームコーナーで。
年配の人でもメダルゲームをやっている。
と私が言うと。母が珍しく興味を示したが。

ごめん。俺もよくわかんない。
メダルを入れてメダルを増やすんだと思う。


私がOLの頃。その頃は残業なんかなくって。
毎日5時に仕事が終わったら。
先輩に喫茶店に連れて行ってもらって。
そこでみんなインベーダーゲームをやっていた。

あなたも楽しいからやりなさい。
って言われたけど。
あたしはやらなかったな〜。
そういうのは1度もやったが事ない。


珍しく母が自分の昔の話をした。
聞いた事がない話だった。だけど。

その瞬間。ブワッと風景が浮かび。
私もその喫茶店にいる感覚がした。

私が生まれる前。
父と出会う前の母だろうか?
そこにいて。

私はこの景色を知っている気がした。

まだ日は暮れていなくて。
だいぶ明るい。

そんなに都会じゃないけど。
店は結構混んでいて。

男はみんな。
タバコを吸っている。

昼の名残りと夜のムード。
人々の活気を感じる。

けど母の事だから。
多分ディスコにも行かないと思う。


テレビとかユーチューブで。
見たものによって。

私の脳が勝手に作って。
そんな風な気がしているだけだ。

その空間の中で。若い頃の母に。
話しかける事はしないけど。

何だかわけのわからない気持ちと。
光に包まれる感じがした。

気がつけば私は皿を洗っていて。
母は洗った皿を拭いていた。

私はあの光の線の先に。
今いるのだと思った。

この感覚を覚えておこう。
スマホにメモをする。

時間と空間を超えた外側の世界。
そこで出会う人達と私の選択。

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