誰のためのWebサイトなのか

成果物の所有権は、もちろん発注を行い支払いを終えた発注者にあります。
しかしWebサイトの場合は、誰のために作られるものでしょうか。

所有者のためのものであり、そうではない

Webサイトの持ち主は、もちろん所有者にあります。それは当然ですね。
ならば、そのWebサイトは所有者の好みに合わせて作ってしまえばいいのでしょうか。

Webサイトは、最終的にはWebサイトを訪問する人がいてこそ価値があります。
そこには制作者の好みも、所有者の好みも通用しません。
訪問者にとって、見やすくかつ印象に残るものに仕上げなければ、Webサイトとしての価値を発揮できません。

しかし、制作者側のデザインセンス等は、制作者側の好みも、ある程度関わっていなければ独創的な物に仕上げる事は不可能です。
肝心なのは、その「好み」の部分に客観性が含まれ、訪問者の心に印象を与える要素となるかが重要です。

検索エンジンのものでもない

SEO対策のために、SEOに強い(と思われる)キーワードを入れたり、フォントサイズをSEOに適切なものに整えたいという気持ちも出てくるかもしれません。
しかし、もちろんWebサイトはSEOのためのものでもありません。

Googleのエンジンは日々進化しており、それは訪問者の目線になるよう、常に改良されていっています。
SEOに強い文章にするあまり、キーワードを盛り込みまくり、冗長で頭に入らないような文章になってしまっては本末転倒です。
そういうものでも、最初のうちは検索上位に来るかもしれませんが、検索エンジンも常に改良されているため、そのような対策も陳腐化してしまいます。
その証拠に、一時猛威を振るった某エンジニアスクールの情報記事も、普通の検索順位に落ち着いています。

発注者は技術介入しないほうがよい

Webサイトは、デザイナーは訪問者が印象に残るような、かつわかりやすい見た目に仕上げ、コーダーは検索エンジンにも理解しやすいコードに整えてくれています。
そこで発注者が、ここのフォントサイズは24pxにして等の指示を出しても、デザイナーはせっかく考えた視覚効果を崩され、コーダーはせっかく多くの端末に考慮したフォントサイズ設定を否定され、訪問者はなぜここのフォントサイズが違うのか理解できず、誰も幸せにはなりません。
お客様が24pxにしてと言えば24pxにする。その程度の感覚でしか修正を行えません。

それでも良いのであれば、いくらでも好きに改修してくれてもかまわないとは思いますが、そのために制作者側に細かく膨大な修正指示を与え、時間を使って制作者自身の手で構築したロジックを崩させるような事は、ご遠慮いただきたいです。
オモチャにするのは、納品されたご自身のWebサイトだけにしていただきたい所です。

そのような場合は、発注者は『この文言を目立たせたい』というように要望をすれば、デザイナーがもっと有効な方法で目立たせてくれるでしょう。

Webサイトは訪問者を考慮して作るもの

Webサイトは、発注者が所有権を持っているのだから、好き勝手してもよいというのは、まぁ間違ってはいません。
しかし、それでは訪問者に対して、何も伝わらなくなってしまいます。

デザインもフォントサイズも、全ては閲覧する人のために作られたものであり、制作者側は自らのロジックに酔いしれているのではなく、訪問者の事を考えて制作をしている事を忘れてはいけません。
それを発注者側は信頼して、任せていただきたいものです。


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