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「生きる」ための映画=ショーシャンクの空に

GW後の五月病期間に、梅雨入りしてしまったかのような空模様が続きますね。加えて、朝起きてスマホを開くと、目を疑うような悲しいニュースが飛び込んでくる。これはちょっといけません。U-NEXT映画部・林です。

生きる力が減ってしまうこと、誰にでもあると思います。

個人的な話ですが大学時代、いろんなことが重なり、力がどんどんなくなって、何に触れても魂が楽しまなくなった時期がありました。どんなことをしても哀しいし、虚しい。心のHPは残り一桁台、オレンジ色です。

とうとうある日の深夜、ひとり暮らしの部屋の中、いてもたってもいられずウロウロし始めました。自ら取り返しのつかない行動をとってしまいそうなことに恐怖し、力を振り絞ってアパートを出て、駆け込んだ場所はすぐ近くにあったビデオレンタル店でした。

かつてはワクワクしながら物色していたビデオジャケットたちの内容は、目にも頭にも入ってきません。とりあえず新作棚に並んでいた1本を掴んで家に帰り、何も考えずにビデオデッキに入れて、ブラウン管を眺めること2時間22分。

気づけばカーテンの間から射し込む朝日の中で、震えながら滂沱の涙と鼻水を流していました。魂が再起動し、映画を観始める前まで感じていた恐怖は、その時には消えていたのです。

たまたま手に取った作品は、その頃リリースされたばかりの『ショーシャンクの空に』でした。

さすがに一発でHP全快とまではいきませんが、この映画でひとまず生き長らえたことは確かです。ショーシャンクに関わってくれたすべての人たちが、命の恩人だと思っています。


だから僕は、映画に関わる仕事に就きました。


以来、「一番好きな映画は?」という、本来なら超絶難しい質問にも僕は、"食い気味ショーシャンク" をかましています。まさに、『花束みたいな恋をした』のショーシャンクおじさん(=映画通を公言しながら隣の女性にショーシャンクをレコメンドして日本中から軽んじられているサラリーマン)とまったく同じ誹りを受けているのです。

でも、そんなことは構いません。1995年当時は多くの人が知らなかったこの映画が、「キング・オブ・ベタ」な名作映画になった証なのだから。ショーシャンクは四半世紀の間、世界中の人たちを救ってきたのだと思います。

そして今夜初めて、金曜ロードショーで放映されるのですね。金ロー公式が、「今見たい、多くの人に見せたい映画」を募集したリクエスト企画で見事選ばれたとのこと。喜ばしい限りです。

本作のキーワードは「希望」。

今夜、ショーシャンクの「希望」の力で、日本中の皆さんの心のHPが少しでも補充されることを願っています。


※そしてTVの吹替版を観た後は、ぜひとも字幕版でのご鑑賞を。本作の主役のひとつはモーガン・フリーマンの独白ナレーション。滋味含有量世界一のあの声も、心のデトックスには必須です。

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