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「いい映画」とはなんだろう。

今回は割と真面目なお話。映画部の林です。

U-NEXTはこれから、映画の出資や製作に積極的に携わっていきます。
というわけで、日々、映画関係者の皆さんからたくさんの企画提案をいただくのですが、その中でよく訊かれます。

「U-NEXTが求めているジャンルは何ですか?」
「ターゲットは女性?男性?どの年代ですか?」
「バジェットの規模感はどのくらいですか?」

しかし、どの問いに対しても適当な回答はなく、

「そうですね…”いい映画”がつくりたいですね…」

と答えて、いつも皆さんを困らせています。
でも、それしか正しい表現がないんですよね。
本当に困ったものです。

と諦めてしまっては前に進まないので、別の言葉での説明を試みましょう。

さぁ、「いい映画」とは何だろう。

①志のある映画

これも実にふんわりワードですが、よく使う言葉です。

すべてのはじまりは志。
志がなければ、映画なんてつくるもんじゃありません。
志の最初の持ち主は企画者かもしれないし、プロデューサーかもしれないし、監督かもしれないし、俳優かもしれないし、スタッフかもしれません。

結局は誰かの、あるいは参加者みんなの志が有形無形に映画の中に表れると思っています。

②クリエイター重視の映画

脚本、監督、撮影、美術、照明、録音、衣装…等々、スタッフの皆さんの力を重視した映画をつくりたいですね。

優先度が圧倒的に「キャストの人気>スタッフの力」になっている映画を度々見ますが、それはいびつです。ビジネスを考えればそうしたくなるのも理解できる部分はあります。ただ最近は、人気俳優を起用したところで、映画がつまらなければヒットしないようになってきているので、結局は本末転倒です。

俳優も、撮影、美術、照明、録音、衣装…等々、と同じ重さだと思います。

なので、力のある俳優さんが、力のあるスタッフさんと組んで、力のある脚本を映画にする

そこを徹底していきたいところです。

③観客をエンターテインする映画

②は作家性重視ということにも繋がりますが、ただ、ひとりよがりではダメです。映画はアートであると同時にエンターテインメントですから、お客さんをエンターテインしないと。
それは笑かすでも驚かすでも怖がらすでも泣かすでもいい
感情を動かす映画、と言ってもいいかもしれません。
作家性とエンターテインのバランスをいかにとるかは、プロデュースワークの腕の見せどころのひとつだと思います。

④映画賞受賞&レビュー高得点の映画

結果、「いい映画」は、映画賞を獲ったり、FilmarksやIMDbなどのレビューで高得点を取ることが多いです。
でもこれはあくまでも、指標のひとつ。決してすべてではありません。

⑤トロマも「いい映画」

④だけでは測れない「いい映画」もあります。
その説明に使いやすいキングとも言うべきは、トロマ映画です。

トロマとは、NYにある映画会社の名前です。
エログロ全開、度を越したくだらなさを誇るZ級映画を作り続けて40年。
世界中に熱狂的ファンが存在しています。
日本では、『悪魔の毒々モンスター』が一番有名ですね。

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U-NEXTは1年ほど前に同社と契約し、27作品のトロマ映画を配信し始めましたが、その時のファンの皆さんのリアクションには凄まじいものがありました。あまりの喜びから、「U-NEXTのロゴをタトゥーで刻もう」という素敵なツイートもあったほどです。

トロマの総帥ロイド・カウフマンのインタビューを聴いてもわかりますが、
まさに志があって、クリエイター重視で、観客をエンターテインしようとしている会社です。

絶対数は少ないかもしれないけど、熱烈なファンがいる。
こうしたカルトムービーも、「いい映画」だと思っています。


以上、「いい映画」とは何だろう。
いま思い浮かぶのはこういったところでした。

①志のある映画
②クリエイター重視の映画
③観客をエンターテインする映画
④(指標のひとつとしての)映画賞受賞&レビュー高得点の映画
⑤トロマも「いい映画」

また違う言葉が出てきたら追加していきます。

2025年くらいに、U-NEXTがつくる映画がある程度溜まってきて、
「なるほど、ホントに”いい映画”ばっかりだ!」
と言っていただけるように、精進してまいります。



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