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「A24」と私と、その距離感。

たいして読書家ではないのですが本屋さんが好きで、ときどき都会の大型書店にいくと「文字通り日が暮れるまで、いや日が暮れてもずっといられる!いや、住める!!」と鼻息を荒くしております。映画部・宮嶋です。

特に映画関連書籍コーナーが充実していると最高ですね。その観点でいうと新宿・紀伊国屋書店さんかなぁ。ほかにも、思いがけない出会いがあるという点で銀座蔦屋書店さんや青山ブックセンター本店さんも大好きです。住めます。(他にも「ここもいいよ!」っていうお店がありましたらこっそり教えてください)

映画本については、最近は細野晴臣さんの「映画を聴きましょう」という本を読みました。細野さん、映画音楽に対する解像度の高さには納得なのですが、とにかくご覧になっているジャンルも本数ももの凄い!

評論や分析をまじえた本も勉強になるし好きですが、クリエイターの方の生の言葉ってそのリズムも含めて人となりが感じられて大好きです。

それ以外で、個人的についつい手が勝手に動いてレジに連れて行ってしまうのは、「A24」に関する本や特集誌。発売されたばかりの最新刊『ユリイカ』6月号を購入して、これから読むところです(ワクワク)

そうなんです、A24ファンの皆さん!ユリイカの最新刊!A24の特集ですよ!!これはまた、読みごたえがありそうですよ!!


そうそう、A24。ご存じでしょうか…というトーンで説明するのも、もはや野暮ですね。アメリカの、気鋭の映画スタジオです。2012年設立。制作も配給も手掛けています。

アカデミー賞を席捲した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でその人気を不動のものにしたと言えるかもしれませんね。最高でしたね、エブエブ…。母と子の映画としても、女性映画としても、“居場所”に関する映画としても大好きでした。

© 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

とはいえ、2017年にはすでに『ムーンライト』で作品賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)、脚色賞を受賞しています。悲しくて美しくて、中盤の海辺のシーンは特に心に残っています。そして主人公の3つの年齢の顔を使ったキービジュアルの秀逸さよ!

© 2016 A24 Distribution, LLC

とはいえ、A24が“アカデミー賞的な”映画会社かというと、そうでもなく。(まぁ、何をもって“アカデミー賞的”なのかというのもあるのですが)

私の場合、最初にみたA24映画は『スプリング・ブレイカーズ』だったと思うのですが、当時はA24という名前は頭のなかにまったくなくて、「ぶっ飛んでてハジけてて、そこはかとなく儚くて、何だかいいなぁ!」とだけ思っていました。今思えば同じ2013年に『ブリングリング』もあったわけなのですが、この作品については「ソフィア・コッポラの作品」として認識していたので、ここでもA24という名前は気に留めず。

その後、「ヘンで愛すべき映画だなぁ」とか「この映画好きだなぁ」とか、そんな風に心に残っていた映画たちが、私の頭の中でA24というスタジオ名でのひとつのまとまりを構成しはじめたのが、2017年頃でしょうか。先述の『ムーンライト』があった年ですが、『スイス・アーミーマン』もあって。「え、だって『ルーム』もでしょ?『ライフ・アフター・ベス』も『エクス・マキナ』も?なんだなんだ、A24って!」と若干混乱しつつ、面白がり始めたのでした。

© 2016 Ironworks Productions, LLC.


そして、その混乱、というか「なんなんだ」「次はどんな作品なんだ」という感覚はいまもずっと続いています。

いわく、どうやら監督たちの作家性を最大限尊重するらしい。どうやら、プロデューサーにも若い人が多いらしい。どうやら、必ずしも潤沢な予算があるわけではないらしい。でも宣伝のセンスが良くておしゃれで、監督たちもとても喜ぶらしい。そんな噂のA24。

なるほど、だから監督たちもクリエイティブにおいてハジけられるのか。だから面白い監督たちが集まるのか。ふむふむ…といいつつ、それって作品を観ていても想像がつくこと。具体的にどういう組織で、どういう方針で、どういう基準で作品を生み出しているのかよくわからない!

A24作品、結構たくさん観てるんですが、「A24ってこういう映画会社」っていうのが、イマイチつかめないんです。でも、作品のルックやプロモーションのクオリティですごーくワクワクさせてくれる。敢えていうならそれが彼らのユニークさなんでしょうか。

でも、日本のローカルでの展開もとても良くて。『ミッドサマー』から始まった大島依提亜さんとヒグチユウコさんの日本限定のビジュアルなんて最高ですよね。

©2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved.

A24、どういう映画会社かはつかめないけど、追いかけてるのが楽しい!面白い!「これは!観なくちゃ!」って気持ちになります。

そんなこんなで、ずっと「いや~つかめないわぁ」という距離感をもって、A24を見つめ続けているわたくしです。

そうそう、直近だと『ザ・ホエール』も良かったなぁ。ラストシーンで「ふわぁぁあ!泣」ってなりました(わかります?よね?)。

日本ではハピネット・ファントムさんが配給している『アフター・サン』も、北米ではA24とMUBIが共同配給。劇場公開されたばかり。早く観にいかなきゃ!


それにそれに!TVシリーズだと『THE IDOL/ジ・アイドル』も来週からU-NEXTで配信スタート。何と本国と同時配信です。The Weekndとリリー・ローズ・デップで、ハリウッドの音楽業界裏話ものですって。楽しみすぎる…!(そしてこれで来週月曜に来るであろう“サクセッション・ロス”を癒す所存です…)

ところでシリーズものといえば『BEEF』もめちゃくちゃ良かったですね(…他社さんですけれど)。面白かった~。エブエブや、『ミナリ』とも合わせて観るといいかも(…重ね重ね、他社さんですけれどw)。

© 2020 A24 DISTRIBUTION, LLC All Rights Reserved.


そしてこれから。一番手前では、7月7日劇場公開の『Pearl パール』がありますね。『X エックス』の前日譚です。これも大島依提亜さんとヒグチユウコさんのビジュアルが不穏で可愛い…。


さらに先のA24作品としては、公式サイトを観るだけでも、今年のカンヌでグランプリを受賞したジョナサン・グレイザー監督の『The Zone of Interest』、アリ・アスター監督とホアキン・フェニックスの『Beau is Afraid』もこれからきっと日本に上陸するはず。それまで私、生きる…!!

未来に楽しみなエンタメがあるって、幸せですよね!(ワクワク✕2回目)
エブエブの大成功でスタジオとして次のフェイズに入ったのかどうか、ってところもちょっと楽しみ!


そんなわけで、こんな特集もご用意しております。

特集「ハリウッドに旋風!注目の製作・配給会社“A24”

制作作品も配給作品も、かなりの数が揃っていますので、ぜひお楽しみください!A24マラソンもいいかも。

私はこれから『ユリイカ』読んできますヾ(*´∀`*)ノ



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