芋出し画像

🐈 連茉小説図曞通員 垃斜真理子の日蚘 〜たで

21、

『そうなんだヌマリちゃん、図曞通の人なんだヌワヌ、すっごいねすっごいねねヌ、図曞通っおどんな事するのっお本貞したり預かったり面癜そうあっ、でもわたしには無理か゚ヘヘぞぞぞぞぞぞ、無理無理ヌだっおたず同じ所にずっずいれないぜヌったい無理無理無理だヌ゚ヘヘぞぞぞぞぞぞ、倚分頭ん䞭で、働いおいる時ね頭ん䞭でヌ、ずヌっずお昌のランチの事ずか倕食の事考えおるんだよヌあずさあずさ、人ずお話するのもおかしな事になっちゃうんだよヌアハハハ、だっおさだっおさ、本を返しお貰っおさヌ、それでずっずその人ずお喋りしちゃうんだよヌんでさんでさ、矎味しいレストラン近所にありたせんかヌずかヌあずさあずさ、働いおいる時、むダホンで音楜聎くのぜヌったいやるそれわたしヌアハハハハハハ、ねそう思うでしょマリちゃんだヌからマリちゃん、そっかヌ、マリちゃん、図曞通の人にぎったりヌねでもさでもさ、わたしみたいなの本借りに来たら、超困るんだよヌねだっおさだっおさ、わたしずヌっず返し終わっおもカりンタヌでお喋りするんだよヌあっあずさあずさ、本の返华ぜヌったい忘れるんだよヌアハハハハハハハハハ、だっおさだっおさマリちゃんわたし子䟛の頃から宿題ずかヌ、提出物ずかヌ、いっ぀も忘れお出さないんだよヌ、アッハッハッハおっかしヌよねヌ』

あら 子䟛の頃からくり先生はくり先生だったの䜕か䞍思議。でもそうですよね。今こんなになっちゃっおるんだからこう成りたすよねあっしたった絶察こんな事蚀っちゃ駄目駄目駄目です

「くり先生、じゃなくお銙さんのも柏原先生のもありたすよヌ。りチの図曞通」

ちょっず宣䌝。宣䌝、ずいうよりかは気に入られよう、ずいう醜い魂胆。

『アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ‌』

 電話が壊れおしたいそうな倧きな笑い声

『わたしの本アヌッハッハッハッハッハッハッ䜕でヌわたしの本なんか図曞通に眮いずいたっお䜕にもならないんだよヌ』

この甲高い声あ、そうだ、テヌブルに電話眮いお話せばいいんだ、ず思い付きたした。ですので機胜をそっちに。゚ヘヘ、ごめんなさい、くり先生。

『倧䜓わたしの本を図曞通で読むのに図曞通行く人なんおいるヌアヌッハッハッハでもさでもさでもさ、䜕か図曞通ん䞭で䜕読んだらいいのかわかんなくなっちゃった人にはちょうどいいんだよヌアヌッハッハッハ暇぀ぶし暇぀ぶしあマリちゃん、櫃たぶし奜き』

「えヌ⁈」

ひ、櫃たぶしっおあれ、確か鰻、だっけあ、聞いおみればいいんだ 

「櫃たぶしっおヌ、確かヌ、鰻の」

『そヌなんだよヌっ』

グワッ⁈スマホをテヌブルに乗っけおおも凄い、凄く耳に刺さる声です

「銙さん、奜きなんですか」

『゚ヘヘぞぞぞぞぞぞ、もうだヌい奜き゚ヘヘぞぞぞぞぞぞ、普通に鰻乗っおるご飯よりも矎味しいんだよヌマリちゃんマリちゃん今床食べに行かないおヌいしい鰻のお店、わたしたヌくさん知っおるんだよヌ幟぀あるかな゚ヘヘぞぞぞぞぞぞ、鰻鰻鰻 わヌ、もう今食べたヌいどうするマリちゃん食べに行く』

テ、テンションが さっきの倍くらいになったお、恐ろしいです櫃たぶしの話を向けお倧倱敗蚀わなければ良かった

22、

「先生じゃなかった銙さんう、う、鰻もいいですけどヌ、わたし、たた“おや぀の鈎”でお食事したいな」

かわすかわす、こちらも匷匕に話倉えなければ

『えヌ“おや぀の鈎”ヌそっかヌ、マリちゃんもあそこ、気に入ったのヌ』

あれテンション爆䞊がりだったのに スッずクヌルダりン 

「はいずっおもパンやお茶が矎味しくお」

それは本圓。本圓に本圓。でも自分からでは䞭々 それにただ初めお入っおみただけで でも 玠敵なお店 あ、兎さん。兎さんの店員さんの事、チラッず思い出したした。

『そっかヌ、マリちゃん、気に入ったんだヌ、ふヌん 圩子さんも奜きなんだよヌ。䞍思議ね、あのお店。わたしもお気に入りのお店なんだよヌ。けれどね、䜕か、連れお行く人連れお行く人皆んな奜きになっちゃうんだよヌ。やっぱりあのサンドお茶うヌん、雰囲気それでねそれでね、マリちゃん。わたし、あそこでがんやりしおるずヌ、なヌんかお仕事文を曞きたくなくなっちゃうの。だっおさだっおさ、マリちゃん、文曞くのっお面倒くさくないいちいち䜕かヌ、曞きたい事決めなくちゃいけないしヌ、それで決められた量曞かなきゃいけないしヌ。んでねんでねマリちゃんお店出たらさ、䜕故かさ、曞きたくなるの、゚ッセむを。䜕で』

䜕でっお聞かれおも もう ええいっ

「それはきっずくり先生じゃなかった銙さんが本圓は文を曞く事が奜きなんですよヌ」

ず、たた。これ、勝手なわたしの気持ち ずいうよりは願望でした。わたし、倧奜きなくり先生が玠敵な曞き物をなさっおおられるのに、そのわたし達が倧奜きなくり先生が本圓は文章曞くのが嫌だ、面倒くさがりの怠け者さん、なんお、そう思いたくなかったのです

『゚ヌッ‌』

くり先生、びっくり仰倩

『わ・わ・わたしが文曞くのが奜きヌ⁈アハハハハハハハハハハハハンヌな事蚀われたの、生たれお初めおヌ䜕本圓、あなたっお䞍思議マリちゃんわたし、あなたみたいな人ず今たでお友達になった事ないよヌだっおさだっおさマリちゃんわたしっおさヌ、ほヌんずはさヌ、口がないっおぐらい静かなお子様だったのよヌんでねんでね、マリちゃん信じおねそう、口がないっおぐらいそんでねそんでねわたし、䜕かシヌンずしたお郚屋でね、チクチク刺繍ずかねヌ、ずっずボケヌっずテレビ芋たり音楜聎いおたり、ンヌな事しおたのよヌねヌ信じられるヌアハハハハハハハハハ、今は針持぀気にもならないけど。あ、でもたたにやるヌ。アハハハハハハハハハ』

あ ぀圓たった やっぱり くり先生、やっぱり本圓は静かな人だったんだ 信じおいいのやら少し埮劙ですけど “おや぀の鈎”でご䞀緒した時、サッずそんな先生の姿が過った 䞍思議です。もしかしおわたしっお占い垫さんみたいな才胜持っおるあっこれもくり先生の圱響倉な事考えおるもう

23、

「゚ヘヘぞぞぞぞ、マリちゃんじゃあさじゃあさ今床さ、鰻食べに行こうねんでさんでさんでさ、“おや぀の鈎”たた行こっかねたた電話掛けるねヌでもさ、でもさ、圩子さんちずか行くんだっけそうそう、危なわヌすれるずヌころだったよヌ゚ヘヘぞだっおさだっおさ、マリちゃんっおさ、䜕かさ、倉なんだもん、だっおねだっおね、なヌんかわたしが喋っおおも䜕であんた嫌そうにしないのヌふヌしぎヌ。倉だよ倉だよヌ。おっかしヌなヌ。でも、た、いっかヌ。゚ヘヘぞぞぞぞ、マリちゃんっお本圓は䜕が奜きなの食べ物ねヌマリちゃんっおお料理ずかヌ、出来るヌ゚ヘヘぞぞぞぞ、わたしね、たヌるでダメなんだよヌ」

テ、テヌブルが揺れおる くり先生のお元気な声でえっえっずわたし䜕が奜き食べ物で、でも、あれ柏原先生のお宅にあれえっず、話がどこでどうなっおいるのか段々刀らなくなっお来たした

「えヌえっずヌ、“おや぀の鈎”で今床は甘いスむヌツ食べたいな」

あれ䌚話、繋がっおたすこれ。あわわわ 

「えヌ甘い物あヌそれじゃあさそれじゃあさ今床は矎味しいお団子のお店あるんだよヌマリちゃんマリちゃん今床食べに行こヌねここはね、ある団子ある団子ぜヌんぶ甘いんだよヌあれでも圓たり前かアハハハハハハハハハハハハねあそうだそうそうちょっず思い出したヌ゚ヘヘぞぞぞぞ、いけなヌい゚ヘッマリちゃん、たた電話掛けるヌ。ちょっず今はバヌむごめんねヌたた掛けるねヌ」

ガチャッ




あ、嵐でした くり先生、わたしみたいな人間初めおっお仰ったけど、わたしもあなたみたいな人初めおでも、た、いっか ずくり先生みたい。やだな、段々ず移っお来おる゚ヘヘぞ 

わたし、䜕だか少し嬉しい気分でした。䜕故でしょうかそれはきっず、ただ䜕だかフワフワした気持ちでしたけど、くり先生ずお近づきになれおお電話たで頂けお。そしお 䞍思議、ずいうか噎き出しちゃいたす、わたし、段々ず“くり化”しおる

りフフ

䜕でしょうねずおも䌝え蟛いこの気持ち。

そしおわたしはたた柏原先生の埡本を開いお そしおすぐ閉じたした。

䜕だか今、わたし、ずっおも“文章”曞きたい 

柏原先生、ごめんなさい。続きはたた明日読みたす。

今、わたし、䜕だろうずっおも文章を曞きたい。

わたし、そう思っお、䜕でもいいから䜙っおるノヌトを探しお、芋぀けお、それを開いお、ペンを持っお 

玠敵な事

それは䜕ず蚀っおもくり先生ずお䌚い出来た事

たるで倢みたい

曞かなきゃいけない事

䜕を曞いたらいい

あれ 嘘みたい

わたし、䜕か曞く事が沢山あるみたい 

ええ⁈䜕で⁈

絶察絶察、これはくり先生の仕業、あっずず、圱響です

だっおわたしは 

先生にお䌚いする前たで、自分で䜕を曞いたらいいのか刀らない人だった。

それなのに 

䞍思議、䞍思議。

ペンが䜕か自動的に、䜕か機械みたいに走りたした 

えヌっ⁈䜕でヌ⁈

信じお貰えないかも知れたせんが、走る様に動くペンを芋お自分で驚いおいたんです

えヌっ⁈䜕でヌ⁈

わたし、もし出来るならば、この動きっぱなしのペン持っおる手だけ身䜓から切り離しおくり先生にお電話掛けたい気持ちでした。この䞍思議な珟象を誰かに聞いお貰いたくお䟋えるならば、“サむボヌグ・マリコ”っお感じあヌやばいですやばいです考える事がくり先生みたいになっちゃおたす

24、

倧䜓そう、2時間。2時間ぐらい、わたしの右手が勝手にノヌトに䜕かを曞いおいたした。そしお本圓に機械みたいに、シュヌンず 曞くのが止たりたした。わたし自身、䜕も疲れおいなかったので、頭の方が、でしたのでノヌトに曞かれた物を初めから読んでみたした。

『日蚘 2024 月〜 垃斜真理子』

䜕だ、日蚘が曞かれおたみたい どんな事が曞かれおいるのかなあ 

読んでみるず、嫌だなぁ、ずすぐ思いたした。

䟋えるず、わたしの事が、䜕かどこかの芳察しおる人が蚘録を取っおるみたいな、そんな文章で 

“嫌だなぁ、これ。もっずくり先生みたいに、楜しく読める文章がいいなぁ”

憧れが 

くり先生は䜕でわたし達をハッピヌにさせおくれる魔法の様な文章を曞けるのかなぁ

でも答えは簡単

あんなお方だから

ではわたしは

わたしはずおも぀たらない人。

䜕だかカチコチしおおマゞメマゞメな。

文章に出おたす。

どうしおくり先生みたいに曞けないのかな 

するずふず 

曞くのちょっず恥ずかしいのですが 

前に読んだスタンダヌルの『恋愛論』の事、思い出したした。

えっ⁈だっお恋愛の事っお、すっごく奜奇心があったから 

論、っおそれ 恋に論も䜕もあるのかなぁ

それはそれは䞍思議、䞍思議な本。

本圓にスタンダヌルの自分の経隓なのかしらそれずも 

ある日のわたし

そしお今のわたし

わたし、仕事䞭図曞通の䞭を歩いおおも、スタンダヌルの所、絶察通るんです。そしお、その䞀冊があるのを確認するのが日課みたいなのです。䞍思議。䜕か猫ちゃんの習性に䌌おるず思いたす。

そんなにスタンダヌルは奜きな䜜家ではないのですが。

けれど 

䜕故かその本がある事を確認するのが、わたしの仕事みたいになっおいお、い぀の間にか。

無い時、『恋愛論』が。

その時わたしは䞀人、ほくそ笑みたす。

䜕で䜕でっお、“あヌ誰か今、『恋愛論』借りおるヌ読んでるのねヌ”っお。思わずりッシッシッずしちゃうんです。

でもくり先生ずスタンダヌルは繋がらないなぁ 

そもそも䜕でくり先生ずスタンダヌルが䞊ぶの

それはわたしの倉な頭の䞭で勝手に偶然に同時に結び付いたから。

䜕かアむスクリヌム぀入ったパフェみたい。

぀はストロベリヌでもう぀はチョコレヌト。

わたしはわたしの空想の䞭で、そのパフェに長ヌくおスマヌトなキュルンずした銀のスプヌンを 




 䜕かそこたでの事が 曞かれおありたした。かなり匕いおしたいたした。倧分省略したしたけど。ずいうのが、䞊の内容が本圓に䜕かの芳察文みたいに綿密に曞かれおあっお 

 それを読み終えおわたし、冷蔵庫に行っお入っおたカップのアむスクリヌムを食べたした。バニラのアむス。それ食べお、歯を磚いお寝る事にしたした。

 䞍気味は䞍気味だったんですが、それはそれ、ああもう寝よう、眠い眠い、ず。くり先生が乗り移っおたんですかね 

くり先生はストロベリヌ
スタンダヌルはチョコレヌト
柏原先生はヘヌれルナッツ
わたしは 

わたしはバニラ
䞀番スタンダヌドな味
わたしの日蚘はバニラ味

寝る前にたたペン取っおそう蚘しおたした、サむボヌグ・マリコ。

25、

寝お起きお。

昚日の事がたるで倢の様。いや、たさか どこからどこたでが倢だったのくり先生が珟れた蟺りの時からもう倢芋おたのではないかしら、わたし。そこでスマホを取っおみたした。履歎を調べおみたした。ホッず やっぱり倢ではありたせん、ちゃんずくり先生のお電話番号登録しおありたしたし、昚倜のお話した時の履歎も残っおたした。

でもこれっお本圓の事珟実なのかしら

いけないっず。仕事に行く時間仕事に行く時間。トヌストを食べお、そしお郚屋を出かけお ふず、柏原先生の本、持っお行こうっお思いたした。

『髑髏の䞭のシャヌベット』

やだな、やっぱりタむトルき぀いです 本のカバヌも。深玫の背景に骞骚ですもの。あっお気付きたした。カバヌだ、カバヌ。えっずえっず ずっず前、玠敵な文具屋さんで芋぀けたブックカバヌあったんだっお思い出したした。これ、玠敵なんです綺麗な朝顔のお花の刺繍の぀いた、垃カバヌ。あ、あれ

“わたしね、刺繍ずかしおたんだよヌ”

あら くり先生が本圓にそうそう、そうでした、昚日のお話で。くり先生が刺繍刺繍チクチクしおた女の子だったわたし、そこでフフフっお笑っちゃいたした、思い出し笑い。垃のブックカバヌ、ありたした。サむズは よし、倧䞈倫そう。持っお行こう。そしお電車の䞭で綎じよう。

郚屋を出お通勀の始たり。䜕だか早く電車に乗りたいです。柏原先生の本にカバヌを早く綎じたくお。ちょっず急足になっちゃいたした。そしお 

電車に乗る前から、䜕この優越感

゚ヘヘ、です。゚ヘヘ、でした。ニンマリが治らない。だっお わたし、ベストセラヌ䜜家の柏原圩子ずお話したんですよヌ っお、たた゚ヘヘ 電車に乗る前から、電車に乗っおいる皆さんに自慢したい思いで。ニマニマず、あ、駅着きたした。

改札口を通り、プラットホヌムぞ。そこで電車を埅ち。䞀人ニマニマ。

図曞通に着いたら皆んなに自慢しようかなそう思っおたた゚ヘヘ。ずおも玠敵。䜕お快い朝なんだろう歌でも歌いたい。あ本圓に歌っちゃったら、くり先生ず同じになっちゃいたす。我慢我慢。

電車が来たした。りヌッず音を立おお。わたしの図曞通は駅二぀。ちょっずの時間。本を読む間もありたせん。だからスマホを出しお、匄りたした。

今日のニュヌス 

䜕だか䞀杯。けれど䜕にも関心持おない。

今日のニュヌス

“図曞通員の垃斜真理子さん、昚日゚ッセむストの瀬山くりず䌚芋”

䜕お。゚ヘヘ、です。

あそうそう柏原先生の本をカバヌで綎じなきゃ忘れる所でした

26、

駅、着きたした。わたしの図曞通がある所。柏原先生の本は仕舞っお ず、したった 

わたし、どうしお瀬山くり先生のファンの癖にくり先生の本持っおないんだろうサッず背埳感。いけないなあ、もう。今床からくり先生の゚ッセむもバックに入れなきゃどの本にしようかなぁ ずモニャモニャ考えお歩いおたら図曞通に着きたした。

「おはようございたす」

そろそろ、ず。さっきたで皆んなに自慢しようっお思っおた邪念が䜕凊ぞやら。

「おはよう」

䜐藀由矎さん。あ、これ仮名にしおたす。もう䞀床、心の䞭でご挚拶したした。わたし、䜐藀さん、すごく良くしお貰っお。仕事も䞁寧に教わっお。ベテランで仕事しっかりの方。

でも朝、特に話す事もありたせん。のでオフィスで䜕をするでもなく、ポダヌっず。

チラッず䜐藀さんを芋たした。

䜐藀さん、柏原先生の本は奜きかなぁ 

䜐藀さんの奜きなゞャンルは“ゲヌム”。“ゲヌム”っお蚀っおもテレビ・ゲヌム系ではありたせん。ボヌドゲヌムずか えっず䟋えば、将棋ずかチェスずか、それだけじゃなくお、それ系の、䜕かアンティヌク感あるゲヌムにずっおも関心を持っおいらしお、それの歎史ずか由来ずかすっごく詳しくお 殆ど孊者さんです。

「垃斜さん」

「はい」

「わたし昚日ね、コヌヒヌ買っお来たから、少し頂いお貰えない嫌じゃなかったら」

「えヌ、いいんですかヌ」

玠盎に嬉しい。

「うん。ありがずう。お家で召し䞊がっお」

䜐藀さん、バックからコヌヒヌ豆を出したした。

「いい匂い」

゚ヘヘ、たた䞀぀、ちびっずラッキヌでした。

「どこで買ったんですかヌ」

袋を受け取っお、聞きたした。

「えヌ䞋北」

「わヌ、䜐藀さん、䞋北行ったのヌ」

ず 䜕だか声のトヌンが昚日のくり先生ずおっきなギャップが それも䜕だか可笑しいな。

「うん。応揎しおる劇団さんがあっおね。芳お来たの」

「えヌすごヌいどんな劇だったんですかヌ」

ちょっず興味接々。

「いや、わたしが凄い蚳じゃないから。えヌず、モリ゚ヌルね」

「おっず 」

わたしちょっずそう思わず蚀っおしたった 

「オリゞナル挔るっお蚀っおたのに もう」

あれ䜐藀さん、ちょっず䞍満そう、

「オリゞナルですかヌすごヌい」

りフフ、ず。䜕かムクれる䜐藀さん、可笑しい、衚情が。

「垃斜さん、挔劇奜きだっけ」

䜐藀さんの県鏡越しの芖線が あわわ 

「えヌ挔劇ですかヌあ、あんたり 」

やっずの返答。嫌な気持ちにさせないかなぁ 

「オリゞナルを倉曎するなら先に蚀っおっお感じでさぁ。埌で友達えっず劇団員のね、蚀ったらさヌ、仲間同士の蚀い合いの果おに結局モリ゚ヌルの『人間嫌い』に䞍時着したっお信じられない」

あら、怒っお、湯気がフヌフヌ出おいるみたい あっず蚀っおはいけたせんいけたせん

27、

「じゃ、じゃあ、初めはどんなの挔るっおお話だったんですか」

ちょっず聞いおみよ。

「えヌ゚ヘヘ、それがさぁ初めはね、䞉島由玀倫をモチヌフにしたオリゞナルを挔るっお。ヘェヌッお。䞉島由玀倫の戯曲かあ、それも芳たこずない、だから楜しみねっおさ 」

あらぁ、それは残念、残念ですね。

「そしたら酷いのよねえ垃斜さんわたしさ、芳終わっお挚拶に出口で䞊んでた友達の圹者にね、蚀ったのよ、“挔目倉えるなら倉えるで早く蚀っおよ”っおもヌう」

「それはそうですよヌ」

䜕だかわたしもプンプンしお来ちゃった。倱瀌ですよ、もう。

「そしたら、“教えたら来おくれないかず思った”だっおあのさヌ、これ殆ど詐欺じゃない詐欺じゃないのねえもうそう蚀ったのよ、“あんたねえ、これじゃあ殆ど詐欺よ”っお」

「はい。わたしもそう思いたす」

酷い話です。本圓に。

「“もう勘匁しおください”だっお呆れる皆んなわたしず同じ事思っおたんじゃない䜕か皆んなの目が圹者さん党員にシラヌッず、ねえ お客さん裏切っちゃ駄目でしょっおもう 」

「はい。ずおもいい加枛です」

「それでわたし、怒り治らなくなっちゃっおさあ。䜕でオリゞナル挔んなかったのか、今ここで説明しなさいっっお」

わたし、思わず拍手したした。

「すごヌい䜐藀さんカッコいい」

するず。

「垃斜さん、カッコいいも䜕もないのよ、だっお本圓に頭きおたんだから。それで詰め寄ったらさ」

「はい 」

ゎクッ。ずいうか䜐藀さん、女優さんみたい。迫力が 

「癜状しおさ、圌。“僕達だっおオリゞナル挔りたかったんですけれど煮詰め盎す床に仲間割れが激しくなっお おたけに䜕人もコロナに眹患しちゃっお” 」

「あら 」

「垃斜さん、そこがミ゜なの。盞手はね、圹者なのダクシャ。油断も隙もあったもんじゃない。コロナは嘘かな仲間割れは本圓ね、きっず。でも䜕でよりによっおモリ゚ヌルなのかしらねえ」

ふず 

「䜐藀さん、モリ゚ヌルお嫌いなんですか」

「えヌ嫌いじゃないわよ。けれどねえ、新しい物芳たかったのよ。その期埅でね、もヌう すっごい楜しみにしおたからさヌ」

䜐藀さん、氎筒を出しおコヌヒヌを。いい匂い。

「わヌ、いい匂いヌ」

声に出しお蚀っおみる。そうです。わたしにもくれないかなぁっお。

「飲む」

「えヌ、いいんですかヌ」

悪い奎です。狙っお蚀っおるんです。

「いいわよヌ」

䜐藀さん、垭を立ち。コップ探しお来おくれたした、玙コップ。それで氎筒からコポコポ。たた玠敵な匂いが。

「お砂糖ずか、あったかなヌ」

たた垭を立぀䜐藀さん。でも。

「わっいいですよヌわたし、そのたた頂きたす」

「でもちょっず苊いかもよわたしはちょっず苊いのサラッず飲むのが奜きだからいいけど 」

「いいですいいですわたしもヌ」

急いでカップ取っおゎクリ。

「あちっ」

そしお苊っ思わずベロ出しちゃいたしたいっ぀もこう、わたし。くり先生の時もやっちゃったな 

「あわおんが」

ホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホ

二人で笑っちゃいたした、ただ他の人が来おないオフィスで。

28、

「そんな熱かったおかしいなぁ。わたしはそんなに違和感なく飲めるけど。垃斜さん、もしかしお猫舌」

「えっえっずヌ 」

猫舌蚀われおみればそうかも 

「倚分猫舌よ、ねぇ」

コヌヒヌ啜る䜐藀さん。䜕か矚たしいです。けれど折角頂いたコヌヒヌ。匂いも銙ばしくお。フヌフヌ冷たしおっず 

「ああ、矎味しいです」

䜕かホッず。そしお䜕か、䞋北沢の街䞊みが芋えるかの様。たた遊びに行きたいな。

「たあそんなこんなでさ。残念な週末だった蚳。垃斜さんは垃斜さんもお䌑みだったでしょう䜕しおた」

ドキッずしたした。

どうしよう蚀っちゃう蚀っちゃう瀬山くり先生ずお䌚いした事 

「えっ 別に 」

ドギマギ。本圓は舞台女優さんみたいに高らかに蚀いたいのにでも我慢。我慢、ず蚀うよりも蚀うの怖いです。

「䜕だ。じゃあやっぱり誘えば良かった」

ポツッず。䜐藀さん。あら もっず早く蚀っお䞋さったらご䞀緒したのに っお違う違う違いたす

「いえその䜐藀さん」

「 ん」

どうしおでしょうわたしの心の䞭で小爆発が起きたした、昚日の事蚀いたいっおいう あわわ、どうしよう

「おはようございたヌす」

 ずそこで。咲たちが出勀。ホヌッ

「おはよう」

掛川さん。はい、仮名です。ダンディヌです、い぀も。

「おはようございたす」

私達の課長さん。

「おはようヌ」

藀山さん。はい、仮名です。わたしの先茩。男性です。

「おはよう真理子ヌ」

「おはようヌ、咲ヌ」

咲、い぀も元気。そしお仮名です。

「おはようございたすヌ、䜐藀さヌん」

「おはよう」

皆んなそれぞれ垭に。ああ、蚀いそびれちゃった。けれど、いっかぁ 

「垃斜さん、䜕か蚀いかけなかった」

ドキッ

「い、いえ 」

「䜕たあ蚀いたくないならいいんだけど」

「えっ 」

蚀いたい蚀いたくないわたし、本圓の気持ちはどっちなんだろう

「あ、そうそう。河合さん」

「はい」

あ 咲の方に行っちゃった 蚀えば良かった やっぱりわたし、話したかった様です。どうしおこう、気持ちず行動っお䞊手く䞀臎しないのでしょうわたしが臆病だから 

しょうがないしょうがない。それでわたし、ふずスマホを出しお芋たした。

“あ くり先生から ”

LINE登録のお知らせ。ああ ちょっずわたし、感芚が飛んじゃいたした やだ くり先生に、瀬山くり先生に LINE登録しお貰っちゃった凄い嘘⁈信じられない

「 垃斜さヌん」

「えっはいっ」

いっけね、でした。ここは職堎職堎。でも、少し声も手も震えおお。

「䜕かあったの」

「えっ⁈䜕がですかっ⁈」

䜐藀さん、目付き鋭っやだな、䜕バレおるのかな どうしお刀っちゃうの

「りフフ、だっおマンガみたいお口をワッず開けお固たっおるんだもん」

アハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

職堎に笑いが したった 

「なっ䜕でもないでヌす」

゚ヘヘッず笑っお、流れないかなこの状況。

「うヌん、そろそろ開通準備しよう」

掛川さん。ああ、流れちゃった わたし、やっぱり本物の優柔䞍断です。でも仕事が始たる前に、もう䞀床スマホを。

“垃斜さん圩子さんずこ行くよヌ”

メッセヌゞ、軜く。最埌にくりの絵文字が。゚ヘヘ 優越感

29、

パタパタず。い぀ものお仕事お仕事。本の敎理敎頓敎理敎頓。カッコいく蚀うず、蔵曞の管理です。

「マリコさ」

「ん䜕」

䜕だろ、咲ちゃん

「なヌんかニマニマしおない」

「゚ヌッニマニマしおるヌ」

゚ヘヘ、隠せたせん。

「なヌんか良い事あったヌ」

「゚ヌッ良い事ヌ」

凄くありたした。

「教えおよヌ」

「゚ヌッちょっず埅っおよヌ」

するず掛川さんが。

「ほら。キャピキャピしない。静かにしお䞋さヌい」

やんわり蚀われちゃった。

「はヌい」

二人同時にお返事。

「垃斜さん。この延滞の方、どう連絡した」

掛川さん、PC芋お。

「えっああ 」

「どうしようかな。私が連絡取ろうか」

「それはわたしやりたす」

「おっず はい。刀りたした。けれど垃斜さん、本圓に今日は元気ですね。ふむ 」

ポ゜っお蚀っおもうPCの䞭に朜っちゃった掛川課長。あ、もうお話流しおいいみたいです。わたしもPC芋お。

“くり先生ず今床柏原先生のお宅かぁ”

あら、たたニマニマしちゃいたす。

「いいなぁ。䜕か本圓に嬉しそう」

咲ちゃん、そう蚀っお行っちゃいたした。そうだそうだ、わたしは受付です。

受付に座っお 

そこで䜕ず䞍気味な事か、わたしの頭の䞭で䜕かモヌタヌみたいな、ギダみたいな物がグルグル回り始めたした。䜕だろう嫌だな。

するず偶然。わたしのPCのモニタヌ、あ行で、そうです、芥川韍之介の欄、偶然パッず目に入った

『歯車』

嫌だなぁ 䜕か怖い小説でしたよね 読んだか読んでないか、ちょっず芚えおいたせん。

でも䜕だろうなぁ 

グルグルグルグル 

するず、パパパッ

えっ䜕

それが わたし、無意識に打っおたした。適圓なメモ開いお。

『コヌヒヌを頂き、圌女は舌を若干痛めた。けれどそれは䞍幞な芋舞いの類ではなく现やかな莈り物から受けた苊味ず熱で、それに反する意もなく、昚日の瀬山ずの出䌚いに重ねお、幞䞍幞䜵せ持ったプレれント、断らない莈答に穏やかな安たりを芚えた』

䜕だろうこれ意味刀りたすでもわたしが打っおいる、文字を。

曎に手指が運ばれようずした時、咄嗟に、そのメモは閉じられたした。

あ、開通しお 人が入っお来お 

わたしはそれを芋おいたした。
い぀もの光景を芋おいたした。
い぀もい぀もの、あら、窓から指す日差し。

眩しいな。
でも奜き。

この“奜き”っお感芚を、くり先生ならどうお感じになっおお曞きになるかな。でも、ふふふ、くり先生にはこういう感じはないかもです。だっおあんなに“おきゃん”なんですもの。あたり止たった光景、そういうの奜きじゃなさそう。

わたしは

䜕でしょうあ、来通者様、目の前にいたす。仕事仕事。

返华

貞出

その合間に、䜕だろう文章を曞く事を考えたり 倉ですね、昚日たではそんな事なかったのに。

今では半ば、䞀端の䜜家さんにでもなった様な錯芚が楜しく返华ず貞出の合間に遊びに来お。やだな、これでくり先生が本圓にりチの図曞通に遊びに来たら。でも心のひっそりした舞台袖に、くり先生みたいな悪戯なわたしがいお、“銙さん、遊びに来おくれないかなぁ”、なんお。思っお。これもくり先生の圱響ですね。

30、

䜕だか眠っこい午前䞭。さっき心に浮かんだ歯車、ギダもギシギシ走る様に、ではなくおゆヌっくり回っお。そこで、人も途絶えお、わたしは少しの空想に。

芥川韍之介の『歯車』
わたくしこず、垃斜真理子の“歯車”

䜕でしょうね。今たで芥川韍之介の事なんか考えた事なかったのに。でもずおも有名で。䜕を読んだかなぁパッず思い出せないです。

くり先生や柏原先生、芥川は読んだ事あるのかなぁ 

圓然、読んでたすよねぇ。うヌんず わたしも読たなくおはいけないかな 

芥川、芥川 ず

あ、『蜘蛛の糞』

思い出したした。『蜘蛛の糞』。

あれ

わたしの錻先に垂れお来たしたよ蜘蛛の糞 

倩井を芋䞊げるず 

でもりチの図曞通、倩井が玠敵。どうしおこんな意匠を凝らした倩井を䜜れたのかなぁがヌんやり。すっごく間抜けな図。なヌんか倩井裏にくり先生が隠れおお、わたしの錻先に糞を垂らしおいる様な、ヘンテコな空想。

おっず。わたしの前に来通の方が。お仕事お仕事。ピッピっお手続きしお、ず。

わたしの普段。
なヌんかのんびりしおたす。改めおそう感じたした。

䜕で芥川
読たなきゃいけないかなぁ。

読たなきゃいけないのはでも、芥川よりも柏原先生の埡本。そうだ思い出したした。䜕かボダヌッずもしおられたせん。そうそう、急いで読たなければ。

そしお、わたしは䞀぀、ク゚スチョンが思い浮かびたした。

わたしは本圓に、本圓に䜜家になりたいの

そうなんでしょうか

䜕か、実は、本圓の事、ただただくり先生の勢いに流されお、䜕か流されたたたになっおいるだけで、ただただ自分がないだけなのではないかなず。

自分がない 

䜕か寂しいな 

でも、本圓はわたし、読んでいるだけでいい人ではあるんです。

それを思い出しお、䜕だかホッずしたした。

そうなんです、読んでいるだけでいいのに。

読んでいるだけで 

あれ

たた 

䞍思議。ポケッずしおる間に、たた自動的にPCに文を打っおたした。

“ずある女性䜜家、䞍可思議な件に巻き蟌たれる。月の明るい真倜䞭に謎の女、瀬戞沙耶銙が蚪ねお来る。圌女は䜜家に小説を曞く頌みを受けた。それは来蚪者瀬戞沙耶銙の奜む料理に纏わる物語。圓初は䜕の事もよく刀らず断っおいたのだが、瀬戞の頌みが匷かった。䜜家はたず、䜕故自分が圌女の話を曞かなければならないのか、それを聞く事にした。瀬戞は語り始める ”

そこたで読んで、わたし 

「あっ、そうか。これを膚らたせればいいんだ 」

そう呟いちゃいたした。

䜕だろうおかしいですよね

“サむボヌグ・マリコ”

昚日のわたし。

でも䜕だかおかしくありたせんかそう、そうです。わたし 

“サむボヌグ・マリコ”に倉身しおから、自分の意図でサむボヌグになった蚳ではないですけれど、あ、でも䜕だか仮面ラむダヌの䞻人公の人の気持ち勝手に悪い人達に身䜓を改造されお、䜕だかスゎいサむボヌグにされちゃっお 

するず䜕か、くり先生が手術する女医さんみたいになった図が。癜衣にお目々にゎヌグル付けお口にマスク着お。でも“玠材”が“玠材”だからゎヌグル付けおおもマスク付けおおも、どこからどう芋おもくり先生だっお刀りたす。ゎヌグル越しのお目々が倧っきく、それでニコニコ、の二乗ぐらい笑い目で。

わたし、心ず䜓、䜕だかヘンテコな事になっちゃっおたす。けれど 

わたし、䜕だか“物語”、“文章”を曞き始めおたす。

そしお、䞍気味で凄く䞍自然なんですけれど、䜕故かずおも楜しいです

そう実感した時、心の䞭のギダが氎車に倉わりたした。氎車 䜕だかくり先生っお氎車が䌌合いそう。

✍フォロヌずいう支持、支揎はずおもありがたい。曎なる高みを目指しお『レノェむナ』をクリ゚むティブな文芞誌に育おお行きたい。🚬