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13.スラングとまではいかない言葉(その2:「奢る」は英語では)

聞き取れたけれども最初は意味が分からなかった言葉に”Dutch treat”という言葉がありました。
 
”Dutch account”とも言って、「割り勘」と言う意味で、オランダ系の人はきっちりしているところからきている様なのですが、N.Y.のUS支社の人たちはKimさんのことをDutch treatと呼び、特に食事の支払いをまとめて払ってくれた時などに、
“Thanks, Dutch treat.“
とか言ってました。
 
全部Kimさんに払わせといて何が”Dutch treat”なんだろうと思っていたのですが、どうやらKimさんのFamily nameが”Holland”であることから、仲間うちではわざと逆の意味で使っていたようなのでした。
 
Mikeさんには”Dude”と言えないRandyさんも、Kimさんには平気で”Dutch treat”と言ってましたねぇ。
 
Mikeさんがたまぁに言っていた”Bullshit”というのがあり、意味合いとしては「こんちくしょー」的な罵声に近い言葉ですね。
まあ、あまりお行儀が良い言葉とは言えませんが。


”Shit”は日本語でも同様の意味で使われますが、”Bull”が付くのでその最大級的な意味合いなのでしょう。
見かけは強面のNew YorkerであるMikeさん(実はそうではないことはだんだんと分かってくるのですが)からこのセリフが発せられると、大体皆さんその場からそおっと離れて行くのでした。
 
“Bull”が付かない普通のバージョンとして聞いたのはRandyさんのやつです。
日本から後ロンドンを回ってN.Y.に戻るはずだったRandyさんが急遽ロンドンから日本に呼び戻されたことがありました。
 
こちらも忙しくて迎えに行くことができずに、せめてご飯でも御馳走しようと、チェックインしたかどうかを確認するために電話したのですが、ちょっとふざけて、
“Hello, Welcome back.”
(お帰りなさい)
と言ったら、電話の向こうで唸りつつ
“Shit…”
とつぶやくのが聞こえました。
 
同じ意味の違う表現としては、ある時Kimさんが会議中に急に席を立ち、ドアを開けて出ていく際に一度こちらを振り向きニヤリとして、
“Data dump”
Data dumpとはデータを一括して出力すること。90年代にパソコンが普及し始めて比較的大きなデータを取り扱うことができるようになったころに使われ始めた言葉で、転じて当時のUS支社では大きい方の用を足す時の表現として使っていた様なのでした。
 
おとと、これは本稿初の下ネタ。
大変失礼致しました。_(._.)_
 
あ、それで思い出した。
これはスラングとは違う話ですが、アメリカでも東(New York)と西(California)の発音の違いを感じることが時々ありました。
 
80年代後半(まだインターネットが普及する前の時代ですね)に”Multi media”(マルチ・メディア:データを複合的に扱うこと)という言葉が使われ始めましたが、この”Multi”と言う部分の発音がYew Yorkerだと「モーティ」と言う風に聞こえるのが、L.A.の人だと「マルタイ」とほぼカタカナで聞こえたので、同じ言葉でも結構違う言い方をするなぁ、と印象深かったですね。
 
同様に”Buzz word“と言う言葉も、今は”Buzz”というと「バズる」=噂になる、注目を浴びるという意味合いで使われますが、ボクが最初に耳にしたのはMikeさんから言われた”No Buzz word.”という言葉でした。
 
ある製品のカタログにどちらかと言うとテクニカルな言葉を使って特徴を説明したのを嫌って、「(軽い)はやり言葉を使わずに、(一般の人に分かるように)もっと分かりやすい言葉で」という意味合いで「『バズ・ワード』は使うな」と言われたのだと思います。
 
なので、最近になって「バズる」という言葉が日本語で一般的になってきましたが、個人的には最初の経験があるせいか、この言葉をあまり肯定的には感じられないですねぇ。
まあ、トシのせいだよ、と言われれば一言もないですが。


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