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15.同じ言葉にも複数の意味が

“Are you bassist ?” “Yes, Originally.”
「ベーシストなの?」 「元々はね。」
 
この会話はやはり最初の会社で、USA西海岸にあるSan Jose(サンノゼ)のそばのR&Dセンターから来日したメンバーと話していた時のことです。
 
当時そこにシンセサイザーのプログラムとデモンストレーションで業界では有名な人が在籍しており、四方山話をしていた時に、本来はバンドでベースを弾いていたと聞き、ちょっと驚いて聞いた”Are you bassist ?“という質問に返ってきた答えが”Yes, Originally”。

“Original”という単語は日本語化しており、その日本語化した「オリジナル(独自の)」と言う意味に自分の頭が固定されていたため、この会話は聴き取れて、意味はわかったものの、「ああ、そうか。”Original”には元来という意味もあるんだ。」と、自分の中ではちょっと衝撃でした。
 
同じく”Condition”という言葉も日本語化した「コンディション」で(身体等の)「状態、状況」だという固定観念があり、ある時契約書か何かを翻訳していて「条件」ってなんて言うんだっけ…と詰まっていたら、先輩から”Condition”と言われ、「ああ、そうだ!」となったことがあります。
 
“Complex”も最初に「マザコン(Mother complex)」と言う言葉で覚えたので、てっきり「劣等感」的な意味だと思っていたら「複雑」(まあややこしい感情ですからねぇ)とはねぇ。
通常「ややこしい」とか「込み入ってる」と言う時には”Complicated”と言いますね。
 
“Mask”も使い方を訂正されたことがあります。
「ノイズを隠す」と言う時に”Hide”と言ったら、
“I edited this patch to hide the noise”
(この音色のノイズを隠すために修正をしたんだ)
”Mask”と訂正されて、なるほど、と思いました。
この時は意味は通じたと思うのですが、ニュアンスの部分で違和感があるということだったのでしょう。
このレベルになると、ネイティブの方から言われたことを「左様ですか」と受け入れて、次に使ってみるという繰り返しでしかないですね。
 
“Border”も自分には「ボーダーライン=境界線」という妙な固定観念があり、スイスのジュネーブからフランスに行く時に国境を通過するのですが、ハザードを超えた時に、
”Here is the border.”
と言われて、ああ、国境もborderだった、と。
まあ、国と国の境界線だから当たり前と言えば当たり前ですけど。
『深夜特急』(沢木耕太郎)でパキスタンかどこかの税関で国境行きのバスに乗る時に「ボーダー?」と聞いた話を思い出しました。

スイスーフランス国境


日本語でもそうですが、英語でも同じ単語で複数の意味があったり(有名なところでは”Spring”には「ばね」「春」「泉」と3つの意味がありますね)近い意味でも、それが日本語化している場合には、その固定観念が邪魔をすることは少なくないと思います。
 
これは人それぞれだと思うので、一度自分で知っているけれど良く使う英単語などは派生する意味でも使えるように、一度辞書で用例を確認しておくと良いかも知れません。



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