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17.初めての海外出張はLos Angels(ロス・アンゼルス)でした(その2:“No kidding !”(マジっ!))

そのビジネスショーは当時ボクが在籍していた楽器業界でも最大のWinter NAMMと呼ばれるものでAnaheim(アナハイム)のConvention center内で開催されていました。
我々は展示場に隣接するホテルに宿泊しており、会期中は自分の部屋と会場との行ったり来たり。
 
会場は楽器メーカーや関連の会社がブースを出して、主に新製品の発表を行う業界関係者向けのショーなのですが(モーターショーの様に一般の人は入れません)、その発表をいわゆるデモンストレーターだけでなく著名ミュージシャンがやることもあり、通路を歩いているとビデオや写真でしか見たことのない人とすれ違ってビックリしたりします。
 
ある時通路に座り込んでギターのチューニングをしている人を見たら、なんと大ファンであるSteve Morse(今はDeep Purpleに在籍していますが当時は自身のバンドやKansas, Dixie Dregs というバンドで活躍していたギタリスト)。
思わず握手を求めながら「大ファンです」と伝えました。
 
“Can I take your picture ? I have been listening your music.“
(写真撮って良いですか? ボク、あなたの音楽をずぅっと聴いています)
 
“Appreciated.“
(感謝)
くぅーっ、過去分詞だぜ。
返事までカッコ良いなぁ、とシビれたことを覚えています。
 
よく考えたら、今ではファンが写真を撮ったり握手したりなんてそうそう簡単にはできないわけで、当時は随分と鷹揚だったなぁと思います。
その時撮った写真は今でもボクのアルバムの中の宝物の一つです。

Winter NAMM会場


他に印象に残っていることと言えば、他社の新製品のデモを見た後の質問に色々と答えてくれたデモンストレーターと、後日偶然ランチのテーブルが隣になったことがありました。
 
その時にボクは社ロゴ入りのTシャツを着ていたのですが、彼がそれを見て、
“Oh, you come from K company. I like it.”
(ああ、キミはK社の人だったんだね。それ、良いね)
と言われたので、競合他社に丁寧な説明をしてくれたお礼にと、早速その午後にブースを再訪してTシャツをあげたら、
“No kidding !”
(マジっ!)
 
“Kidding”には「からかう」とか「冗談を言う」とかいう意味が有り(恐らく”Kid”=子供からきているのだと思いますが)、ある時に相手の冗談が分からなくて戸惑っていると、他の人から、
“He is kidding you.”
(彼はキミのことをからかってるんだよ。)
と言われたことがあります。
 
なので、通常は”No Kidding”と言われると、どちらかと言うと否定的な感じで「ふざけるなよ」とか「いいかげんにしろよ」という意味合いで使われることが多いのですが、この場合は相手はプレゼントを喜んでいたので、「ホントに!(どうも有り難う)」と言うことだったわけです。
 
ま、Tシャツ一枚にしてはちょっと大げさな感じもしましたけど。
 
会場の他のブースにはヘンな発明品や楽器も結構あり、ボディーの部分が金魚鉢のギターを弾いているお姉さんとかいて(毎年ショーに出ている名物ブースであった由)、「あんなもんが売れんのかなぁ」とみんなで余計な心配をしてましたね。


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