帝都モンスタースクワッド:RED ZOИE

「この陸軍風情が! 少し気を利かせた命乞いすらできないのか!」
 血のように赤い目をした屈強な男が、屈強な陸軍軍人の首を締めあげていた。よく周囲を観察すれば陸軍軍人の死体が散らばっていた。最悪の地獄絵図である。
「お前たち、自分が何をやったのかわかっているのか!? お前たちのしたことは軍人虐殺だぞ! お前たちは立派な反逆者だ! 裁かれると思え!」
 軍人は呻き声が混じる声で男の非道を糾弾する。だが赤い目の男は表情を変えることなく陸軍軍人を地面に投げ捨てた。
「それがどうした……俺たちは最初から反逆者上等なんだ、兵隊だろうが獄卒だろうがちっとも怖くねぇんだよ! 知ったような口を利くなこのボケナスが!」
 赤い目の男は陸軍軍人の顔めがけてストンピングした!ストンピングするたびに陸軍軍人は呻き声をあげる!
「匙原、これ以上はやめておけ、この腐れ軍人の生首を皇居に送りつけるんだ。原形を留めろ」
 赤い目の男、匙原のストンピングを諫める、これまた赤い目のスーツの男がとこからともなく現れた。その男の周囲にはどこか高貴なオーラが漂っていた。匙原は不本意な表情をしながらストンピングを停止した。陸軍軍人は既に絶命していた。
 このようにして帝国陸軍二個師団は壊滅した。 しかしこれが帝都を震撼させる一大事件の幕開けにしか過ぎなかったのだ。

「陸軍大臣は報告直後に切腹いたしました。帝国陸軍二個師団が瞬間的に壊滅したショックで衝動的に切腹したようです」
 灰色のスーツの男が淡々と表情を変えずに報告する。その目はまるでアルプスの氷河のような冷たい光を宿していた。
「あの陸軍大臣は薩摩隼人の血を流れているからな。よほど陸軍二個師団壊滅がショックだったのだろう……問題は赤い目をした反逆者たちだ。天遠、わかるな?」
「御前様、既に『彼ら』を派遣させました……もちろん皆殺しを厳命しました」
赤い目の反逆者と帝国の戦いが始まった。

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