エルフ探偵アンネリーゼ

 蒸しガエルになりそうな暑い夜、占いの結果で出たパブに入店した。パブの中はいかにもならず者の溜まり場といった風情で、入店後すぐに好奇の視線を突き刺していく。その視線を無視しわたしはカウンターに突き進んだ。だが、おもむろに一人のならず者が立ちふさがった。
「ここはエルフのお嬢さんが来るような店じゃないぜ。それとも破滅願望があるのかよ」
「確かにエルフが来るような高尚な店じゃないわね。でも今夜は仕事で来たわ」
「仕事より俺と楽しい事しようぜ!?」
 ならず者はわたしの肩をつかみかける。すかさず手首をつかみ、魔力を込めて捻り上げる。ならず者はたまらず悲鳴を上げる。
「マスターと少し話をしたいの。少し静かにしてもらえるかしら?」
「わかった! わかったから手を手首から離してくれ!」
 手を離すとそそくさとカウンターへの道を開けた。
「マスター、ごきげんよう。私はアンネリーゼ、私立探偵をしているわ」

続く

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