冷凍オートマター

 ミゾレ部族の聖域は静まり返っていた。しめやかに巡回するのはミゾレ部族の戦士、シラユキである。シラユキはカンテラ片手に聖域を警らしていた。聖域は古代樹の樹海の中にあり危険生物も多い。
 シラユキはカンテラを周囲を照らしながら移動する。巨大樹木の間を潜りぬけシラユキはカンテラを照らす。それをただ繰り返す。
 それを何回も繰り返し、広大な聖域は正常であると確認するが聖域の警らの仕事であった。
 シラユキは何回も繰り返しカンテラを照らした。しかしカンテラの光は正常ではないことを示していた。
 祠が粉みじんになっていて、祠の下から謎の地下階段が姿を現した。シラユキは地下階段を下りた。
地下階段の先は奇妙な文字らしき絵が所せましと描かれた廊下になっていた。シラユキはカンテラを照らしながら先へ先へ進んでいく。奇妙な古代文字はどこまでも続いていた。カンテラの光を頼りにシラユキは歩いて行った。
 やがて古代文字の廊下は一気に開けていって大きな玄室に出た。玄室の壁にも古代文字や壁画が描かれていた。そしてその部屋の中心の透明な棺には、オートマターが眠っていた。シラユキはカンテラでオートマターを照らした。そのオートマターは少女の姿であった。部屋は冷えていた。
 シラユキは部屋を見渡した。深呼吸をして透明な棺に近づき棺の蓋を開けようとした。その瞬間カンテラではない光が部屋全体が瞬いた。シラユキはしりもちをついた。
 奇怪な音を立てて、棺の蓋が一人で開閉した。白い煙のようなものが棺から漏れ出した。少女のオートマターの目が開き、周囲をみまわし彼女は言った。
「システムオールグリーン、あなたがわたしのマスターですか?」 


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