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【超能力捜査】犯人へ仕返し解決・アメリカ女性連続殺人事件

1982年11月23日、アメリカ・ニュージャージー州の小さな町。

18歳の女子高生エイミー・ホフマンは、ショッピングモールでのバイトの後、駐車場で同僚に別れを告げる。時刻は21時35分ごろ。二人の人物がエイミーが自分の車まで歩くのを目撃している。一人は同僚、もう一人は犯人だった。

彼女の車は駐車場で発見され、ドアは開いていた。その数台先に駐車したグリーンのシボレーに白人の男が乗っているのが目撃されている。

エイミーの姿が最後に目撃された2日後の感謝祭の日。超能力者、ナンシー・ウェバーはある女性から1本の電話を受ける。

その時のことをナンシーは語る。

「『モールで働く娘の親友が行方不明になっています。家に帰っていないんです。』という電話を受けました。その時です。ビジョンがパッと現れたのは。彼女は服を着ていなくて体のあちこちに傷がありました。彼女は水の中で横たわっています。殺される前に性的暴行を受けていました。非常にひどい冒涜を受けています。そこで電話してきた女性に言いました。『申し訳ないけど、直接このことは話せません。エイミーの両親か警察と連絡をとってください。』と。」

同日、貯水池を散歩をしていた夫婦によって、エイミーの遺体が浮いているのが発見される。遺体には数々の刺し傷があった。検死によると、そのうちのいくつかは死後に付けられたものだった。すなわち、何者かが死後もなお彼女を切り付けたのだ。

ナンシーのビジョンは当たっていた。

地元のほとんどの警官がナンシーを知っていて友達である。そのうちの一人、ビル・ヒューズ警官がたまたまナンシーの家に立ち寄っていた時のこと。ニュース記事を見たナンシーが言う。

「どうして新聞記事は嘘をついてるの?彼女は性的暴行を受けたのよ。受けてないなんてウソ。ひどく傷つけられてる。明らかな傷はないなんてどういうこと?」

その時点では捜査官達は性的暴行があったとは思っていなかった。しかしナンシーはあったと言う。現場にはそれを示す物的証拠はなかった。後になって法医学検査で分かったのは、確かに性的暴行があったということだった。

ナンシーは言う。

「私はビルに事件に関わりたいとは言ってません。唯一私がしないことよ。私は頼まれるまで待ちます。サイキック関連のことにおいては、とても大事なことなんです。被害者を含め関係者に、私が捜査に参加するのに適切な人物だと知ってもらうことは。いわゆる材料ね。私が材料として必要かどうか。私にはヘルプは要らない。」

ビル・ヒューズ警官が言う。

「今はそうでもないかもしれないが、当時はサイキックは全く真剣には捉えられていませんでした。人の弱みにつけ込んで、自分の名を上げようとしている人達と思われていたことでしょう。私は捜査の中では小さな存在に過ぎず、下っ端でした。何の権限もない。だから自分のような偏見のない人を探す必要がありました。自分が信じるものは一度は試さなければいけない。それが違うと証明されるまでは。」

ヒューズ警官はナンシーの超能力を信じていた。彼女の一番の懸念は、犯人が再度誰かを殺すこと。

ナンシーは言った。

「犯人は過去にも殺してるし、これからももっと殺すつもりよ。」

二人目の被害者は、25歳のディードラ・オブライエン。地元のレストランで働いていた彼女は、午前0時過ぎに車で家路に向かっていた。が、何者かに道路脇に停まることを強要され、車から拉致される。その後高速のサービスエリアに連れて来られた彼女はそこで殺された。

リタイヤした元警部のジミー・ムーアは言う。

「残酷な殺人事件が2件も続いて我々は動揺しました。同じ犯人のような気がしていました。同じ車種の車が立ち去るのを目撃されていたのです。」

連続殺人犯かどうかは分からないものの、今回犯人はタイヤ痕を残している。

ヒューズ警官はナンシーが公式に介入することが不可欠だと感じていた。しかし彼は、犯人は連続殺人犯だと疑う何百人の警官の一人にすぎない。ナンシーの話を聞いてくれる信用できる人物が必要だと考えた。

ヒューズ警官は言う。

「ジミー・ムーア警部は経験豊富なベテランです。20年以上のキャリアがあって責任者でもあります。彼は一人目の被害者エイミーの管轄で、捜査に直接関与している。だからムーア警部に話せば、ナンシーの介入が可能かもしれないと思いました。そうすればナンシーからの手がかりを元に捜査できる。」

ムーア元警部は言う。

「それまでサイキックを使ったことはなかったので少し懐疑的でした。あまり信じてなかったのです。可能性はありますよ。でも海沿いの遊歩道によくある、手相の看板なんかを思い出していました。もちろんそんなのは信じてません。少し怪しいと思ったが、他に手がかりは何もない。少しでも事件解決の可能性があるなら試してみたいと思いました。」

ナンシーが当時のことを語る。

「ドアを開けると、殺人課のジミー・ムーア警部と名乗る男性がビルの隣に立っていました。何事?と思いましたよ。エイミーの新聞記事の相違について、私がビルに言ったことを再度話すように言われました。」

ムーア元警部は言う。

「ナンシーにはいくつか質問しましたが、まずはどういう人か知りたかった。彼女が現実的な人というのが分かりました。大げさに誇張するタイプではない。そこでどうやって見えるのか聞くと彼女は言いました。『ただ見えるんです。どうしてか分からないけど見えるんです。見たことを話すだけ。事件について私に何も言わないでください、手がかりは必要ない』ってね。」

ヒューズ警官とムーア警部は、ナンシーを拉致現場と殺害現場、遺体発見現場へ連れて行くことにする。

ナンシーはその時のことを振り返って言う。

「最初にビルとジミーと車で移動した日、彼女の人生の終わりに向かっている感覚を覚えました。まるで道路そのもののエネルギーがだんだんと暗くなっていくようでした。磁気的にエネルギーを帯びるように不安とパニックが高まっていった。」

ヒューズ警官は言う。

「最初に私達がナンシーを連れて行ったのは貯水池。不気味な感覚でした。人里離れた森の中でエイミーが感じた恐怖を体感しているような感覚。エイミー12エーカー(約1万4千400坪)ある土地のどこに遺棄されてもおかしくなかったのに、ナンシーは遺体が見つかったスポットに真っ直ぐ向かいました。」

ナンシーが言う。

「エイミーがそこで私を待っていたように感じました。だから私は地面に膝をついた。その時点で私は、エイミーが体験した記憶と自分自身との区別を感じることができませんでした。私は彼女が最後に発した言葉を話し始めました。『お願い殺さないで』と。彼女はもう自分が殺されることを悟っていたと思います。性的暴行を受け、ひどい切り傷もつけられていた。彼女はそれを犯人が楽しんでいることも理解していたと思います。それをどうやって切り抜ければいいのか分からなかった。こんな風に彼女を殺した屈折した人物を近くで見ることは、私にはとても重要でした。わずかな手がかりでも証拠の断片でも、彼を止められるかもしれないからです。車に戻り、私は何度も見たことのレビューをしました。フィルム全体を何度も何度も編集するように、できるだけ詳細に。パッ!犯人はポーランド系でモリスタウンで育った。パッ!彼は殺人の罪でフロリダの刑務所にいたことがある。ジミーとビルには、運転中の車内でビジョンが見えたのと同時に伝えていました。パッ!警察は彼を早期に仮釈放した。パッ!エイミーと一緒だった男の名前が何度も浮かんできました。James。彼女が犯人の名前を知ってたかどうかは分からないけど私には分かった・・名字はKで始まりChで終わる。」

ムーア元警部は言う。

「ナンシーは我々が探しているものを見ているように感じました。この人物だと見当がついていて、逮捕のための証拠を提供しようと一生懸命見てくれている。彼女は『この男には吐き気がする』と言い続けていた。そして『この男は捕まるまで殺し続ける』と断固主張していました。」

ナンシーが言う。

「この犯罪は情欲ではなく、ストーカー行為でもなく、彼女に執着していたわけでもない。彼は危害を加える喜びに執着していた。それが見えた時に分かりました。彼は殺すのをやめない、誰かが止めるまでは・・この男はやめない。」

12日間で起こった2件の殺人事件。警察は地元の警官ほぼ全員を動員して捜査に当たる。ほとんどの警官が日常的な手順に従うなか、2人の警官は全く異なる調査方針をたどっていた。 

ジミー・ムーア警部とビル・ヒューズ警官はナンシーと手を組み、独自の調査をする。彼らは既にナンシーのビジョンから、1件目の殺人事件において多くの手がかりを掴んでいた。次は2件目の殺人事件についての手がかりを知りたかった。

ムーア警部とヒューズ警官は、2件目の事件の犯行現場であるサービスエリアにナンシーを連れて行く。彼女は犯人が駐車したスポットに真っすぐに向かった。

ナンシーはそこで見たものを描写する。

「トラックが見えました。トラックの運転手も見えます。スピードを出した車から女性が出てくるのが見えます。彼女は裸で、ナイフで刺されている。私は車を見ています。あの時と同じ車です。ジェームスです。やっぱりそうだった!」

ナンシーが言うには、犯人がディードラに性的暴行を続けるのを唯一止めたのは、近くに停まったトラック。犯人はもう十分だったし、面倒なことはしたくなかった。そこで彼女を刺した後、車の外に放り投げた。そしてそのまま逃走。ディードラは立ち上がり、トラックの窓を叩いて助けを求めた。トラックの運転手は無線で助けを求める。最終的には警官達がそこに到着したが、残念ながらディードラはトラック運転手の腕の中で亡くなった。

ムーア元警部は言う。

「トラックのサービスエリアにナンシーを連れて行った時の彼女には感銘を受けました。彼女が言っていたことの全てがその通りだったことが、トラックの運転手の証言とその後の証拠から分かったんです。」

ヒューズ警官は言う。

「ナンシーは知るはずのないことを私達に話していました。それらの情報はどれもメディアに公開されていませんでした。しかしナンシーは知っていた。」

その後数日間、ナンシーは頭の中でずっとビジョンをリプレイしていたと言う。

「毎回ジェームスを見る度に、わずかだけど新しい情報を得ます。彼は少なくとも178cmはあってスリム。すごく細くて長い鼻。ダークカラーの目。見るのに何時間も時間を費やしました。1日18時間くらいレビューと編集をしていましたね。少し前に戻って・・車に気付きます。彼の兄弟です。ガソリンスタンド。兄弟が所有していてそこで働いている。そこで車を手に入れた・・ガソリンスタンドで働く兄弟から。彼らは地元の人間です。皆犯人のことを知っている。彼の名字も皆知っていますよ。地元の厄介な人物です、成長期から。警察も皆男のことを知ってますよ。彼はなじみのないキャラクターなんかじゃありません。高校生の頃から危険人物でした。」

ヒューズ警官が言う。

「ナンシーは知るはずのないことを次々に言ってきて、我々に役立つ情報をくれました。しかしそこでフラストレーションにぶつかります。彼女の言うことを信じているが、どうしたら上司に彼女の話を聞いてもらえるだろうということです。」

この段階に来ると、ナンシーが公式に捜査に入るための許可をもらいたい。しかし事件の状況を提示する前にオフィスに来ることを否認されてしまう。検察官は超能力者の介入に関心はなかったのだ。

ムーア元警部は言う。

「ナンシーと私はドアに向かって歩き出した時、検察官オフィスの刑事から止められました。個人的にも知ってる刑事です。そして私に、彼女はここで何をしてるのかと聞きました。私は、捜査を一緒にしていて情報をくれていると答えた。すると超能力者に介入してほしくないと検察官が言っていると言います。話さえ聞いてくれない検察官に失望しましたね。少なくとも話だけでも聞くべきだと思いました。気分を害しました。今現在もまだ心に引っかかっていますよ。なぜ彼は話を聞いてくれなかったのかと。」

この事件は全米のニュースで報道され、新聞の見出しにもなる。しかし連続殺人犯が誰なのか誰にも分からない。誰も解決できないでいた。

ナンシーも動揺し、苛立ちを感じていた。彼女はより高い権威に働きかけることにする。そして信用できるサイキックの生徒数人に電話をかけた。サイキックの輪を作り、皆で超自然的な祈りの力を高め、連続殺人犯を止めるために。

ナンシーは言う。

「夕方過ぎに行いました。祈りが終わった後、皆に手を繋ぐように言いました。私達は光のところへ行き、神の元へ行き、頂点に到達します。それを乗り越えると、ジェームス・K が関係者全員に与えた痛みと引き起こした苦しみを本人に戻すことはスピリチュアルなことかと尋ねました。今すぐ彼にそれを感じさせてください。同じ痛みを与えてください。 もう二度と繰り返さないように。そして私はその夜ずっとその考えを抱いていました。 それは私の呪文でした。詠唱でした。自分が他人に与えた痛みを感じる時が来たのだ。もう二度と人を傷つけないように。彼に他人に与えた痛みを感じさせてください。 もう二度と人を傷つけないように。 これで終わりになるように。」

その夜、事件は一夜にして劇的な展開を迎える。

ムーア警部は、ある人物が逮捕されたという電話を受ける。エイミー・ホフマンとディードラ・オブライエンの殺害容疑だ。

ある人物から刺されたという男の通報を受けて現場に到着したところ、警官の一人がグリーンのシボレーが家の前に停められているのに気づく。警察がが探していた車と一致していた。

鑑識が現場に来ると、その車のタイヤと犯罪現場に残されていたタイヤ痕が一致する。ディードラ・オブライエンの拉致現場で発見されたタイヤ痕だ。その後、その人物は2件の殺害容疑で逮捕された。

ムーア元警部は言う。

「その人物が誰か、そのバックグラウンドも分かった時、ナンシーがくれた情報の正確さに驚きを隠せませんでした。」

逮捕されたのは、James Koedatichという男。苗字はKoedatich。K で始まり Chで終わる。ジェームスにはメカニックの仕事をしている兄弟がいて地元で暮らしている。

ジェームスはフロリダに引っ越したが、ルームメイトを殺した罪で11年の刑に服役。フロリダの刑務所内でも殺人を犯している。そしてエイミーとディードラを殺害する数か月前に釈放されていた。

ナンシーが言う。

「早朝にジミーから電話があって、『やあ、ナンシー、何をしたんだ?』って言うんです。どういう意味?と聞くと、もう一度、何をしたのか?と聞くんです。だから昨夜サイキックの集まりをして、終わりを迎えるための祈りをしたことを説明しました。この男が女性達に与えた痛み全てを感じるようにと祈ったことを。ジミーが、James Koedatichは・・と言った瞬間、それ、その男だ!と分かりました。」

ムーア警部もヒューズ警官も、ナンシーが見たという情報がズバリ的中していたことに驚いた。

ヒューズ警官は言う。

「サイキックを通して解決した事件のことを知っても、信じない人は多いかもしれない。でも警官で信じないなら捜査側の人間であるべきではないでしょう。捜査側なら柔軟な考えを持たなくてはいけない。なんでも試してみなければ分からないものです。試してみて結果が得られなかったらそれでいい。でも少なくとも一度は試してみるべきです。」

ジェームス・コエダッチの逮捕に至った課程には謎が残る。警察が彼の家に行ったのは、彼が刺されたと通報をしたからである。ナンシーの祈りはこれに関与しているのだろうか。

ナンシーが言う。

「彼はダークヘアで長めの髪の女が道路で追いかけてきて、背中を刺したと言ってたそうです。私、その頃は白髪はなかったのよね。あと髪も長めだった。もし彼が私を見たら気づくかしらね。彼に知ってほしい。全ての被害者の側で支えている人がいることを。そして被害者には力があることもね。愚か者。どうしてそんなことができるのよ。」

ムーア元警部は微笑んで言った。

「ナンシーの祈りがこれと関係しているかどうかはあなたの受け取り方次第です。」

1984年10月29日、ジェームス・コエダッチはニュージャージー州で最初の死刑囚となった。その後、判決は懲役刑に減刑される。

逮捕後に実際は自分で背中を刺したことが判明。それがなぜかを説明することはなかった。その後彼は自分を襲ったという女性のことを話すことはなかった。もしかしたら今も昔もその女性を見ているのかもしれない。


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