【前世の記憶】失われた姉の悲劇:息子が語る前世の真相【ゆっくり解説】
アメリカ、マサチューセッツ州。ジョアナには6歳の息子、エイデンがいる。
エイデンは新生児の頃から首がしっかりしていて、周囲の人々を驚かせていた。彼は寝返りを打ち、生後4ヶ月でシッピーカップを使い始め、1歳の時には会話ができるようになっていた。健康診断では、壁にあるアルファベットをすべて書き始め、医者も驚くほどだった。
ジョアナが言う。
「賢い子供を持ったことを誇りに思いました。これまでに100人以上の乳幼児を里子として育ててきましたが、エイデンは他の子供たちを圧倒的に上回る成長を見せていました。彼の知識や能力は、今まで見たどの子よりも優れていました。最初に何かが違うと感じたのは彼が1歳の頃です。家族みんなでリビングにいると、彼はぼんやりしていて、何を考えているのか尋ねると、神様と話していると言ったのです。来世も同じ家族に生まれたいとお願いしていると。」
ジョアナは女性と結婚しており、マーリンというパートナーがいる。
マーリンはこう言う。
「本当に驚きました。彼の言葉の意味が理解できませんでした。来世に生まれるとはどういうことなのか?私は立ち上がって彼を抱きしめました。再び私達の元に生まれたいだなんて、素晴らしい気持ちでした。私もあなたに戻ってきてほしいと伝えました。」
しかしそれは始まりに過ぎなかった。エイデンが3歳の頃、ひとり遊びをしている時に、何かを見つめながら、誰かと会話をしているかのように話していた。まるで他の子供と口論しているようだったが、周りには誰もいない。
最初は、ジョアナはエイデンがただのごっこ遊びをしているのだろうと軽く考えていた。しかし、同じようなことが毎日のように繰り返され、エイデンはその架空の人物に「サラ」という名前を付ける。
サラとは誰かと尋ねると、エイデンは、知らないの?とでも言うようにジョアナを見て言う。
「ママ、サラだよ。僕のお姉ちゃん。」
ジョアナが
「サラという名前の姉妹はいないでしょ」と言うと、彼は「いるよ」と主張した。
ある日、エイデンがノートに落書きをしていて、突然流れてきたCMを見て彼は言った。
「僕のママがあんな髪型してた」
ジョアナが
「どこのママ?私はあんな髪型してないわよ」と返すと彼は、「ノー、別のママだよ」と言う。
女性と結婚しているジョアナは、彼女のことを言っているのだと思い、「マーリンお母さんのこと?」と尋ねるが、彼は「違うよ、マーリンママじゃなくて別のママ」と言う。
「エイデン、あなたは私のお腹から生まれてきたのよ。今一緒にいるのは二人のママだけよ。」
と説明すると彼は動揺し、ジョアナも困惑した。彼が夢の中の話をしているのかどうかも分からなかった。
すると彼は、「ノー、別のママがいたの!別の家に!」と主張する。ジョアナは驚き、
「別の家って何?ここしか住んだことないじゃない?」
と言うと彼は
「ノー!別の家だよ、ライトカラーの家。ダークブルーの窓シャッターがあって、僕の部屋がある。ママとパパとサラがいる。猫も3匹いるんだ。」
と続けた。
ジョアナが言う。
「エイデンはいつも別の家の絵を描いていました。だからその話を聞いた時はショックでした。彼の言葉が変わるかもしれないと思い、何度も同じ質問をしましたが、彼は常に一貫していました。その家族、特にサラが存在しないことを伝えると、彼はいつも気分を害して、「違う!僕の家族だ!僕の姉なんだ。全部本当なんだよ!』と主張するのです。どうしてそんなことが言えるの?というような表情で。私は困惑しました。息子が他の家族について話すと、心が痛みましたが、彼に悪影響が出ているようには見えなかったので、心配はしていませんでした。ある夜、すべてが変わるまでは…。」
それまでエイデンが暗い場所を恐れたことはなかった。しかし、ある晩、就寝中に彼は突然叫び声を上げる。部屋に駆けつけると、彼は恐怖で震えていて、「サラが怖かった」と繰り返した。ジョアナが「大丈夫、ただの悪夢よ」と言って落ち着かせると、彼は「悪夢じゃない、サラが仮面をかぶって僕を怖がらせたんだ」と言う。
6歳のエイデンは言う。
「サラが怖い仮面をつけてた。顔みたいなやつ。サラは夜だけ僕を怖がらせるんだ。」
ジョアナはサラが脅威だとは思っていなかったが、その夜以降、エイデンは暗い場所を恐れるようになる。明かりがついていても、彼は母親を呼び、怯えるようになったのだ。ジョアナは母親として無力感を感じ、途方に暮れてしまう。
サラは悪戯をするのが好きだったと言う。エイデンは一人で自分の部屋に行くのが嫌で、サラが自分を怖がらせると訴えていた。そのため、彼は両親の部屋で寝ることになる。
ある日、エイデンは車の後部座席でサラといつものように会話をしていた。ジョアナが何を話しているのか尋ねると、エイデンは答えた。
「僕が死んだ時のことだよ。」
ジョアナが
「どうしてあなたがここにいてサラがいないの?」
と聞くと、彼は両親が子供達に対して非常に意地悪だったからだと説明した。だからこそ、彼は死んだのだと。
その時のことをジョアナはこう振り返る。
「本当にゾッとしました。何を言えばいいのか分からず、手は冷たいのに汗が出てきました。車を停めなければならなかった。完全にショックを受けていました。エイデンが生まれ変わりについて何かを耳にしたとは思えません。私はペンテコステ派の家庭で育ち、一度死んだらそれで終わりだと教えられてきました。輪廻転生はラテン文化では非常にタブーな話題で、特に私の宗教ではそれが強く感じられます。後になって冷静に考えると、エイデンが言うサラは前世の存在かもしれないと思いました。」
エイデンは本当に別の人生や家族が存在していたと信じていた。ジョアナは彼の話を聞いて恐怖を感じる。
エイデンは言った。
「世界中の誰もが一度以上生きるんだ。もし人生で同じ場所に戻りたいなら、死ぬときに神にそう伝えればいい。同じ家族と一緒になりたいなら。」
ジョアナは言う。
「彼の想像上の家族は無害だと思っていましたが、その瞬間、これは単なる幻想ではないと感じました。彼は殺されたり傷つけられたりしたことについて話しているのか?彼の頭の中にはどんなイメージがあるのか?なぜ3歳の子供の死について語っているのか?その瞬間、全てが変わりました。どう受け止めればいいのか分からなかったけど、エイデンはそれが前世の出来事だと確信していました。大事なのはそこです。」
エイデンが両親からの虐待のせいで自分とサラが亡くなったことに触れた時、サラがまだ生まれ変わっていないことを悲しんでいるように見えた。どうやって助ければいいのか分からず、母親として心が痛む。3歳の子供が死について話すのを聞くのは、親として最も辛い瞬間だ。
ジョアナはエイデンに詳細を聞くのを避けた。自身も混乱していて息子が辛い気持ちになるかもしれないからだ。前世について全く何の知識もなかった彼女には頼れるものはなく、息子を助ける方法が見つからなかった。
ジョアナはインターネットで情報収集をし始め、他にも前世の記憶を持っている子供達がいて、エイデンと同じような体験をしていることを知る。
エイデンは、ジョアナを選んで生まれてきたと言っていたが、同じことを言う子供達がいて、現世に戻ってきたことや別の母親についても話していた。どの事例を読んでも、何かしらエイデンの言うことと一致する点があった。
ジョアナは言う。
「調べれば調べるほど、これは事実なんだと気づきました。息子は前世の記憶を話しているのです。他の子達の事例を読み出してから、他にも同じような経験をしている人がいるんだという安堵のようなものを覚えました。出口が見つかったような感じでした。我が子を理解するための糸口が。」
ジョアナはエイダンに、サラに何が起こったのかを聞くことにする。彼は以前ほどサラのことに触れなくなっていたからだ。彼は母親を見て悲しそうに、「分からない」と言った。以前ほどサラは来なくなったのだと。
エイデンは言う。
「サラのことは思い出すけど、しばらく会ってないんだ。でも大丈夫。いつも僕と一緒だって分かってるから。」
しかし彼が成長するにつれ、克服できないような結果になるのではとジョアナは心配になる。6歳になった今でもエイデンは暗い場所を怖がり、睡眠障害がある。医者からメラトニンを処方してもらっていて、それが彼が眠れる唯一の方法だ。
彼の前世の記憶はだんだん薄れていっていたが、その影響はまだ残っている。
ジョアナが言う。
「一番心配しているのは、前世の記憶はまだあるのか、将来にどう影響するのかということです。まだ諦めていません。息子を助ける方法を見つけなければ。」
最近、ジョアナはエイデンと前世の記憶についてじっくり話したが、彼はとても感情的になり動揺した。ジョアナは、彼が記憶を忘れかけているけどその感情はひきづっているのかもしれないと思った。
そんななか、ジョアナは同じく前世の記憶を持つブレナン親子について知る。ブレナンもエイデンと同じ6歳だ。多くの共通点を感じた彼女は連絡を取ることにする。
ジョアナは言う。
「エイデンが一人じゃないことを知るのは重要だと思っています。他にも彼のような子供がいることを知ることは。私も、母親として悩んでいるのは自分だけじゃない、話せる人がいると分かって安心しました。」
ブレナンの母親のタンが言う。
「ジョアナがここマサチューセッツ州に招いてくれました。お互いに前世の記憶のある息子を持っているので、親子4人で会うことは良い考えだと。」
公園で遊ぶ息子達を見守りながら、母二人は話す。
タンによるとブレナンは、成長するにつれ前世のことはあまり話さなくなったと言う。ジョアナも、エイデンは前世のことは時々触れるものの、そこで質問すると、忘れたと言ったり、感情的になったりして話すことを拒否することを話した。
それに対しタンは、もし彼が話したがったら、プレッシャーを感じない形に持っていくのがいいと言う。少なくともブレナンに対して自分はそうしたと。そのことについて話すのが変に感じる時期があれば、聞いてほしいことだけ、話したい時に話せばいい、大したことじゃないわという感じに持っていったとアドバイス。
母二人は息子達が対面したことを喜んだ。
一方息子達の方は、エイデンがブレナンに語っていた。
「階段から転げ落ちていったんだ。それで死んだ。」
「階段から落ちたの?なんか同じだね。落ちるの。僕は40フィートの建物からだよ。」
二人は、「君もあんまり覚えていないの?僕もだよ」、という会話をしていた。
また、エイデンはブレナンに、母親にも話さなかったことを話していた。
ジョアナが言う。
「エイデンからは階段から押されて転落したことは聞いていませんでした。聞いたことのないことを耳にするのは悲しくもあります。でも彼が会ってすぐに、それほど心地よく感じたということなので嬉しく思います。私達以外の誰かにそう言うことを打ち明けて話したということですから。もうエイデンに詳細を突っ込みたくなかったんです。トラウマ的なことが彼の人生に起こるかもしれないし、影響するかもしれないから。でも同じ歳の子に打ち明けることができて、その方が気が許せるのなら完璧な方法だと思います。」
その後親子はアイスクリームを食べながら、この先も電話やメールで連絡を取り合おうと話した。ブレナンは
「もう少しここにいたいな・・」
と言う。二人は最後にハグをする。
マーリンは言う。
「エイデンが愛情をたくさん感じることが大事だと思っています。前世でそれを感じなかったのなら、現世でそれを感じてほしい。ああ、泣いちゃうわ。将来彼が幸せな男になってるのが見える。」
ジョアナは言う。
「エイデンにはただ愛されてるということを知っていてほしい。何があっても彼を信じるということも。彼を絶対に傷つけることはないということも。そして現世では幸せな人生が送れることを。」
最後にエイデンは言った。
「僕は家族が大好き。家族を選ばせてくれて感謝していますと神様に言ったんだ。」
エイデンは薬無しで朝まで眠れるようにだいぶん改善されてきているという。ブレナンとは今でも連絡を取り合っている。
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