詩 「12月」
きらめく街で胸を痛める
ちいさなひとはここに居られないでしょう
ちいさな偽善者でいたいから
わたしのために死んでくれたひとを喜ぶ、
と言うとなんだか怖いか
遠からずだけど
いまも生きてるってことを言わなきゃ
贈りものはいつでも このなかにある
絶えない すたれない
いのちの呼吸を
口をきけなくなったひとが
ふたたび話すようになったとき
そのひとは低くなり
高き存在をたたえるように
歌うように
生まれて死ぬとはまさに人である
しわの刻まれたひとに注ぐ眼差し
生まれたばかりの赤子を照らす瞳の光
帰ってゆく 帰ってゆく 帰ってゆく
外において盛大ではない
内において盛大である
ああ、そうか泥のなかを通って来たからか
だから燃えているのか
あの星もこの星も
2020 Sayori
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