年間契約割引とChurnの関係。何ヶ月分まで割り引いてもOKなのか計算してみた。
こんにちは。
サブスクリプション型の有料サービスでは月額プラン以外にも、3ヶ月プランや半年プラン、年間プランが存在します。
1ヶ月超のプランを選んでもらうには、プロダクトの付加価値がないと選んでもらえないわけですが、それ以外にもユーザーにとってメリットが無いと入ってもらえないため、各サービス価格面でお得感を打ち出しています。
いくつかサービスを見てみる
各社のサービスはどうなっているのか。いくつかピックアップしてみました。
Newspicks(ニュースメディア)
月額 1,500円/月
年間 1,250円/月
割引 2ヶ月分無料
マネーフォワードME(家計簿アプリ)
月額 500円/月
年間 458円/月(※年額5,500円 android)
割引 約1ヶ月分無料
eight(名刺管理アプリ)
月額 480円/月
年間 400円/月(※年額4,800円)
割引 2ヶ月分無料
Amazonプライム(アマゾンです)
月額 500円/月
年間 408円/月(※年額4,900円)
割引 約2ヶ月分無料
Pairs(男女マッチングアプリ)
月額 4,300円/月
年間 1,733円/月(※12ヶ月)
割引 60%オフ!
上に挙げたのは一部ですが、toC向けで年間プランがあるものは概ね1〜2ヶ月程度の割引が多いようです。
Pairsを始めとする男女マッチングアプリは、他のサービスを見てみても年間だと60%やそれ以上の値引きをしており、期間も3ヶ月/6ヶ月/12ヶ月とパターンも豊富です。
出会ってしまえばそのタイミングで解約というパターンが多いとおもうので、長期契約の場合の値引率を大きくあげているのだと思います。
どの程度の値引きが適正なのか
いくつかtoC向けサービスに絞って調べてみたところ、月額プラン以外には年間プランを設定しているところがおおかったので、年間プランを中心に考えてみます。
年間プランでは、◯ヶ月無料!や△%オフといった価格メリットを打ち出しています。その割引率は様々でしたがどの程度の割引が合理的なのかを試算してみます。
■試算の前提となる条件
・ChurnRateは毎月同数とする
・試算の対象は1年間とし、1年以降の更新は検討から除く
・月額プランと年額プランの売上を比較して判断する
まずはざっくり以下のような試算表を作って数字を動かしてみて考えてみました。
作ってみると変数としては、求めたい割引率(※ここでは月数で置いてます)と月次ChurnRateであることがわかります。
定数および変数を以下のように定義します。
単価:P(円/月)
月次ChurnRate:C(%)
契約件数:S(件)
割引月数:x(ヶ月)
①月額プランの1年間の売上
月額プランの1年間の売上
=1ヶ月目の契約数×単価+2ヶ月目の契約数×単価+・・・
というのは以下のような式で表されます
②年間プランの1年間の売上
年間プランの計算は簡単です。
=契約数×単価×(1-割引月数/12)×12ヶ月
③この上で出した①と②を比較する
①<②になる割引月数xを求めると・・・
これで割引月数と、月額プランの月次ChurnRateの関係性がわかりました。
これをSpreadsheetで可視化してみたのが以下です。
月次ChurnRateが10%のサービスの場合、1年間の売上としては5ヶ月程度割り引いたとしても年間プランのほうが収益が大きくなることがわかります。
C向けのサブスクがChurnRate5%程度と仮定すると3ヶ月程度まで割り引いても、年間プランのほうが収益は大きくなるため問題なさそうです。
確かNetflixが5.5%くらいだったような?
年間プランが増えることによって、全体のChurnRateも下がりますし、1年後の解約が月次ChurnRate程度で収まるような見込みが立っているのであれば上記グラフよりも、割り引いても良さそうです。
新規の獲得コストやキャッシュインのタイミングなど様々な要素で変動する部分ではあるのでそのあたりも考慮する必要はあるかもしれません。
適正な価値を提供していれば割り引く必要はないのですが、年間を一括で払ってもらうような年額プランの場合はある程度の値引きが必要なケースもあるので、そんな際の参考になればと思います。
※考え方に誤りがあればこっそり教えて下さい。
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