【シノビガミ】夢のバーチャルアイドルへ〜What is my identity〜【シナリオ】

シナリオスペック
レギュレーション:現代編
タイプ:特殊型
リミット:4
プレイヤー人数:4人

はじめに

 このシナリオのレギュレーションは現代編です。一般人のNPCは登場しませんが、ペルソナを使用します。

背景

 世はVTuberの戦国時代。個人、企業を問わず数多のVTuberが鎬を削ったり和気藹々としたりしている。
 八咫重工もこのVTuberの興隆に目をつけた企業の一つだ。そう、八咫重工、いや、斜歯忍軍には元々バーチャルタレントが居たではないか。みんな大好きDr.斜歯だ。Dr.斜歯は流行に遅れまいと、そしてついでにVTuberに紛れる忍者達の忍法を奪おうと暗躍し始めた。……CEOの黒潮一人に相談せずに。
 Dr.斜歯はバ美肉で「ツルマキアイ」となり一流のVTuberにセルフプロデュースすることと、魂が忍者であるVTuberを自らが経営する「指矩プロダクション」に所属させることを目的としている。
 一方、Dr.斜歯とは全く関係ない勢力による非道な実験により、人間のアイデンティティに対する挑戦が行われていた。

主な舞台

 各種プラットフォームでの生放送、VRChatのようなコミュニケーションサービスなど。現実世界で接触するのもアリですが、炎上には気をつけて。

特別ルール

 PC達はVTuberなのでアバターを持ちます。つまりペルソナがあります。各PCは「歩く厄災」カテゴリのペルソナを1つ設定してください。
 また、PC達はVTuberなので、VTuberとしての名前と設定も事前に作っておいてください。「ロールプレイ on ロールプレイ」の構図になります。ややこしいですね。

導入

 知る人ぞ知る有名VTuberのツルマキアイ。彼女は黎明期から活動していたVTuberの一人であり、彼女の存在抜きに現在の界隈を語るのは困難です。しかしそんな彼女にも弱みがありました。パイオニアであるが故に後続の同業者とコラボする機会が殆どなかったのです。そこでツルマキアイは考えました。界隈を巻き込んだ大型コラボ「第1回ツルマキ杯」を開催しようと!
 PC達はVTuberであり、各々の目的で「第1回ツルマキ杯」に参加することにしました。各PCは、自己紹介動画風に「自分がどんな活動をするVTuberなのか」と「第1回ツルマキ杯に対する意気込み」を発表します。最初にGMがツルマキアイでお手本を見せてあげるとスムーズに進行することでしょう。

マスターシーン

 各サイクルの終了時にNPCのツルマキアイがドラマシーンを行います。このドラマシーンでは、ランダムに選んだPCの【秘密】に対して情報判定を行います。既に【秘密】を獲得しているPCは対象から外しましょう。このドラマシーンでは、GMの気まぐれで【流行禍】を使用しても良いです。
 2サイクル目のツルマキアイのドラマシーン終了後、大会の予選として戦闘シーンを行います。参加者は全PCとエネミーの「戦闘員」×3です。戦場は雑踏です。
 エネミー3体はPC以外の大会参加者です。PCとエネミー以外にも有象無象の参加者や視聴者がおり、それを「雑踏」で表現しています。

戦闘シーンを行います
 インターネット越しにどうやって戦うのか疑問に思うかもしれません。基本ルールブック205pの「忍び語り」の応用で、ネットワーク越しに干渉可能な「場」が形成されていると考えると良いでしょう。あるいは、全員ネットワークにジャックインしていると考えるのも良いでしょう。もしくは思い切ってオフラインコラボ。好きに演出して構いません。

クライマックスフェイズ

 クライマックスフェイズは「第1回ツルマキ杯」の決勝戦です。戦場は雑踏です。エネミーとしてツルマキアイが最大3体登場します。(詳細はツルマキアイの【秘密】を参照)
 戦闘終了条件は、1人だけ生き残るか、全員の戦闘続行の意思がなくなることです。最後まで戦場に残っていたキャラクターが戦闘の勝者となります。戦闘の勝者が2名以上の場合は「第1回ツルマキ杯」の優勝者は無しとなります。
 ただし、ツルマキアイだけが2〜3人残っている状態で戦闘が終了した場合は、ツルマキアイが優勝です。

優勝者は無し
 【使命】が「「第1回ツルマキ杯」に優勝すること」になっているキャラクターは、最後の1人になるまで戦う必要があります。「優勝者無し」にならないよう気をつけましょう。

ハンドアウト

PC1
【使命】
 あなたは最近この業界に参入したばかりの新人VTuberだ。あなたの【使命】は「第1回ツルマキ杯」で優秀な成績を収め、人気者になることだ。

【秘密】
 実はあなたは何者かに囚われて脳を摘出され、無理やりVTuberにされた。脳だけになって以来、あなたはアイデンティティの拠り所とは一体何なのか常に考え続けてきた。答えは出なかったが、その甲斐あって人の秘密を見抜く能力を手に入れた。あなたはペルソナを修得しているキャラクターの【秘密】の情報判定に成功した時、必ず【秘密】を獲得できる。
 あなたはプライズ「PC1の物理肉体」を誰かが所持していることを突き止めている。
 あなたの【本当の使命】は、「自分が自分であるために必要だと思うことを為すこと」である。クライマックスフェイズ開始時に「自分が自分であるために必要だと思うこと」を参加者全員に宣言すること。
PC2
【使命】
 あなたは最近この業界に参入したばかりの新人VTuberだ。あなたの【使命】は「第1回ツルマキ杯」を通して沢山のVTuberと仲良くなることだ

【秘密】
 あなたは色んな人と仲良くなって、人間の色んなことが知りたい。 あなたの【本当の使命】は、「できるだけ多くのキャラクターに対してプラスの感情を獲得すること」である。獲得したプラスの感情の個数がそのまま功績点となる。(最大3点)

【追加の秘密】
 最初、PC2はこの秘密の存在と内容を知らない。PC2以外のキャラクターがPC2の秘密を獲得した時、この追加の秘密も獲得する。PC2以外のキャラクターは、PC2にこの秘密を受け渡すことができる。
 PC2は世界初の汎用AIバーチャルユーチューバーだ。しかし、あまりにも人間味がないので人間について学習している最中である。人間を知るには人間の体が必要だと考えた開発者達は、別の研究部隊から譲渡された有機義体をPC2に提供した。PC2はプライズ「PC1の物理肉体」を所持している。
 PC2がこの秘密を知った場合、PC2はクライマックスフフェイズ開始までに【本当の使命】を下記の何れかに変更し、PC2の秘密を知っているPCに伝えなければならない。
1. セッション終了時までプライズ「PC1の物理肉体」を所持し続ける。
2. PC1にプライズ「PC1の物理肉体」を受け渡し(功績点1点)、PC1の【本当の使命】の達成を手伝う(功績点2点)。
PC3
【使命】
 あなたはVTuberにこれからなる。発注していた3DCGのアバターが遂に納品されたのだ。あなたの【使命】は「第1回ツルマキ杯」で大活躍し、有名人になることである。

【秘密】
 あなたは悪いオタクだ。VTuber活動を通してワンチャン狙っている。あなたの【本当の使命】は、「好きなPC一人の居所を獲得すること(功績点1点)と、そのPCに自分に対して愛情の感情を獲得させること(功績点2点)」である。

【追加の秘密】
 最初、PC3はこの秘密の存在と内容を知らない。PC3以外のキャラクターがPC3の秘密を獲得した時、この追加の秘密も獲得する。PC3以外のキャラクターは、PC3にこの秘密を受け渡すことができる。
 実はPC3の人格はPC1のコピーである。とある芸能事務所がYouTuberとして将来性があるPC1に目をつけ、その才能を有効活用すべく勝手に人格をコピーし、その辺の一般人のニューロンに据え付けたのだ。
 PC3がこの秘密を知った場合、PC3の【本当の使命】は以下の2つに変更される。1が未達成の場合、2を達成しても使命達成にならない。
1. PC1を殺して自分がオリジナルのPC1となること。(クライマックスフェイズで自分より先にPC1が脱落すれば良い)
2. プライズ「PC1の物理肉体」を手に入れること。
PC4
【使命】
 あなたは友人にタダで作らせたアバターで活動するマイナーVTuberだ。アバターを作ってくれた友人に焼肉ぐらいは奢らないと道義にもとるので、広告収入が欲しい。あなたの【使命】は「第1回ツルマキ杯」に出場して知名度を高め、収益化の条件を満たすことである。

【秘密】
 あなたは悪いオタクだ。あなたは他のVTuberの素性を暴こうと躍起になっている。あなたの【本当の使命】は、自分以外の全PCが「PC4に秘密を知られている」または「ペルソナが公開されている」状態にすることだ。

【追加の秘密】
 最初、PC4はこの秘密の存在と内容を知らない。PC4以外のキャラクターがPC4の秘密を獲得した時、この追加の秘密も獲得する。PC4以外のキャラクターは、PC4にこの秘密を受け渡すことができる。
 実はPC4はPC1の武勇伝が一人歩きした結果生じた都市伝説である。従ってPC4は実在しない。PC1が死ねばPC1の武勇伝もやがて忘れ去られ、PC4も消滅する。
 PC4がこの秘密を知った場合、PC4はクライマックスフフェイズ開始までに【本当の使命】を下記の何れかに変更し、PC4の秘密を知っているPCに伝えなければならない。
1. PC1を最後まで守り抜く。
2. PC1に成り代わろうとしているPCの使命達成を手伝う。
ツルマキアイ
【使命】
 今回の大会参加者の中でチャンネル登録者数1位のVTuber。ツルマキアイの【使命】は「第1回ツルマキ杯」のホストとして、大会を成功させることである。メインフェイズ中、ツルマキアイもシーンプレイヤーとして行動する。ツルマキアイはPCの秘密を知りたがっているので、秘密を交換する交渉には応じる可能性がある。

ペルソナ
【偽装】ツルマキアイとリアルで接触した者は存在を抹消される。
【真実】死神

【秘密】
 実はツルマキアイの正体は斜歯忍軍 指矩班 首魁のDr.斜歯である。ツルマキアイの名前の由来は、「斜歯忍軍→はすば→はすば歯車→歯すじがつるまき線」である。
 Dr.斜歯の【本当の使命】は、PC全員をVTuber芸能事務所「指矩プロダクション」に所属させ、アイドルからモルモットまで様々な用途で骨の髄まで使い倒すことである。
 ツルマキアイがクライマックスフェイズの戦闘で勝者となった場合、全PCが使命不達成となる。
 ツルマキアイは大会に多重ログインするので、クライマックスフェイズにツルマキアイが3体参加する。3体のツルマキアイは異なるエネミーとして扱う(生命力、変調、逆凪などを共有しない)。便宜的にツルマキアイA、ツルマキアイB、ツルマキアイCとする。
 この【秘密】を知っているキャラクターは自分のシーンで《絡繰術》で補助判定を行うことができ、成功するとクライマックスフェイズに参加するツルマキアイを1体減らせる。最大で2体までしか減らせず、ツルマキアイAは必ずクライマックスフェイズに参加する。
 メインフェイズ中に行動したりダメージを受けたりするのは、ツルマキアイAである。
 ツルマキアイ(Dr.斜歯)のキャラクターシートは下記リンク先を参照。
https://character-sheets.appspot.com/shinobigami/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEY1rKYoAEM
PC1の物理肉体
【概要】
 PC1の物理肉体である。脳が抜き取られている。このプライズに【秘密】は存在しない。

余談

 PC1のアイデンティティを巡るサイバーパンクシナリオです。PC1が主人公といっても過言ではありません。PC1は自分のアイデンティティをどのように定義するかによって、倒すべき相手が変わります。作者が身内卓で回した時は、PL1が「自分が自分であるためには結果を残さなければならない!全員倒して優勝する!」という旨の発言を放ち、実際に勝利しました

以上

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