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小説『ヴァルキーザ』 24章(2)
誰も話題にしなかったことを考えると、それはよほど小さな村で、とうに竜のゲルグースによって破壊されてしまったようだ。
グラファーンたちはあわてて、ローレリア鉱山に数日前に起きた出来事をトーラス、アルマイル、ベルシーラに伝えた。
トーラスたちは、その話に衝撃を受けた。
「何ですって? 鉱山が攻撃された?」
「あなた達が壊したのか?」
「じゃあ私たち、これからどうやって生活していけばいいの?」
皆は驚いたり、悲鳴を上げている。
どうも、何か説明不足だったらしい。
囚人だったこの人たちは、グラファーンたちに詰め寄り、非難の叫び声を上げる。
アム=ガルンが弁解を試みたが上手く出来ず、かえって人々の怒りの火に油を注ぐような成り行きになってしまった。
多くの人々に取り囲まれかけたので、グラファーンは他の団員たちに叫んだ。
「みんな、逃げろ!」
団員はみな、二階に通じる階段がある方向へ駆け出す。
冒険者たちはその場から逃走し、かろうじて難をのがれた。
二階に通じる階段を昇ると、そこにはブラックフォロスと、他にもデス・ストーカー(殺人魔)という怪物が徘徊していた。
グラファーンたちは苦心して彼らを斥け、道を開きながら、迷路のような場所を通り抜けた。
さらに奥に行くと、ナスパーとドラッガという二人の人物に出会った。
二人は普通のスーク人で、冒険者たち(ユニオン・シップ団)に敵意はなく、それぞれ、この砦の内部のことを知らせてくれた。
「三階に通じる階段は、この階の北東の隅にあります」
「三階には、守護聖獣と呼ばれている怪物がいます」
冒険者たちは礼を言い、ナスパー、ドラッガと別れた。
ユニオン・シップの冒険者の一団はさらに先へ進み、やがてグラファーンは通路の果て、砦の隅に当たる場所に、上に向かう階段を見つけた。
冒険者たちは、最上階の三階に向かう階段を昇っていった。
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