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【小説】ヴァルキーザ(ルビ付き版)

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小説『ヴァルキーザ』本文にルビを振った版のマガジンです。(本文の内容を少し改変しています)
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2022年11月の記事一覧

小説『ヴァルキーザ』 33章

小説『ヴァルキーザ』 33章

33. 終章

こうして、ウルス・バーン全土は悪魔から開放された。

この世の人々の心を支配しようとする悪魔の邪な試みは、賢明な諸国民たちの勇気ある行動によって打ち砕かれた。

その結果、すべてのフォノンの生命が蘇り、
人々に笑顔が戻った。

宝冠を取り戻した王国は、建国の時の精神の息吹を甦らせ、再び、燃え上がるように輝いた。

そしてイリスタリアはついに、マーガスと会議を開き、
平和条約を締結す

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小説『ヴァルキーザ』 32章(3)

小説『ヴァルキーザ』 32章(3)

時間協約はただちに施行され、それに基づく補償が民衆に対して行われた。

時の城主エルサンドラは、彼への権力集中制を放棄し、その独裁的な地位は実質上、無効化された。
ただ、時間協約の遵守のために、名目的には城主としての仕事を続けることになった。
これは身分制から人民主権の平等制への移行の契機となった。

そして各地で権力をふるっていた、悪魔なりし時のエルサンドラの手下…無法者、悪党、ごろつき、欲張り

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小説『ヴァルキーザ』 32章(2)

小説『ヴァルキーザ』 32章(2)

《 時間協約 》

使用者代表と労働者代表は、下記の条件で労働に関する協約を締結する。
この協約の締結者である両者は、この協約を誠実に遵守しなければならない。

第一条

 使用者は、労働者が、労働する権利を確保するため、また労働条件を改善するために団結し、組合を結成し、組合に加入する権利を有し、また使用者と団体交渉する権利を有すること、ならびに使用者に対し同盟罷業等の団体行動をする権利を有するこ

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小説『ヴァルキーザ』 32章(1)

小説『ヴァルキーザ』 32章(1)

32. 祝福の歌

最後の使命を果たし、時の城を出たユニオン・シップは、時間監察官の立ち会いのもと、イリスタリア王国に国宝「自由の宝冠」を返還した。

ユニオン・シップは、時の城ゼーレスの長であるエルサンドラと和解し、「時の法典」の中で明らかに宣言されている法原則とユニオン・シップ組合規約に基づき、エルサンドラとの間に「時間協約」を締結した。

この時間協約の目的は、支配階級の下で働くウルス・バー

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小説『ヴァルキーザ』 31章(7)

小説『ヴァルキーザ』 31章(7)

宇宙の彼方に敗走した超存在メガロサイモスが行っていた干渉によって、時の城ゼーレスの動力炉ターミナル・ジェネレーターは暴走をし始めた。

このままでは炉が大爆発する。危険な状況だ!

魔法の動力炉は爆燃し、激しい勢いで莫大な量のスモッグ「魔の雲」を放っている。

「早く止めないと!」
「どうやって止めればいいんだ?!」
「このままでは、世界が滅んでしまう!」

そのとき「時の城」ゼーレスの上空に、古

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小説『ヴァルキーザ』 31章(6)

小説『ヴァルキーザ』 31章(6)

そのとき、エルサンドラが上げた最後の絶叫に呼応するかのように、目の前の空間を引き裂いて、巨大な「何か」が現れた。

「それ」は、様々な形と彩りに乱れ舞い明滅する光と音が集まり、響きあう、数多の光と音の結合体のようなものだった。

また、その姿は、この宇宙のすべての人々が発する様々な想念の集合体のようでもあった。

怒りや憎しみ、不安や恐怖、妬みや羨望
喜びや愛情、安心や勇気、誇りや自信…

その潜

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小説『ヴァルキーザ』 31章(5)

小説『ヴァルキーザ』 31章(5)

階上は広大な空間で、中心を稼働中の動力炉らしき巨大な器械の筐体が占有していた。

おそらくこれが、ターミナル・ジェネレーターだろう。

そして、その前に、容姿端麗な一人の小男が現れた。

男は、冒険者たちを見て嘲りの高笑いの声を上げると…

魔物の姿に変化した。

エルサンドラだ。

悪魔エルサンドラは、3つの面を持つ巨大な金色の頭と、その首の下から生える6本の細く長い金色の触手のような腕の肢体か

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小説『ヴァルキーザ』 31章(4)

小説『ヴァルキーザ』 31章(4)

グラファーンは、時の法典を受け取った。
そして、アンに告白した。

「アン、あなたを愛しています」

「グラファーン、私も貴方を愛しています」
アンは答えた。

二人は見つめ合い、そして口づけを交わした。

グラファーンはアンに勧めた。
「城から脱出して下さい」

アンはうなずいた。
そして彼女は、自分の懐から、持っていた短刀を取り出してグラファーンに渡す。

「貴方にお願いがあります。エルサンド

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小説『ヴァルキーザ』 31章(3)

小説『ヴァルキーザ』 31章(3)

燃えさかる幾つもの炎の柱が垂直に立ち、辺りに火の粉を振りまいている。城内の迷路のような通路のあちこちから昇るその轟々たる火柱を避けて通りながら、グラファーンたちは「時の城」ゼーレスの内部をさらに進んでゆく。

行く手の先に、妖しく流れる様々な色をした光の帯が、虚ろな闇の中でぼやけている。ここはさらに隷従の感覚を呼び起こさせる場所だ。

城の主は、どのような心で冒険者たちを待ち構えているだろうか。

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