グルメレビューができない

 エビカツが好きだ。
 
だがエビカツ定食はなかなかない。CoCo壱番屋にはトッピングのエビカツを食べに行っているようなものだ。ある日ふと思い立って、自分で作っちゃえばええやんと叫んだ。揚げ物はよくやる方ではあるが、エビカツも揚げ物だったことを思い出したのだ。善は急げとスーパーに行ってエビを買った。エビが入ってりゃエビカツだと思った。でも家に帰ってきてさあ作るかとレシピサイトを開くと、使用材料に小さく載る「はんぺん」の文字。
 エビカツの中のあの白いのってはんぺんだったのか!?!?!?!?
 
僕はさっきとは違うスーパーにはんぺんを買いに行った。なんか恥ずかしかったから。
 結局の所、ラーメン屋に行ってもなんの出汁なのかいまいち分かってない。デカデカと鶏白湯とか魚介豚骨とかウリにしていてメニューにも書かれてるなら良いんだけど、古い店だとそうはいかない。いまだに一番好きなラーメン屋のスープが何系なのか分かっていない。でもまあそんなもんだと思ってるし、みんな知ったかぶりしてると思ってもいる。究極、美味けりゃなんでもいいし。
 美味いものを食べるためだけにあちこちに出掛ける人間なので、あちこちの美味い店の情報ならいくらでも提供できる。でもその店の何がどういうふうに美味いとは言えないんだよな。食べログのレビューで事細かく味の表現をする人ってそんなに自分の味覚に自身を持ってるのかって不思議に思う。とは言え、最終的に人それぞれに帰結するレビューよりは素敵だとも思う。人それぞれなんて当たり前な言葉に逃げんじゃねえぞ人類って常に思ってる。はは。
 にしても、5段階の星って必要かね? せめて3段階の星で良くない? 「美味い、普通、不味い」の3段階で。もしくは「絶対また行く、機会があれば行く、もう行かない」の3段階。5段階もあれば、さすがにレビュワーの捉え方にも差が出すぎるでしょ。「自分の星3つは他の人の星5つの価値がある」とか思ってるやついると思うよ。絶対いる。絶対に。
 同じ店の同じラーメンを食べた別々の食べロガーが、「コクがあって美味しいスープ」「全くコクがなく後味が弱い」とそれぞれ書いたレビューを見つけたことがあった。過去にとある料亭で産地偽装や消費期限偽装、揚げ直し焼き直しして提供してたって事件がありましたがね。あのとき率直に「高い店に行くような食通の舌であっても見抜けねえのか。漫画は漫画でしかねえな」と思った。今や素人がグルメを気取れる時代なわけで、同じラーメンで「コク」の有無で騒ぐとか本当にこいつら味分かってんのかな? と僕はその店に向かい同じラーメンを頼んだのだ。
 結果、「コク」ってなんだろうって。
 同じような理由で、映画とか演劇のレビューも苦手です。「面白い、普通、つまらない」もしくは、「もっと金払いたい、無料で見れるならまた見る、金払ってでも見ない」の3段階評価で良いと思う。いや、でもな。ああいう制作してる人って、面白いだけじゃ納得しない人多いよな。偏見かな。いや、絶対偏見じゃないわ。
 やっぱ人それぞれに逃げるわ。しょうがないわ。

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