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30代フリーランスが卵巣腫瘍と出会って別れた3ヶ月 [入院編・前半]

1日目、2日目(手術)、3日目

入院1日目

私の手術は月曜だったので、
前日の日曜の朝入院しました。

この日は食事も通常通り。

検査も事前に済ませているし、日曜なので特になることもなく、
持ってきたものを収納に収めたり、院内を探検したり、
階下のコンビニでコーヒーとシュークリームを買って、
持ち込んだライティングの仕事をしながら過ごしていました。

翌朝排便するための薬を飲んだり、
オリーブオイルでおへその掃除をしてもらったり
夜はシャワーに入っておく程度のことしかやることはありません。

初めての入院食は想像していたよりも美味しくて、
お出汁がよく効いていました。


初めての病院ごはん。高級ふりかけと海苔を持参




入院2日目(手術)


8:30
先生の手術前診察があります。

10:00
この日は絶飲絶食と言われ1これ以降は水もNG。
空腹感はこの昼〜手術直前が1番あった気がします。

11:30
2時間前に看護師さんが点滴を手の甲にするためのテープ麻酔を貼りにきてくれます

12:30
1時間前には早めに呼ばれた時のために術衣を着てスタンバイ。

14:30
予定より1時間遅れて手術室へ歩いて向かいます。
手術室に着いたら後はもう先生たちにお任せするのみ。
布団乾燥機のようなもので暖められた手術台に寝転び、
麻酔科医や看護師さんたちに囲まれて
麻酔を打ったり酸素吸引をしたり…
手術台の上だし、たくさんの人に囲まれる状況は緊張だけど
その時麻酔をしない方の手を握ってさすってくれた
看護師さんの手が温かくてとても安心できました。

「じゃあここから眠くなりますからねー」

「終わりましたよー」

この間は本当に全くなんの記憶もなしです。
何か夢を見ていたような…くらい。

手術中は呼吸を助けるチューブが口の奥に入り、
目は乾燥しないようにテープで固定するんだとか…
まつ毛エクステが抜けちゃうかも、と
言われてましたが割とそのままでした。
このチューブのせいで目覚めると声が掠れて出にくいです。

病室戻りますからねーと言われてなんとかうなづいて
運ばれたところはうっすら覚えています。

17:30
これくらいの時間に連絡先にしていた父へ
手術が無事に終わったこと、癒着もなくきれいにとれたと
電話連絡があったそうです。

で、
正直手術中は先生にお任せするだけで痛みもなにもないんですが
患者の戦いはこの手術当日の夜だと思います。

経験者のブログやSNSにも書かれていたけれど、
理由と個人差は色々あれど、
寝れないし動けないまま夜を明かすのは結構長いです。

私の場合は両足に血栓ができないようにするための
マッサージ機のようなものが取り付けられて、
右手は点滴、
左腕には30分に一回自動で膨らむ血圧計、
胸には心電図、
口に酸素吸入マスク、
起き上がれないの尿管が取り付けられて
ナースコールを握らされます。

動けないから自分が一体何に繋がれているのかわからないし、
コードがあちこちに伸びているし、
酸素吸入器は不織布マスクの上からつけられました。

床ずれを防ぐために寝返りを打ってと言われますが、
ぶっちゃけ無理じゃーん!と叫びたくなります。
ちょっと動けば何かしらのコードが動くから不安になるし、
痛み止めは入っているのかもだけど傷というかお腹の中は
激痛じゃないけど痛くないわけではない。

あと絶飲してるしリップクリームなんて途中で塗れないので
自分史上一番唇ががっさがさでした。
しばらく雨が降らなかった大地のように皮が割れてます。

少しすると看護師さんが
あったかいウェットシートのようなもので顔を拭いてくれました。

あまりにも眠れないので、夜中に2回
眠くなる点滴をいれてくれたんですがウトウトはすれど、
足と上のぷしゅーーーが一晩中続くので
私はそれがはずれる早朝までほぼ眠れませんでした。




入院3日目(手術翌日)

明け方、ついていた器具を徐々に外してもらえます。
まずは自動血圧計と心電図、酸素マスク、足のマッサージ機。

ここでやっと少しだけ眠れました。

7:00
手術の翌日から立って歩くようにと言われていて
正直そんなことできないのでは…と思っていましたが
自分で立ってトイレに行けるようになれば尿管がはずれる、
ということで、私は即「立ち上がってみます!」と
朝一番で起き方のレクチャーを受けました。
腹筋を使うと痛いので、
横をむいて腕の力で上体を起こして、
ベッドの柵を支えにほぼ腕の筋肉だけで起き上がります。

いててててと言いながら
麻酔をかけているキャスター付きのやつにつかまって動きました。

ちなみに尿管が抜けてから退院まで、
排尿と排便の回数と状態を記録するように言われます。
7段階評価くらいのリアルな図説をみながら。

まだ絶飲は続いてますが、
顔を洗ったり歯をみがくのはOKということで、かなりさっぱり!!

器具がはずれたり、顔を洗ったりうがいできる度に
「生き返る!」「戻ってきた!」と感動していたら
「そんなに喜んでいるのをみるとうれしくなるわ」と
看護師さんが笑っていました。

たった一晩の出来事ですが、
本当にそれくらいの感動がありました。

そして昼前にお水が解禁されて、
お昼ごはんから食事が出ます。

約42時間ぶりのメニューは
五分粥とマッシュポテト、つみれ的ななにか、缶詰のフルーツという
どんな食べ合わせ?となるメニューでした。
でもなんでもいいんです。
余裕で完食でした。
完食することが回復の1歩だと思って。


1日絶食したあとの五分粥ごはん

担当の先生が手術の記録のようなものを持って
病室に来てくれました。
「いや〜大きかったわ〜」と言いながら。

今回私は腹腔鏡手術を受けたのですが、
お腹を3箇所くらい小さく切ってやる術式だと思っていたら、
なんと開けたのはおへそだけ。
「心なしかおへそ大きくなった?形変わった?」程度で
それ以外に傷は全くありません。

もちろんへそだけではよく見えなければ他も切るし、
癒着などがあると全開腹する可能性もあると事前に言われます。
その判断は先生にお任せしないといけません。

へそをあけて
お腹にガスを入れてふくらませることで空間を作って
カメラを入れて映像をみながら処置をするそうなのですが
「そ、そ、そんなことできるんですか」という驚き。

へそから直径8cm程度のものを出せるのか?と思っていたら、
中で腫瘍を分解?して袋にいれて、
それをひっぱり出すんだそうです。

「お腹の中も最後にじゃぶじゃぶ洗っておいたからねー」と
言われて最後まで「そ、そ、そんなことできるんですね!!」
という驚きばっかりでした。

なので取り出した腫瘍そのものを見ることはできないんですが
(見なくていいんですが)
カメラの画像をプリントアウトして渡してくださるので
取り除く前のどーーーーんと鎮座している腫瘍と
腫瘍を開いた中身(髪の毛っぽかったり歯っぽかったり)と
取り除いた後のしょぼんとなった卵巣を見ることができました。

医療って、すごい。


illustration by Kaori Toriumi

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