クオリティ合戦になるとつらい
何でもクオリティ合戦に陥るとつらいという話です。
私が最初にプレイしたファイナルファンタジーは7ですが、それまでスーファミで遊んでた私は友達の家でFF7見せてもらって「とんでもねえゲームが出てきやがった…」と大興奮しました。
その後も8、9、10…とシリーズを重ねる毎に凄まじいクオリティ向上を重ねてテンションブチ上がってました。
ところが10の次の12、12の次に13の発表を見ても、7を見た時のような驚きは感じなかった気がします。
いや、実際には物凄いクオリティ向上してるんですが、その向上が体感としてあまり感じられない。
PS1の次にPS2が出た時は凄い!と思いましたが、PS3の後のPS4とかはあんま変わんない…みたいな。
どうしてでしょう?
ヴェーバーの法則というものをご存知でしょうか。
100gの物を持ってる人の手に10g追加して初めて「重くなった」と気付くとしましょう。そうしたら200gの物を持ってる人には10gじゃなくて20g追加しないと重くなったことに気付かないという話です。
つまり、クオリティが10点のコンテンツは11点にするだけで凄くなった!と気付きますが、50点のコンテンツは55点まで向上させないと違いに気付かれない。絶対クオリティが上がるほどにクオリティアップのコスパは悪くなるという事です。
ゲームのクオリティが上がれば開発費は当然高騰していきます。
ファミコン時代(1983年~)でソフト開発費およそ1000万円
スーファミ時代(1990年~)で5000万円(ファミコンの5倍)
プレステ2時代(2000年~)で3億円(ファミコンの30倍)
プレステ3時代(2006年~)で5億円(ファミコンの50倍)
プレステ4時代(2013年~)で10億円(ファミコンの100倍)
とすごい勢いで開発費が増えています。
それに比べて売り上げの方は
FFⅠ 84万本
FFⅡ 76万本(国内)
FFⅢ 140万本
FFⅣ 144万本
FFⅤ 245万本
FFⅥ 255万本
FFⅦ 400万本(開発費40億)
FFⅧ 800万本
FFⅨ 530万本
FFⅩ 832万本
FFⅫ 606万本
FFⅩⅢ 754万本
FFⅩⅤ 700万本
(ソースはウィキペディア)
かなりの勢いで売り上げが伸びてますが、それでも開発費の凄まじい上がり方に比べると伸びは鈍いですね。
開発費が100倍になったのに対して売り上げは10倍、コスパは1/10になってます。
コンシューマゲーム開発はどんどんコスパが悪くなっていると言えそうです。
現在トップで走ってるゲーム会社はどれもファミコン時代にガッツリ儲けて体力が付いてるから今でもやれているのであって、今さら新規参入しよういう気になりにくい業界と言えなくもないですね。
クオリティ合戦に走った結果、業界全体として苦しくなっていった例かもしれません。
同じような事はソシャゲでも起きています。
グリーやモバゲーが主流のガラケー時代(2008年頃)はゲームの開発費は3000~5000万円程度だったそうですが、2015年にはスマホ、ネイティブアプリ化で1億、そして急激なクオリティ合戦で今では10億~20億かかってしまうそうです。
FGOなど一部の人気ゲームは恐ろしく儲かっているようですが、失敗した時のリスクも大きくなっており、業界全体としては苦しくなっている感じではないでしょうか。
このような流れは歴史上あらゆる業界で繰り返されてきた事なのかもしれません。
クオリティ合戦はやめたくてもやめられない、市場の性(さが)のようなものなのでしょうか。
最初の頃は新ネタや工夫で新しい魅力を出していても、いずれネタ切れするとコストが上がると分かっててもクオリティアップで差別化を図らざるをえなくなってきます。
言えるのは、すでにレッドオーシャン化してる業界よりもまだ黎明期の業界に飛び込んだ方がチャンスが大きいという事です。
例えば商業漫画の世界は熾烈な競争になってますが、それを尻目にtwitterに漫画を投稿して大ヒットして書籍化されたカメントツさんの「こぐまのケーキ屋さん」の事例があったりします。
twitter漫画の界隈ではまだそれほど熾烈な競争は起きてなくて(そもそもtwitter漫画はタイアップでもしない限り売り上げが出ない)チャンスが多いのかもしれません。
vTuberはソシャゲの次に来る戦場と言われています。
非常に低コスト化した全身トラッキング技術が出現した事、誰でもスマホを所持してYoutubeの視聴環境が整った事などがキッカケでvTuberが生まれました。
今はまだ黎明期でコンシューマゲームで言えばファミコンの段階かもしれませんが、色んな企業が急激な勢いで参入してきているのであっという間にレッドオーシャンになるかもしれません。
もしvTuberをやってみたいと思ってる人がいるなら、急いで始めた方がよさそうですね。